積分の基礎

積分の基礎 解説ページ

積分を学ぶ理由

「全体を理解するために、細かく分けて足し合わせる」計算が積分です。

例えば、1秒ごとに速度を測り、速度×時間の計算をすることで、移動距離を求めることができます。
速度は常に変化し続けるため、1秒ごとの速度計測では誤差が発生してしまいます。
そこで、測定間隔をどんどん短くしていくと精確な計算がすることができます。
この間隔を短くするという操作は、最終的に「無限に細かく分けて足し合わせる」ことになります。これを厳密に行う方法が積分です。

そうすることで、連続的な変化を表現し、全体の量を求められるようになる計算が積分です。

積分の方法

変化する値を、長方形で近似して足し合わせることで、全体の総量を求めることができます。
ただし、長方形の横幅が大きいと誤差が発生してしまうため、横幅を限りなく\(0\)に近づけることで、精確な積分をすることができます。

 

面積を長方形で近似する
  1. 速度を確認する時間を細かく分け、面積を長方形の集まりで近似する。
  2. グラフでは、曲線の下の面積を短冊状に積み上げる
  3. 各長方形の面積は「速度 v[km/h] × 時間 Δt[s]」

※長方形の横幅が時間Δt[s]

1.~3.をすることで、「走った距離 \(d[m]=\)長方形の面積の合計」を求めることができます。
しかし、右図からわかる通り、連続的な変化をする速度に対して一定間隔な速度を足し合わせるため、誤差が発生します。

 

長方形の横幅を限りなく0に近づける

長方形の横幅\(Δt\)を\(0\)に近づけることで、長方形の近似の面積が精確になっていきます。
そうすることで、
「精確な走った距離\(d[m]\)=速度曲線が描く面積」を求めることができます。

 

積分の記法

表記意味・使う場面
\(F(x)\)原始関数と呼びます。
\(F(x)\)を微分すると、導関数\(f(x)\)になります。
つまり、\(F'(x)=f(x)\)が成り立ちます。
\(\int dx\)積分を意味する記号です。インテグラルと読みます。
\(\int dx\)であれば、\(x\)で積分します。
\(\int dθ\)であれば、\(θ\)で積分します。
\(\int dωt\)であれば、\(ωt\)で積分します。
\(F(x)=\int f(x) dx\)不定積分をするときに使います。
\(F(x)=\int_a^b f(x) dx\)a~bの範囲の積分をする定積分をするときの記法です。
\(C\)不定積分した結果に付く積分定数です。

 

定積分

定積分とは、積分する区間 a ~ b を定めて、その区間の面積を求める計算です。定積分を式で表すと、

\(F(x)=\int_a^b f(x) dx\)

となります。

\(F(x)=\int_a^b f(x) dx\) の式の意味
関数\(f(x)\)を、\(a\)から始まり、\(b\)で終わる区間において、\(x\)について積分するという意味を持ちます。
\(dx\)が、\(x\)について積分するという意味です。

もし、\(dt\)であれば、\(t\)について積分するという意味に変わります。

右図について定積分の式を示すと、移動距離\(d[m]\)は、
\(d=\int_a^b v dt=\int_3^7 v dt\)
です。

定積分の計算

\(\int_a^b f(x) dx\) の式を計算すると、
\(\int_a^b f(x) dx=[F(x)]_a^b = F(b)-F(a)\)となります。

定積分の計算例
\( \int_2^8 x dx = \left[\frac{1}{2}x^2 \right]_2^8=\frac{1}{2}8^2-\frac{1}{2}2^2=30\)

 

不定積分

不定積分は、原始関数 \(F(x)\) を求めることが目的であるため、積分する区間を定めずに計算します。不定積分が、定積分と大きく違う点は、積分定数\(C\)が出てくる事です。

\(\int f(x) dx=F(x)+C\)

 

積分定数Cとは
原始関数 \(F(x)\) に元々あった定数項は、微分して \(f(x)\) にすると \(0\) となるため、情報が不足してしまいます。

そのため、 \(f(x)\) を積分して \(F(x)\) を求めるときは、欠落した定数項を補うために積分定数 \(C\) を足す必要があります。

不定積分計算例
\(F(x)\) を微分して \(f(x)\) を求めると、\(F(x)\) の定数項の情報が不足してしまうということについて、実際に計算して確かめてみます。

計算例
\(F(x)=2x+1\) を微分して \(f(x)\) を求めた後、 \(f(x)\) を不定積分して \(F(x)\) を求めよ。

原始関数\(F(x)\)を微分すると、\(f(x)=2\)となり、定数項の1が消えます。

その後、\(f(x)\)を積分すると、定数項が欠落して、\(2x\) となってしまいます。
そのため、欠落した定数項を補うために、積分定数\(C\)を足します。
元の定数項が1だったため、\(C=1\)となり、元の関数を復元することができます。

