概要
単巻変圧器の直列巻線に流れる電流と、自己容量を求める計算問題です。
計算は非常に簡単ですが、単巻変圧器の分路巻線・直列巻線が何を指すかを理解している必要があります。また、負荷容量と自己容量についても、それぞれ何を指すかを理解していないと完全な回答ができません。したがって、計算力ではなく、知識量を求められる問題です。
キーワード
単巻変圧器、分路巻線、直列巻線、負荷容量、自己容量
問題
定格一次電圧3000V、定格二次電圧が3300Vの単相単巻変圧器について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。なお、巻線のインピーダンス、鉄損は無視できるものとする。
(a) この単相単巻変圧器の二次側に負荷を接続したところ、一次電圧は3000V、一次電流は100Aであった。この変圧器の直列巻線に流れる電流値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 9.09 (2) 10.0 (3) 30.9 (4) 90.9 (5) 110
(b) この変圧器の自己容量 \([kV・A]\) として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 15.8 (2) 27.3 (3) 30.0 (4) 47.3 (5) 81.9
答え
(a)(4)
(b)(2)
解説テキスト リンク
回答の解説
ポイント

分路巻線(共通巻線)
一次側と二次側で共用する部分です。
一次・二次で共通する部分の巻線であるため、共通巻線と呼びます。
直列巻線
高圧側だけが使う部分です。
二次側に向かって直列に接続されている巻線部分なので、直列巻線と呼びます。
負荷容量
負荷容量とは、単巻変圧器が負荷側に実際に供給できる容量(皮相電力)のことです。
負荷容量は一次側と二次側で等しく、変圧器全体として扱う出力容量に相当します。
負荷容量を式で表すと、次式となります。
負荷容量 = 一次側皮相電力 = 二次側皮相電力
\(S_{load}=V_1I_1=V_2I_2\)
自己容量
自己容量とは、単巻変圧器において電磁誘導によって伝達される電力の容量を指します。
単巻変圧器では、負荷容量は「共通巻線を通じて直接伝達される電力」と「電磁誘導によって伝達される電力」に分けられます。
このうち、電磁誘導によって伝達される電力の容量が自己容量であり、変圧器本体(巻線・鉄心)の大きさを決定する基準となります
自己容量を式で表すと、次式となります。
自己容量 = 直列巻線に流れる電力 = 分路巻線に流れる電力
\(S_s=(V_2-V_1)I_2=V_1(I_1-I_2)\)
解答
(a)問題
昇圧単巻変圧器では直列巻線は、二次側と直列に接続されるため、直列巻線電流は二次電流 \(I_2\) に等しくなります。そのため、本問は、\(I_2\)を求めれば良いです。

変圧器の負荷容量の式から、一次側と二次側の関係は、
\(V_1I_1=V_2I_2\)
です。式変形すると、
\(I_2=\frac{V_1}{V_2}I_1=\frac{3000}{3300}・100=90.9[A]\)
したがって、(4)90.9 が答えです。
(b)問題

単巻変圧器の自己容量\(S_{self}\)は、
直列巻線に流れる電力から求めると、
\(\begin{eqnarray}
S_{self}&=&(V_2-V_1)I_2 \\
&=&(3300-3000)・90.9=27270≒27.3[kV・A]
\end{eqnarray}\)
以上より、(2)27.3 が答えです。
(別解)分路巻線に流れる電力から求めると、
\(\begin{eqnarray}
S_{self}&=&V_1(I_1-I_2) \\
&=&3000・(100-90.9)=27270≒27.3[kV・A]
\end{eqnarray}\)
と解くこともできます。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問15


コメント