概要
変圧器の電圧変動率に関する計算問題です。
電圧変動率は、無負荷時と、定格負荷時の二つの場合において、どれくらい二次端子電圧が変動するかを表すものです。変圧器の電源の品質における重要な指標です。
電圧変動率の計算については、理解していれば計算は一瞬で終わります。
しかし、電圧変動率の近似式が分からずに解答出来ないという人も多かったのではないかと思われます。
キーワード
変圧器、電圧変動率、百分率抵抗降下
問題
定格容量 \(500kV・A\) の三相変圧器がある。
負荷力率が \(1.0\) のときの全負荷銅損が \(6kW\) であった。
このときの電圧変動率の値[%]として、最も近い物を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、鉄損及び励磁電流は小さく無視できるものとし、簡単のために用いられる電圧変動率の近似式を利用して解答すること。
(1) 0.7 (2) 1.0 (3) 1.2 (4) 2.5 (5) 3.6
答え
(3)
解説テキスト リンク
回答の解説
電圧変動率を計算するための定格負荷時の変圧器の回路を描くと、次のような回路図になります。
この回路図は、三相変圧器の一相分だけ取り出して描いているので、定格負荷時の二次端子電圧\(\dot{V}_{2n}\) は相電圧です。

与えられた条件
・定格容量:\(S=3V_{2n}I_{2n}=500[kV・A]\)
・全負荷銅損:\(P_c=3I^2_{2n}r=6[kW]\)
定格容量 \(500kV・A\) の三相変圧器がある。
負荷力率が \(1.0\) のときの全負荷銅損が \(6kW\) であった。
このときの電圧変動率の値[%]として、最も近い物を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、鉄損及び励磁電流は小さく無視できるものとし、簡単のために用いられる電圧変動率の近似式を利用して解答すること。
重要公式
問題文に記載されている電圧変動率\(ε\) の近似式
\(ε=pcosθ+qsinθ\)
\(ε\):電圧変動率
\(p\):百分率抵抗降下
\(q\):百分率リアクタンス降下
百分率抵抗降下\(p\) の式
\(\frac{I_{2n}r}{V_{2n}}=\frac{P_c}{S}\)
\(V_{2n}\):定格負荷時の二次端子電圧(相電圧)
\(I_{2n}\):定格負荷時の二次相電流
\(P_c\):全負荷銅損
\(S\):定格容量
解答の流れ
(1)百分率抵抗降下\(p\)を求める。
(2)電圧変動率\(ε\)を求める。
(1)百分率抵抗降下\(p\)を求める。
百分率抵抗降下\(p\)の小数表示は、定格容量\(S[kV・A]\)と、全負荷銅損\(P_c[kW]\)を使って次のように表されます。
\(p=\frac{P_c}{S}=\frac{6}{500}=0.012\)
(2)電圧変動率\(ε\)を求める。
電圧変動率\(ε\)、百分率抵抗降下\(p\)、百分率リアクタンス降下\(q\)と、力率\(cosθ\)の関係式は、
\(ε=pcosθ+qsinθ\)
です。問題文から、力率\(cosθ=1.0\)なので、
\(ε=p=0.012\)
百分率表示をするには100を掛ければよいので、
\(ε=1.2\)[%]
以上より、(3)が答えです。
補足(百分率抵抗降下\(p\) の式の証明)
重要公式で示した、百分率抵抗降下\(p\) の式の証明
\(\frac{I_{2n}r}{V_{2n}}=\frac{P_c}{S}\) …①
\(V_{2n}\):定格負荷時の二次端子電圧(相電圧)
\(I_{2n}\):定格負荷時の二次相電流
\(P_c\):全負荷銅損
\(S\):定格容量
が成り立つ理由を導出していきます。
全負荷銅損の式を整理
\(P_c=3I^2_{2n}r\)
⇔ \( I_{2n}r=\frac{P}{3I_{2n}}\) …②
定格容量の式を整理
\(V_{2n}\)は、相電圧なので、
\(S=3V_{2n}I_{2n}\)
⇔ \(V_{2n}=\frac{S}{3I_{2n}}\) …③
①式に②・③を代入していきます。
\(p=\frac{I_{2n}r}{V_{2n}}=\frac{\frac{P}{3I_{2n}}}{\frac{S}{3I_{2n}}}=\frac{P_c}{S}\)
したがって、①が成立することがわかりました。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問9


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