単巻変圧器とは

単巻変圧器とは、1つの巻線の途中から端子(タップ)を取り出し、その巻線を一次側と二次側で共用する変圧器です。
普通の変圧器(二巻線変圧器)は一次・二次が別々の巻線で、電気的に絶縁されているのに対し、単巻変圧器は巻線が1つです。
一部を一次側(電源側)と二次側(負荷側)で共用するため、巻線の一部が両方に兼用されます。
分路巻線と直列巻線

降圧変圧器

昇圧変圧器
単巻変圧器の構成要素は3つあります。
分路巻線(共通巻線)
一次側と二次側で共用する部分です。低い方の電圧\(V_L\)が印加され、
電流は \(I_3=I_1-I_2\) が流れます。
直列巻線
高圧側だけが使う部分。
高い方の電圧\(V_H\)と、低い方の電圧\(V_L\)の差である電圧 \(V_H-V_L\) が印加されます。
タップ(接続点)
巻線の途中から取り出した端子。ここが分路巻線の取り出し点になります。
電圧・電流


単巻変圧器の一次・二次電圧の関係と、一次・二次電流の関係は、巻線が分かれている変圧器と同じです。
変圧比
\(\frac{V_1}{V_2}=\frac{N_1}{N_2}=a\)
\(N_1\):一次側の巻数
\(N_2\):二次側の巻数
\(a\):巻数比
変流比
\(\frac{I_1}{I_2}=\frac{N_2}{N_1}=\frac{1}{a}\)
\(N_1\):一次側の巻数
\(N_2\):二次側の巻数
\(a\):巻数比
変流比の式の導出
変流比は、巻線ごとの起磁力で説明できます。
分路巻線の巻数は\(N_1\)[回]
分路巻線に流れる電流は\(I_3=I_1-I_2[A]\)
なので、分路巻線の起磁力は、\(φ=N_1I_3=N_1(I_1-I_2)\)です。
直列巻線の巻数は\(N_2-N_1\)[回]
直列巻線に流れる電流は\(I_2[A]\)
なので、直列巻線の起磁力は、\(φ=(N_2-N_1)I_2\)です。
分路巻線と直列巻線のそれぞれの起磁力は同じなので、
\(N_1(I_1-I_2)=(N_2-N_1)I_2\)
⇔\(N_1I_1=N_2I_2\)
⇔\(\frac{I_1}{I_2}=\frac{N_2}{N_1}\)となります。
負荷容量
負荷容量とは、単巻変圧器が負荷側に実際に供給できる容量(皮相電力)のことです。
負荷容量は一次側と二次側で等しく、変圧器全体として扱う出力容量に相当します。

負荷容量
負荷容量 = 一次側皮相電力 = 二次側皮相電力
\(P_{load}=V_1I_1=V_2I_2\)
自己容量
自己容量は、変圧器本体(コイル自体)が電磁誘導によって、磁気エネルギーを介して電力を変換・伝達する容量のことです。
単巻変圧器では、一次・二次巻線が一部共通になっているため、全負荷容量をそのままコイルが扱うわけではありません。コイルが電磁誘導で磁気に変換する電力が「自己容量」になります。
自己容量によって、変圧器本体(巻線・鉄心)の大きさが決まります。
自己容量とは、変圧器本体(コイル)が電磁誘導によって磁気エネルギーを介して電力を変換・伝達する容量のことです。
単巻変圧器では、一次・二次巻線が一部共通になっているため、負荷に供給する全容量(負荷容量)をそのままコイルが電磁誘導で扱うわけではありません。
コイルが電磁誘導作用で新たに変換する電力分が「自己容量」になります。この自己容量の大きさによって、変圧器の巻線や鉄心のサイズ(本体容量)が決まります。

自己容量
自己容量 = 直列巻線に流れる電力 = 分路巻線に流れる電力
\(P_s=(V_2-V_1)I_2=V_1(I_1-I_2)\)
自己容量が重要な理由
- 自己容量が小さいほど、変圧器を小型・軽量・低コスト・高効率に設計できる。
- 変圧比が1に近い(昇圧・降圧がわずか)場合、自己容量は負荷容量に比べて大幅に小さくなるため、単巻変圧器のメリットが最大化される。
- 電験三種では「自己容量を計算せよ」という問題が良く出る。
単巻変圧器の用途
配電線の電圧調整
電圧比が1に近い昇圧・降圧に最適なため、線路電圧の微調整に使われます。
誘導電動機の始動補償器
かご形誘導電動機は始動時に大電流が流れます。
単巻変圧器で電圧を下げて始動電流を抑えるのが「始動補償器(コンドルファ始動)」です。
可変電圧電源
スライド式(摺動接点)で連続的に電圧を変える実験用電源。
一般にスライダックと呼ばれる事が多いですが、この呼び方は商標登録された商品名です。








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