微分を学ぶ理由
微分は「変化のスピード」を式で表すための道具です。
交流の電圧・電流は、時間とともに絶えず変化します(正弦波)
交流回路では、コイルは\(v=L \frac{di}{dt}\)、
コンデンサは\(i=C \frac{dv}{dt}\) で微分が使われます。
\(\frac{di}{dt}\)は、時間(dt)による電流(di)の変化の割合、
\(\frac{dv}{dt}\)は、時間(dt)による電圧(dv)の変化の割合を表します。

微分とは何か
微分とは、瞬間の変化率を求める計算です。
平均変化率を求める計算式を立てた後、瞬間の変化率を求める2段階で示していきます。
変化の割合(平均変化率)
平均変化率 \(= \frac{Δy}{Δx} = \frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}\)
変化率とは、2つの点の間で、 y がどれだけ増えたかを x の増加で割った値です。
グラフ上では、2点を結ぶ直線の傾きが変化率です。
【例】進んだ距離 ÷ かかった時間 = 平均の速さ

瞬間の変化率(接線の傾き)
2 点を限りなく近づけると、割線はやがて 接線 に近づきます。
つまり、接線の傾き = その点における「瞬間の変化率」です。
今この瞬間、どれくらいの速さで変化しているかを表します。
瞬間の変化率 \(\displaystyle = \lim_{Δx \to 0} \frac{Δy}{Δx}\)

「\(\displaystyle = \lim_{Δx \to 0} \frac{Δy}{Δx}\)」は、\(Δx\) を 0 に限りなく近づけたときの、\(\frac{Δy}{Δx}\)の値を求めるという意味です。
\(Δx\) を 0 に近づけると、割線の傾きは接線の傾きに近づきます。
計算例
\(y=x^2+1\)の二次関数を例に、瞬間の変化率の式
\(\displaystyle = \lim_{Δx \to 0} \frac{Δy}{Δx}\)
を計算してみます。
\(x=x_1\)のときの\(y\)は、\(y_1=x_1^2+1\)
\(x=x_2\)のときの\(y\)は、\(y_2=x_2^2+1\)
となります。