 

積分の公式一覧

電験三種の計算で使用する積分の公式を列挙します。(電験で使用しない公式は省略しています)

基本関数の積分

関数\(f(x)\)積分\(\int f(x) dx\)
定数\(x\)
\(x\)\(\frac{1}{2}x^2\)
\(x^2\)\(\frac{1}{3}x^3\)
\(x^n\)\(\frac{1}{n+1}x^{n+1}\)

基本関数の分数の積分

関数\(f(x)\)積分\(\int f(x) dx\)
\(x^{-1}=\frac{1}{x}\)\(ln|x|\)
\(x^{-2}=\frac{1}{x^2}\)\(-x^{-1}\)

三角関数の積分

関数\(f(x)\)積分\(\int f(x) dx\)
\(sin ax\)\(-\frac{1}{a}cos ax\)
\(cos ax\)\(\frac{1}{a}sin ax\)

指数関数積分

関数\(f(x)\)積分\(\int f(x) dx\)
\(e^{ax}\)\(\frac{1}{a}e^{ax}\)

 

積分の計算に関する法則

積分 \(\int dx\)の中には、様々な四則演算が含まれます。
そこで、積に関する法則として、定数倍の法則。
和・差に関する法則として、和・差の法則を紹介します。

 

定数倍の法則

積分の中にある定数倍は、そのまま外に出せます。

\(k\)を定数としたとき、
\( \int k・f(x) dx = k \int f(x) dx\)

計算例
\( \int 2x^2 dx = 2 \int x^2 dx = 2 \frac{1}{3}x^3+C = \frac{2}{3}x^3+C\)

 

和・差の法則

和・差は項ごとに積分する。

二つの関数\(f(x)\)と\(g(x)\)の和を積分するとき、
\( \int f(x)+g(x) dx = \int f(x) dx + \int g(x) dx\)

二つの関数\(f(x)\)と\(g(x)\)の差を積分するとき、
\( \int f(x)-g(x) dx = \int f(x) dx – \int g(x) dx\)

計算例
\( \int 3x^2+5x-7 dx = \int 3x^2dx +\int 5x dx – \int 7 dx = x^3+\frac{5}{2}x^2-7x+C\)

 

練習例題

(1) \( \int (x+5)dx\) を積分せよ

(2) \( \int \frac{1}{x} dx\) を積分せよ

(3) \( \int \frac{1}{x^2} dx\) を積分せよ

(4) \(\int x^2+2x+2 dx\) を積分せよ

(5) \( \int sinθ dθ\) を積分せよ

(6) \( \int cos(2πft) dt\) を積分せよ

(7) \( \int e^{-jωt} dt\) を積分せよ

(8) \( \int_{-1}^2 (3x^2+x+5) dx\) を積分せよ

(9) \( \int_0^{π/4} cos θ dθ \) を積分せよ

(10) \( \int_0^{T/2} sinωt dt \)を求めよ。\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。

(11) \( V_{avg}= \frac{1}{\frac{T}{2}} \int_0^{T/2} V_m sinωtdt[V] \) を求めよ。
   \(V_m\)は定数、\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。

(12) \( \int_0^T 1 dt \) を求めよ

(13) \( \int_0^T -cos(2ωt) dt \) を求めよ。\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。

(14) \( \int_0^T sin^2 ωt dt \) を求めよ。
   \(sin^2ωt=\frac{1-cos2ωt}{2}\)、\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。

(15) \( \int_0^T v^2 dt\) を求めよ。 \(v=V_m sinωt \)とする。

(16) 電圧の実効値 \(V_{rms}= \sqrt{\frac{1}{T} \int_0^T v^2 dt} \) を求めよ。
    \(v=V_m sinωt \)とする。

 

解答例

(1) \( \int (x+5)dx\) を積分せよ。
 
\( \int (x+5)dx=\int xdx+\int 5dx=\frac{1}{2}x^2+5x+C\)

(2) \( \int \frac{1}{x} dx\) を積分せよ。
 
\( \int \frac{1}{x} dx=ln|x|+C\)

(3) \( \int \frac{1}{x^2} dx\) を積分せよ。
 
\( \int \frac{1}{x^2} dx=-x^{-1}+C\)

(4) \(\int x^2+2x+2 dx\) を積分せよ。
 
\(\int x^2+2x+2 dx=\frac{1}{3}x^3+x^2+2x+C\)

(5) \( \int sinθ dθ\) を積分せよ。
 
\( \int sinθ dθ= -cosθ +C\)

