【電験三種】令和8年度上期 機械 解答例

問1.(2)

直巻発電機では界磁巻線が負荷電流と直列です。

出力電流が増加すると界磁磁束が増加し、磁気飽和までは電圧が大きく変動します。一方、磁気飽和領域に入ると磁束の増加が抑えられるため、電圧変動は小さくなり、むしろ安定しやすくなります。

したがって、「磁気飽和しない場合のほうが出力電圧が安定する」は逆です。

したがって、(2)が誤りです。

 

問2.(4)

この問題は直流発電機の導体1本あたりの誘導起電力
\(e=Blv\) を使います。

①周速度を求める
電機子直径\(D=0.5[m]\) 、
1分間辺りの回転速度\(N=1500[min^{-1}]\) から、1秒間当たりの回転速度\(n=\frac{N}{60}=25[s^{-1}]\)
\(v=πDn=π・0.5・25=39.25[m/s]\)

②導体1本に誘導される起電力
問題文から、磁束密度\(B=0.4[T]\)、電機子導体の有効長\(l=0.5[m]\)なので、
\(e_1=Blv=0.4・0.5・39.25=7.85[V]\)

③コイル1巻の起電力
コイル1巻は、往きと、戻りの2本になるので、
\(e=2e_1=15.7[V]\)

したがって、(4)が答えです。

 

問3.(1)

(ア) 電源周波数 \(f\) を変えて速度を制御する方式は V/f一定制御です。

(イ) V/f一定制御は\(\frac{V}{f}=一定\) となるようにすることで、誘導電動機の回転磁界の磁束を一定に保つ制御です。

(ウ)周波数可変装置として代表的なのはVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータです。

(エ)V/f制御の欠点(低速時の応答性)を改善したものはベクトル制御です。

(オ)ベクトル制御は磁束とトルクを独立に制御できるため、始動トルクが大きく、クレーンや工作機械などに用いられます。

以上より、(1)が答えです。

 

問4.(3)

①同期速度\(n_s[min^{-1}]\)を求める
周波数\(f=50[Hz]\)、極数\(p=6\) なので、
\(n_s=\frac{120f}{p}=\frac{120・50}{6}=1000[min^{-1}]\)

②回転速度\(n[min^{-1}]\)を求める
定格回転角速度\(ω[rad/s]\)を求めます
\(P=Tω\)の式から、
\(ω=\frac{P}{T}=\frac{20000}{200}=100[rad/s]\)

回転速度\(n[min^{-1}]\)は、
\(ω=2π \frac{n}{60}\)
⇔ \(n=\frac{60ω}{2π}=\frac{60・100}{2π}=955[min^{-1}]\)

③すべり\(s\)を求める
\(n=(1-s)n_s\)
⇔ \(s=\frac{n_s-n}{n_s}=\frac{1000-955}{1000}=0.045\)

④二次入力\(P_2\)を求める
二次入力\(P_2\):二次銅損\(P_{c2}\):機械出力\(P_m\) = \(1:s:1-s\)
の関係があります。
機械出力\(P_m=20[kW]\) なので、
\(P_2:P_m=1:1-s\)
⇔ \(P_2=\frac{P_m}{1-s}=\frac{20000}{1-0.045}≒20.9≒21[kW]\)

以上より、(3)が答えです。

 

問5.(2)

(ア)(イ)(ウ)
同期速度\(n_s=\frac{120f}{p}[min^{-1}]\) です。
周波数を\(f=50 or 60 [Hz]\)で決まっています。
水車の回転速度\(n\)は、比較的(ア)小さいため、極数\(p\)を(イ)大きくしないとなりません。
また、水車発電機は低速で大トルクを出す必要があります。
大トルクを出すには、回転子直径が(ウ)大きく、軸方向長さが比較的短い構造になります。

(エ)(オ)
蒸気タービンは高速回転です。
したがって、水車発電機に比べて回転速度が (エ) 大きい です。
高速回転では遠心力が大きくなるため、機械的強度上、直径を(オ)小さく、軸方向を長くした円筒形回転子となります。

以上より、(2)が答えです。

 

問6.(2)

① 定格電流\(I_n\) を求める
三相容量 \(P=4500 [kVA]\)
定格線間電圧 \(V_n=6000 [V]\) より、
\(I_n=\frac{P}{\sqrt{3}V_n}​ =\frac{4500×10^3}{\sqrt{3}×6000}≒433 [A]\)

