概要
二つの状態の全損失から、負荷損を導き出し、最終的に無負荷損を導出する計算問題です。
本計算問題において、重要なことは3つあります。
①負荷損は 負荷率\(α\) の二乗に比例すること。
②無負荷損は \(α\) が変化しても一切変動しないこと。
③全損失は、負荷損と無負荷損の合計であること。
キーワード
変圧器、銅損(負荷損)、鉄損(無負荷損)、全損失
問題
単相変圧器がある。定格二次電圧200 V において、二次電流が250 A のときの全損失が 1525W であり、同様に二次電圧200 V において、二次電流が150 A のときの全損失が 1125W であった。
この変圧器の無負荷損の値[W]として、最も近いものを(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 400 (2) 525 (3) 576 (4) 900 (5) 1000
答え
(4)
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回答の解説
ポイント
・鉄損(無負荷損) \(P_i\)は、負荷率 \(α\) が変化しても、一切変動しません。
・銅損(負荷損) \(P_c\)は、負荷率 \(α\) の二乗に比例します。
片方の条件の負荷率を基準に、2つの負荷条件の比を求めることで、もう片方の条件の負荷率を求められます。
解答の流れ
(1)二つの運転条件の皮相電力\(S_1\)、\(S_2\)を求める
(2)皮相電力の比\(\frac{S_2}{S_1}\) を求めることで、\(S_1\)に対する\(S_2\)の負荷率を求める
(3)二つの条件における全損失\(P_{L1}\)、\(P_{L2}\)の差を取ることで、負荷損を求める
(4)無負荷損\(P_i\) を求める
(1)二つの運転条件の皮相電力\(S_1\)、\(S_2\)を求める
単相変圧器なので、皮相電力は\(S=V・I\)で求められます。
二次電流が\(I_1=250[A]\)のときの皮相電力は(S_1=200・250=50000[V・A]\)
二次電流が\(I_2=150[A]\)のときの皮相電力は(S_2=200・150=30000[V・A]\)
(2)皮相電力の比\(\frac{S_2}{S_1}\) を求めることで、\(S_1\)に対する\(S_2\)の負荷率を求める
\(S_1\)のときの負荷率を\(α_1\)
\(S_2\)のときの負荷率を\(α_2\) とします。
2つの皮相電力の比から、負荷率の比が求まります。
\(\frac{α_2}{α_1}=\frac{S_2}{S_1}=\frac{30000}{50000}=0.6\)
⇔ \(α_2=0.6α_1\) …①
(3)二つの条件における全損失\(P_{L1}\)、\(P_{L2}\)の差を取ることで、負荷損を求める
\(S_1\)のときの全損失\(P_{L1}=P_i+α^2_1 P_c=1525[W]\) …②
\(S_2\)のときの全損失\(P_{L2}=P_i+α^2_2 P_c=1125[W]\) …③
\(ΔP=\)②-③ の計算をすると、
\(ΔP=P_{L1}-P_{L2}=1525-1125=400[W]\) です。
そして、③式に①式を代入して、\(ΔP\)を計算すると、
\(\begin{eqnarray}
ΔP&=&P_{L1}-P_{L2}=(P_i+α^2_1 P_c)-(P_i+α^2_2 P_c) \\
&=&α^2_1 P_c-0.6^2α^2_1 P_c=0.64α^2_1 P_c
\end{eqnarray}\)
なので、
\(0.64α^2_1 P_c=400[W]\)
⇔\(α^2_1 P_c=\frac{400}{0.64}=625[W]\) …④
これで、\(S_1\)のときの負荷損が\(α^2_1 P_c=625[W]\) と求まりました。
(4)無負荷損\(P_i\) を求める
④式を②式に代入すると、
\(P_{L1}=P_i+α^2_1 P_c=P_i+625=1525[W]\)
⇔ \(P_i=1525-625=900[W]\)
以上より、(4)が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問8


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