\(x_2=x_1+Δx\)のときの\(y\)は、
\(y_2=(x_1+Δx)^2+1=x_1^2+2x_1Δx+Δx^2+1\)
\(Δy=y_2-y_1=2x_1Δx+Δx^2\)
\(\displaystyle = \lim_{Δx \to 0} \frac{Δy}{Δx}=\lim_{Δx \to 0} \frac{2x_1Δx+Δx^2}{Δx}=\lim_{Δx \to 0} 2x_1+Δx=2x_1\)
導関数と微分の記法
各点の微分係数を、 x の関数としてまとめたものが 導関数 f′(x)です。表の記法も同じ意味。問題によって使い分けます。
| 表記 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| \(f'(x)\)、\(y’\) | 関数を微分した「導関数」。手早く書ける。 |
| \(\frac{df(x)}{dx}\)、\(\frac{dy}{dx}\)等 | \(v(t)\)、\(i(t)\)等の複数の関数があるとき、どの関数をどの変数(時間\(t\)等)で微分するかを明確に示して微分するときに使用する。 \(\frac{dv}{dt}\):電圧\(v\)を時間\(t\)で微分する。 \(\frac{di}{dt}\):電流\(i\)を時間\(t\)で微分する。 |
微分の公式一覧
電験三種の計算で使用する微分の公式を列挙します。(電験で使用しない公式は省略しています)
基本関数の微分
| 関数\(y\) | 微分\(\frac{dy}{dx}\) |
|---|---|
| 定数 | 0 |
| \(x\) | 1 |
| \(x^2\) | \(2x\) |
| \(x^n\) | \(nx^{n-1}\) |
三角関数の微分
| 関数\(y\) | 微分\(\frac{dy}{dx}\) |
|---|---|
| \(sin ax\) | \(a・cos ax\) |
| \(cos ax\) | \(-a・sin ax\) |
指数関数の微分
| 関数\(y\) | 微分\(\frac{dy}{dx}\) |
|---|---|
| \(e^{ax}\) | \(ae^{ax}\) |
合成関数の微分
関数\(y=f(g(x))\)のとき、\(\frac{dy}{dx}=f'(g(x))・g'(x)\)
ここで、\(u=g(x)\)と置くと、\(y=f(g(x))\)は、外側の関数\(f(u)\)と内側の関数\(u\)で出来ていることがわかります。
合成関数の微分の方法は、3ステップで出来ます。
① 外側の関数\(f(u)\)を微分する(内側の関数はそのまま) → \(f'(u)\) が求まる
② 内側の関数\(u\)の微分を掛ける → \(u’\) が求まる
③ \(f'(u)\)・\(u’\)を求める
【例】\(y=(3x^2+1)^5\) を実際に微分してみましょう。
① 外側の関数を微分:\(f(u)=(3x^2+1)^5\) ➡ \(f'(u)=5・(3x^2+1)^4\)
② 内側の関数を微分:\(u=3x^2+1\) ➡ \(u’=6x\)
③ \(f'(u)\)・\(u’\)を求める:\(\frac{dy}{dx}=f'(u)・u’=30x・(3x^2+1)^4\)
分数の微分
関数 \(y=\frac{f(x)}{g(x)}\) のとき、\(\frac{dy}{dx}=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}\)
\(y=\frac{f(x)}{g(x)}\)は、分子の関数\(f(x)\)と、分母の関数\(g(x)\)で出来ています。
分数の微分の方法は、4ステップで出来ます。
① 分子を微分\(f'(x)\) して、分母\(g(x)\) をそのまま掛ける → \(f'(x)g(x)\) が求まる
② 分子はそのまま\(f(x)\) で、分母の微分\(g'(x)\) を掛ける → \(f(x)g'(x)\) が求まる
③ ①から②を引いて分子とする
④ 分母を二乗する
⑤ ③と④をまとめる
【例】\(y=\frac{x}{x^2+1}\) を実際に微分してみましょう。
分子:\(f(x)=x\) → \(f'(x)=1\)
分母:\(g(x)=x^2+1\) → \(g'(x)=2x\)
① \(f'(x)g(x)=x^2+1\) が求められる
② \(f(x)g'(x)=x・2x=2x^2\) が求められる
③ ①から②を引いて分子とする \(f'(x)g(x)-f(x)g'(x)=x^2+1-2x^2=-x^2+1\)
④ 分母を二乗する \((g(x))^2=(x^2+1)^2\)
⑤ まとめると、\(\frac{dy}{dx}=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}=\frac{-x^2+1}{(x^2+1)^2}\)
練習問題
(1) \(y=5x^3+3x^2+x+a+5\) を\(x\)について微分せよ。\(a\)は定数とする。(\(\frac{dy}{dx}\))
(2) \(y=(r+R^2)^2\)を\(R\)について微分せよ。\(r\)は定数とする。(\(\frac{dy}{dR}\))
(3) \(v(t)=100sin 50t[V]\)を微分せよ。(\(\frac{dv(t)}{dt}\))
(4) \(i(t)=ke^{-st}\)を微分せよ。\(k\)・\(s\)は定数とする。( \(\frac{di(t)}{dt}\))
(5) \(P=\frac{RV^2}{(r+R)^2}\)を抵抗\(R\)について微分せよ。(\(\frac{dP}{dR}\))
回答
(1) \(y=5x^3+3x^2+x+a+5\) を\(x\)について微分せよ。\(a\)は定数とする。(\(\frac{dy}{dx}\))
\(\frac{dy}{dx}=5・3x^2+3・2x+1+0+0=15x^2+6x+1\)
(2) \(y=(r+R^2)^2\)を\(R\)について微分せよ。\(r\)は定数とする。(\(\frac{dy}{dR}\))
\(\frac{dy}{dR}=2・(r+R^2)・2R=4R(r+R^2)\)
(3) \(v(t)=100sin 50t[V]\)を微分せよ。(\(\frac{dv(t)}{dt}\))
\(\frac{dv(t)}{dt}=100・50cos 50t=5000cos 50t\)
(4) \(i(t)=ke^{-st}\)を微分せよ。\(k\)・\(s\)は定数とする。( \(\frac{di(t)}{dt}\))
\(\frac{di(t)}{dt}=k・(-se^{-st})=-ske^{-st}\)
(5) \(P=\frac{RV^2}{(r+R)^2}\)を抵抗\(R\)について微分せよ。(\(\frac{dP}{dR}\))
\(\begin{eqnarray}
\frac{dP}{dR}&=&\frac{V^2(r+R)^2-RV^2・2(r+R)・1}{(r+R)^4} \\
&=&\frac{V^2(r+R) \{ (r+R)-2R \} }{(r+R)^4} \\
&=&\frac{r-R}{(r+R)^3}V^2
\end{eqnarray}\)
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