②定格相電圧\(V_φ[V]\)を求める
\(V_φ=\frac{6000}{\sqrt{3}}=3464[V]\)

③短絡比\(S\) から同期リアクタンス\(X_s\)を求める
短絡比\(S=1.25\) より、
\(X_s=\frac{V_φ}{SI_n}=\frac{3464}{1.25・433}=6.4[Ω]\)

④横流\(I[A]\)を求める
2台分のリアクタンスは直列なので \(2X_s[Ω]\) となります。
同じ同期発電機が2台並列運転しているときの横流は、
\(I=\frac{ΔE}{2X_s}=\frac{400}{2・6.4}=31.25≒31.3[A]\)

以上より、(2)が答えです。

 

問7.(2)

(ア)
直流直巻電動機では、電源極性を逆にすると、
・界磁電流の向きも(ア)逆になる
・電機子電流の向きも(ア)逆になる
したがって磁束と電機子電流の向きが共に逆になるため、トルクの向きは変わりません。

(イ)
交流整流子モータでは磁束が交流で変化するので、渦電流損を減らすために継鉄を(イ)積層鉄心とします。

(ウ)
交流整流子モータ(ユニバーサルモータ)は
・始動トルクが大きい
・小型軽量
・非常に(ウ)高速回転
という特徴があります。

(エ)
交流・直流の両方で使用できる交流整流子モータは(エ)ユニバーサルモータと呼ばれます。

以上より、(2)が答えです。

 

問8.(4)

返還負荷法のポイントは、3つあります。
・一次側は並列接続して定格電圧を印加し、鉄損を発生させる
・二次側は直列で接続し、極性を合わせて循環回路を作る
・補助変圧器 \(T_3\)​ により差電圧を注入して定格電流を流し、銅損を発生させる

この条件を満たす回路は(4)です。

 

問9.(3)

① Δ-Δ結線の容量 PΔP_\DeltaPΔ​

単相変圧器1台の定格容量が 100 kVA。
Δ-Δ結線では3台とも定格フルで使えるので
\(P_Δ=3×100=300[kVA]\)

V-V結線(開放デルタ)の容量は、
\(P_{V-V}=\sqrt{3}・S=\sqrt{3}・100=173.2[kVA]\)

同一仕様の変圧器を1台追加して、V-V結線を2組並列運転とするので、
\(P=2P_{V-V}=2・173.2=346.4[kVA]\)

比を求めると、
\(\frac{P}{P_Δ}=\frac{346.4}{300}=1.15\)

以上より、(3)が答えです。

 

問10.(5)

(1) ダイオード半波整流入力電流は正半周期のみ流れる。
  → 図のような正負対称の矩形波にならないので違う

(2) 単相半波整流+フリーホイールダイオード交流側電流は正方向のみ。
  → 負電流は流れないので違う

(3) サイリスタ半波整流+フリーホイールダイオード交流側電流は正半周期だけ。
  → 負側の矩形電流が存在しないので違う

(4)単相ダイオードブリッジ整流回路で、
 ・平滑リアクトルが大きければ、直流電流は連続となり交流側の電流は(±I_d)の矩形波となる。
 ・電流は電圧ゼロクロスの瞬間に切り替わる。
  → 図のような「零点から遅れて導通開始」は起こらないので違う

(5) 単相全波サイリスタブリッジ回路
 ・平滑リアクトルが大きければ、直流電流は連続となり交流側の電流は\(±I_d\)の矩形波となる。
 ・サイリスタの点弧角 \(α\) によりゼロクロスから遅れて矩形波が始まる。
  → 図の様な波形になる。

以上より、(5)が答えです。

 

問11.(4)

①負荷を持ち上げるのに必要な機械出力を求める
ここで、
\(F=mg=1000・9.8=9800 [N]\)
\(v=0.5[m/s]\)

したがって、機械出力\(P_m\)は、一定速度なので次の様に求まります。
\(P_m=Fv=9800・0.5=4900[W]=4.9[kW]\)

②効率\(η=0.9\)を考慮する
効率を考慮した機械出力\(P’_m\)は、
\(P’_m=\frac{P_m}{η}=\frac{4.9}{0.9}=5.44≒5.5[kW]\)

以上より、(4)が答えです。

 

問12.(3)

(1) エネルギー密度が小さい
 → 蓄えられるエネルギーはLiイオン電池よりかなり少ないので正しい

(2) 出力密度が大きい
 → 大電流の充放電が可能なので正しい。

(3) 充放電の繰り返しによる劣化のため、寿命が短い
 → 電気二重層キャパシタは、充放電寿命が非常に長く、数十万~数百万回の充放電が可能。
   Liイオン電池より寿命が長いので誤り。

