概要
2台の変圧器を並列運転したときに、変圧比が異なる際に流れる循環電流を求める計算問題です。
並列運転をするためには、単相変圧器は4つ、三相変圧器は4+2つの条件を満たしている必要があります。本問は、その条件のうち、変圧比(巻数比)が異なるときに起こることを、計算して具体的に求める問題です。
キーワード
変圧器、変圧器の並列運転、循環電流
問題
2台の単相変圧器があり、それぞれ、巻数比(一次巻数/二次巻数)が30.1、30.0、二次側に換算した巻線抵抗及び漏れリアクタンスからなるインピーダンスが(0.013 + j0.022) Ω、(0.010 + j0.020) Ωである。
この2台の変圧器を並列接続し二次側を無負荷として、一次側に6600Vを加えた。
この2台の変圧器の二次巻線間を循環して流れる電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、励磁回路のアドミタンスの影響は無視するものとする。
(1) 4.1 (2) 11.2 (3) 15.3 (4) 30.6 (5) 61.3
答え
(3)
解説テキスト リンク
ポイント
変圧器を並列接続して運転の条件
次の1~4の条件を満たす必要があります。三相変圧器は、更に5・6の条件が追加されます。
下記条件は、論説問題でも問われることがあるため、理解しておいた方が良い内容です。
本問は、これらの条件のうちの2.に関する問題です。
- 極性が同じであること
極性が異なる変圧器がつながると、ほぼ短絡状態となり、非常に大きな循環電流が流れて変圧器が焼損します。 - 変圧比(巻数比)が等しいこと
変圧比が異なると、電位差が生じるため循環電流が流れてしまいます。
その結果、銅損の増加と温度上昇につながります。 - %インピーダンスがほぼ等しいこと
電流を定格出力に比例するように出力できなくなります。
その結果、一方の変圧器が過負荷となるおそれがあります。 - インピーダンスの位相角(X/R比)がほぼ等しいこと
XRが等しくないと、各々の変圧器から出力される電流に位相差が生じます。
変圧器間で負荷電流を適切に分担できなくなるため、供給できる電流が減少します。 - 【3相変圧器】相回転(相順)が同じ
正相(R相→S相→T相)の変圧器と、逆相(R相→T相→S相)の変圧器がつながると、ほぼ短絡状態となり、非常に大きな循環電流が流れて変圧器が焼損します。 - 【3相変圧器】角変位(位相変位)が同じ
三相変圧器ではΔ・Yの結線方式によって、一次側電圧と二次側電圧の間に位相差が発生します。それが角変位です。角変位が一致していない場合、変圧器間の電圧に位相差が生じるため並列運転できません。
循環電流について
2つの変圧器が並列接続されていることによって、閉回路を形成します。
変圧比が異なると、2つの変圧器の二次側の出力に電位差\(ΔV[V]\) が生じるので、電位差\(ΔV[V]\) が電圧源となって2つの変圧器による閉回路に循環電流\(I[A]\) が流れます。
閉回路中に存在するインピーダンスは、2つの変圧器の二次側に換算した巻線抵抗\(R[Ω]\) と、漏れリアクタンス\(X[Ω]\) からなるインピーダンス\(Z[Ω]\) のみです。
循環電流の大きさは、\(I=\frac{ΔV}{|Z|}\) となります。
解答

2つの変圧器を区別しやすくするために変圧器A、変圧器Bと名付けます。
変圧器A
巻数比\(n_A=30.1\)
インピーダンス\(Z_A=0.013+j0.022 [Ω]\)
変圧器B
巻数比\(n_B=30.0\)
インピーダンス\(Z_B=0.010+j0.020 [Ω]\)
2つの変圧器の二次側の出力に電位差\(ΔV[V]\) は、
\(ΔV[V]=V_{B2}-V_{A2}=220.000-219.269=0.731[V]\)
変圧器A、Bの合成インピーダンス\(Z[Ω]\)は、
\(Z=Z_A+Z_B=(0.013+j0.022)+(0.010+j0.020)=0.023+j0.042\)
インピーダンスの大きさ\(|Z|[Ω]\)は、
\(|Z|=\sqrt{0.023^2+0.042^2}=0.04789\)
循環電流\(I[A]\) の大きさは、
\(I=\frac{ΔV}{|Z|}=\frac{0.731}{0.04789}≒15.3\)
以上より、(3)15.3 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和元年度 第三種電気主任技術者試験 機械科目問8


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