概要
整流形の電圧計の指示値の計算問題です。
交流電圧波形の実効値(RMS)・平均値・波形率について理解をしていないと、確実に誤答となるような引っ掛け問題レベルの高難易度です。
問題文の「目盛が正弦波交流に対する実効値になる整流形の電圧計(全波整流形)」が非常に重要な情報です。
キーワード
正弦波交流、方形波、波形率、電圧の実効値、電圧の平均値
問題
目盛が正弦波交流に対する実効値になる整流形の電圧計(全波整流形)がある。
この電圧計で図のような周期 \(20 ms\) の繰り返し波形電圧を測定した。
このとき、電圧計の指示の値 \([V]\) として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちか
ら一つ選べ。

(1) 5.66 (2) 5.14 (3) 4.62 (4) 4.44 (5) 4.00
答え
(4)
解説テキスト リンク
回答解説
前提知識
電圧計の指示値
電圧計が指示するのは「電圧の実効値(RMS)」です。
電圧の実効値(RMS)とは
電圧の実効値(RMS)とは、交流電圧が抵抗負荷に与える消費電力を、同じ値の直流電圧と同じにするための等価的な値です。
波形率とは
交流波形には様々な形の波形があります。直流、矩形波(方形波)、正弦波、三角波、パルス波など。
その交流波形が「どんな形か(歪み具合)」を分析するために、波形率を見る必要があります。
波形率の式
\(\displaystyle 波形率=\frac{実効値}{平均値(整流平均)}\)
注意事項
問題文中の
「目盛が正弦波交流に対する実効値になる整流形の電圧計(全波整流形)がある。」
という記載は、電圧計に問題文中の図の方形波が入力された場合でも、正弦波として電圧を表示します。
➡ 正弦波と方形波の波形の違いを補正するため、波形率を考慮する必要があります。
回答
回答の流れ
(1) 正弦波交流の波形率を求める
(2) 図の波形の平均値を求める
(3) 図の波形の実効値を求める
(1)正弦波交流の波形率を求める
電圧計の指示値は、正弦波交流に対する実効値です。
正弦波交流について解析します。電圧の最大値を\(V_m[V]\)としたとき、次のように表されます。
・実効値\(V_{sinRMS}\)は、\(V_{sinRMS}=\frac{1}{\sqrt{2}}V_m≒0.707V_m\)
・平均値\(V_{sinAV}\)は、\(V_{sinAV}=\frac{2}{π}V_m≒0.640V_m\)
・波形率\(F\)は、\(F=\frac{V_{sinRMS}}{V_{sinAV}}=\frac{0.707}{0.640}≒1.11\)
(2) 図の波形の平均値を求める
問題文の図の波形は方形波で、その平均値 \(V_{sqAV}\) を求めます。
\(8V\)の電圧が\(10ms\)、\(0V\)の電圧が\(10ms\)、一周期 \(20ms\)なので、
\(V_{sqAV}=\frac{8×10^{-3}+0×10^{-3}}{2×10^{-3}}=4[V]\)
(3) 図の波形の実効値を求める
電圧計は、正弦波交流の波形率\(F\)なので、
\(F=\frac{V_{sqRMS}}{V_{sqAV}}\)
⇔ \(V_{sqRMS}=V_{sqAV}・F=4・1.11=4.44[V]\)
以上より、(4)が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目問14


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