(4) 自己放電による電圧低下が速い
 → Liイオン電池より自己放電が大きいので正しい。

(5) 急速充電が可能である
 → 電気二重層キャパシタの大きな利点。正しい。

以上より、(3)が答えです。

 

問13.(4)

加算点の出力を\(E\)、下のブロック\(\frac{1}{jωT_2}\)の出力を\(X\)と置くと、
\(E=R-X\) …①

下のブロックの入力が\(E\)、出力が\(X\)なので、
\(X=\frac{1}{jωT_2}E\) …②

②を①に代入すると、
\(E=R-\frac{1}{jωT_2}E\) ⇔ \(E=\frac{jωT_2}{1+jωT_2}R\) …③

出力\(C\)は、
\(C=X+\frac{T_1}{T_2}E\) …④

④に②を代入して整理すると、
\(C=\frac{1}{jωT_2}E+\frac{T_1}{T_2}E=\frac{1+jωT_1}{jωT_2}E\) …⑤

⑤に③を代入すると、
\(C=\frac{1+jωT_1}{jωT_2}\frac{jωT_2}{1+jωT_2}R\)
⇔ \(C=\frac{1+jωT_1}{1+jωT_2}R\)

整理すると、
\(\frac{C}{R}=\frac{1+jωT_1}{1+jωT_2}\)

以上より、(4)が答えです。

 

問14.(5)

(1)
\((6)_{16}\)を16倍すると、1桁左シフトとなるため、\((60)_{16}\)は正しい。

(2)
両方とも10進数に直します。
\((1010101)_2=64+16+4+1=85\)
\((57)_{16}=5×16+7=87\)
したがって、\((57)_{16}\)の方が大きいので正しい。

(3)
\((1011)_2=8+2+1=(11)_{10}\) となるため正しい。

(4)
16進数では、\(A=10\)、\(B=11\)、\(C=12\)、\(D=13\)、\(E=14\)、\(F=15\)であるため正しい。

(5)
\((3D)_{16}​\)の各桁を2進数に直すと、
\(3=0011\)、\(D=1101\)です。
したがって、\((3D)_{16}=00111101=(111101)_2​\)となります。
問題文の\(111011)_2​\)は誤りです。

以上より、(5)が答えです。

 

問15.A(3)/ B(3)

(a)問題
問題文から、相電圧
\(V=\frac{400}{\sqrt{3}}[V]\)

力率1、Y結線なので相電流=線電流です。
\(I_M=200[A]\)

入力電力は、相電圧\(V\)、相電流\(I_M\)より、
\(P=3VI_M=3・\frac{400}{\sqrt{3}}・200=138.6[kW]\)

損失を無視するので、出力電力=入力電力となります。

\(p=4\)極・\(f=60[Hz]\)より同期速度
\(N_s=\frac{120f}{p}=1800[min^{-1}]\)

同期角速度\(ω_s[rad/s]\)
\(ω_s=2π\frac{N_s}{60}=188.5[rad/s]\)

出力\(P\)と、トルク\(T\)と、同期角速度\(ω_s[rad/s]\)の関係は、
\(T=\frac{P}{ω_s}=\frac{138600}{188.5}≒735[N・m]\)

したがって、(a)問題は(3)が答えです。

 


(b)問題
出力電力が一定であるという条件から、入力電力も一定となります。
・\(P=138.6[kW]\)のまま、
・力率\(cosθ=\frac{\sqrt{3}}{2}\) になったので、

\(\begin{eqnarray}
P&=&3VI_{M1}cosθ \\
&=&3・\frac{400}{\sqrt{3}}・I_{M1}・frac{\sqrt{3}}{2} \\
&=&600I_{M1}
\end{eqnarray}\)

整理すると、
\(P=600I_{M1}=138600\)
⇔\(I_{M1}=\frac{138600}{600}=231[A]\)

同期電動機のベクトル図から、
\(E=V-jx_sI_{M1}\) …①

同期リアクタンス\(x_s=1[Ω]\)、電機子電流\(I_{M1}=231[A]\)なので、
\(|jx_sI_{M1}|=231[V]\) となります。

実軸に沿ったベクトルである相電圧\(V=\frac{400}{\sqrt{3}}=230.9[V]\) …②
に対して、電流\(I_{M1}\)が30°進みであることから、
\(jx_sI_{M1}\)は、\(30°+90°=120°\) 進みとなります。
したがって、\(jx_sI_{M1}=231cos120°+j231sin120°=-115.5+j200\) …③