(6) \( \int cos(2πft) dt\) を積分せよ。
 
\( \int cos(2πft) dt=\frac{1}{2πf}sin(2πft)+C\)

(7) \( \int e^{-jωt} dt\) を積分せよ。
 
\( \int e^{-jωt} dt=\frac{1}{-jω}e^{-jωt}+C\)

(8) \( \int_{-1}^2 (3x^2+x+5) dx\) を積分せよ。
 
\(\begin{eqnarray} \int_{-1}^2 (3x^2+x+5) dx&=&[x^3+\frac{1}{2}x^2+5x]_{-1}^2\\
&=&(8+2+10)-(-1+\frac{1}{2}-5)\\
&=&20+\frac{11}{2}=\frac{51}{2}
\end{eqnarray}\)

(9) \( \int_0^{π/4} cos θ dθ \) を積分せよ。
 
\(\displaystyle \int_0^{π/4} cos θ dθ= [sin θ]_0^{π/4}=sin \frac{π}{4}-sin0=\frac{1}{\sqrt{2}}-0=\frac{1}{\sqrt{2}} \)

(10) \( \int_0^{T/2} sinωt dt\) を求めよ。\(ω=2πf\)、\(fT=1\)⇔\(f=\frac{1}{T}\)とする。
 
\(\begin{eqnarray}
\int_0^{T/2} sinωt dt&=&\frac{1}{ω}[-cosωt]_0^{T/2} \\
&=&-\frac{1}{2πf}(cos2πf\frac{T}{2}-cos0) \\
&=&-\frac{T}{2π}(cosπfT-cos0) \\
&=&-\frac{T}{2π}(cosπ-cos0) \\
&=&-\frac{T}{2π}\{ -1-1\} \\
&=&\frac{T}{π}
\end{eqnarray}\)

(11) \( V_{avg}= \frac{1}{\frac{T}{2}} \int_0^{T/2} V_m sinωtdt[V] \) を求めよ。
   \(V_m\)は波高値(定数)、\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。
 
\(\begin{eqnarray}
V_{avg}&=& \frac{1}{\frac{T}{2}} \int_0^{T/2} V_m sinωtdt \\
&=& \frac{2}{T}・V_m \int_0^{T/2} sinωtdt \\
\end{eqnarray}\)
 
(10)の問題の解答から、
\(V_{avg}=\frac{2}{T}・V_m・\frac{T}{π} =\frac{2V_m}{π}\)

(12) \( \int_0^T 1 dt \) を求めよ。
 
\( \int_0^T 1 dt=[t]_0^T=T-0=T \)

(13) \( \int_0^T -cos(2ωt) dt \) を求めよ。\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。
 
\( \int_0^T -cos(2ωt) dt=\frac{-1}{2ω}[sin4πft]_0^T=\frac{-1}{2ω}(sin4πfT-sin0)=0 \)

(14) \( \int_0^T sin^2 ωt dt \) を求めよ。
   \(sin^2ωt=\frac{1-cos2ωt}{2}\)、\(ω=2πf\)、\(fT=1\)とする。
 
\(\begin{eqnarray}
\int_0^T sin^2 ωt dt&=&\int_0^T \frac{1-cos2ωt}{2} dt \\
&=&\frac{1}{2}\int_0^T (1-cos2ωt) dt \\
&=&\frac{1}{2}(\int_0^T 1dt – \int_0^T cos2ωt) dt
\end{eqnarray}\)
 
(12)・(13)の問題の解答から、
\(\displaystyle \frac{1}{2}(\int_0^T 1dt – \int_0^T cos2ωt) dt=\frac{1}{2}(T-0)=\frac{1}{2}T\)

(15) \( \int_0^T v^2 dt\) を求めよ。 \(v=V_m sinωt \)とする。
 
\(\displaystyle \int_0^T v^2 dt=\int_0^T V^2_m sin^2ωt dt=V^2_m\int_0^T sin^2ωt dt\)
 
(14)の問題の解答から、
\(\displaystyle V^2_m\int_0^T sin^2ωt dt=\frac{V^2_m T}{2}\)

(16) 電圧の実効値 \(V_{rms}= \sqrt{\frac{1}{T} \int_0^T v^2 dt} \) を求めよ。 \(v=V_m sinωt \)とする。
 
(15)の問題の解答から、
\(\displaystyle V_{rms}= \sqrt{\frac{1}{T} \int_0^T v^2 dt}=\sqrt{\frac{1}{T} \frac{V^2_m T}{2}}=\sqrt{\frac{V^2_m}{2}}=\frac{V_m}{\sqrt{2}} \)

 

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