以上より、①式に②・③式を代入することで、誘導起電力\(E\)のベクトルが求められます。
\(E=V-jx_sI_{M1}=230.9-(-115.5+j200)=346.3+j200\)
\(|E|=\sqrt{346.3^2+200^2}=400[V]\)

したがって、(b)問題は(3)が答えです。

 

問16.A(2)/ B(2)

(a)問題
相電圧の実効値は、\(V_s=100[V]\)
三相平衡系では、線間電圧の実効値は\(V_{ab}=\sqrt{3}V_s=173.2[V]\)

したがって、(a)問題は(2)が答えです。

 


(b)問題

最大値
まず初めに、最大値を求めます。
三相全波整流器の出力電圧 \(v_d​\) は、各区間で線間電圧の最大値になります。
線間電圧の最大値\(V_{max}\)は、
\(V_{max}=\sqrt{2}V_{ab}=\sqrt{2}・\sqrt{3}V_s=\sqrt{6}V_s=244.9[V]\)

最小値
線間電圧が切り替わる点(60°ごと)で最小となります。
例えば、
\(v_{ab}=\sqrt{6}V_s cos(θ-\frac{π}{3})\)
の端点で、
\(θ-\frac{π}{3}=±\frac{π}{6}\)
なので、
\(V_{min}=\sqrt{6}V_s cos \frac{π}{6}=\sqrt{6}V_s・\frac{\sqrt{3}}{2}=212.1[V]\)

平均出力電圧
\(V_{avg}=\frac{3}{π}V_{max} sin \frac{π}{6}=\frac{3}{π} \sqrt{6}V_s=233.9[V]\)

脈動率\(δ_d\)
問題文から
\(δ_d=\frac{V_{max}-V_{min}}{V_{avg}}=\frac{244.9-212.1}{233.9}=0.14\)

したがって、(b)問題は(2)が答えです。

 

問17.A(5)/ B(2)

(a)問題
・木材(乾燥部分)を 20→100℃ に加熱
・木材中の水を 20→100℃ に加熱
・蒸発する水を蒸発
の3つの熱量を足します。

①木材を加熱
乾燥木材の質量は、含水量が70kgなので、100-70=30kgです。
熱量\(Q_1\) は、
\(Q_1=mcΔT=30・1.25・(100-20)=3000[kJ]\)

②水70kgを20℃→100℃ に加熱
\(Q_2=mcΔT=70・4.19・80=23464[kJ]\)

③蒸発する水を蒸発
最終含水量5 kgなので、蒸発する水は、70-5=65kgです。
蒸発熱\(Q_3\)は、
\(Q_3=65・2.26・10^3=146900[kJ]\)

以上より、
\(Q=Q_1+Q_2+Q_3=3000+23464+146900=173364=173×10^3[kJ]\)

したがって、(a)問題は(5)が答えです。

 


(b)問題
総合効率55%なので、実際に有効利用される熱出力\(P\)は、
\(P=22・0.55=12.1[kW]\) です。

(a)問題から、必要熱量は、
\(Q=173364[kJ]\) です。

\(1kW=1kJ/s\)なので、
\(t=\frac{173364}{12.1}=14328[s]=\frac{14328}{3600}=3.98[h]\)

したがって、(b)問題は(2)が答えです。

 

問18.A(5)/ B(4)

\(XY\bar{Z}+XYZ+\bar{X}YZ+\bar{X}\bar{Y}Z\)
\(=XY(\bar{Z}+Z)+\bar{X}Z(Y+\bar{Y}) \)
\(=XY+\bar{X}Z\)

したがって、(a)問題は(5)が答えです。

 


(b)問題
\( (X+Y+Z)・(X+\bar{Y}+Z)・(\bar{X}+Y+Z)\) について解きます。

左の二つの( )について先に整理します。
\( (X+Y+Z)・(X+\bar{Y}+Z)=(X+Z)+Y\bar{Y}=(X+Z)+0=X+Z\)

残りを整理します。
\( (X+Z)・(\bar{X}+Y+Z)=Z+X(\bar{X}+Y)=Z+X\bar{X}+XY=Z+XY=(X+Z)(Y+Z)\)

したがって、(b)問題は(4)が答えです。

 

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