ベクトルの基礎

ベクトルの基礎 解説ページ

ベクトルを学ぶ理由

直流の計算では、電圧も、電流も「大きさ」だけを持ちます。(例:\(V=100V\)、\(I=10A\)等)
「大きさ」だけで計算できる量を、スカラーと呼びます。

交流の電圧・電流は「大きさ」と「位相(タイミングのずれ)」を同時にもつため、単純な足し算では正しく計算できません。

ベクトルは、「大きさ」と「向き(偏角)」の二つを持ち、「向き(偏角)」で「位相」を表すことができます。その両方を同時に計算できるベクトルを学ぶことで、計算方法の基礎を学ぶことができます。

ベクトルを学んだ後は、ベクトルと密接な関係にある複素数を学ぶことで、交流の計算を簡単に出来るようになります。

 

直流(スカラーで計算)

・普通に足し算、引き算が可能
・向き(位相)を考えなくて良い
・【例】質量・温度・電力・電気量に使用

交流(ベクトルで計算)

・そのままの数だけでは合成できない
・ベクトル・複素数でまとめて扱う
・【例】力・速度・交流の電圧と電流

 

ベクトルとは

ベクトルとは「大きさ」と「向き」の両方をもつ量です。

矢印で表し、矢印の長さが「大きさ」矢印の角度が「向き」を表します。

ベクトルであることを明確に表すときは、\(\dot{A}\) のように、文字の上に点を付けて表します。

ベクトルの表示形式

ベクトルの表現の仕方には、直行形式と、極形式の2種類の形式があります。
計算の内容(足算・内積等)によって、計算しやすい形式が異なるので、どちらも使用します。

直交形式:\(\dot{A}=(a,b)\)のように、\(x,y\)座標で表現する方式です。
極形式 :\(\dot{A}=|A|∠θ\)のように、大きさ\(|A|\)と、偏角\(∠θ\)で表現する方式です。

 

直交形式 → 極形式 への変換

直交形式で表されたベクトルを、極形式へ変換するためには、
 ・ベクトルの大きさ
 ・ベクトルの向き(偏角)
の2つを計算する必要があります。

 

ベクトルの大きさの計算

原点から矢印の先までの長さを、ベクトルの大きさ |A| といいます。
ベクトル\(\dot{A}\)の大きさは\(|A|\)で表します。

大きさ\(|A|\)は、三平方の定理(成分の2乗の和の平方根)で求めます。

\(|A|=\sqrt{a^2+b^2}\)

例:\( \dot{A}=(1,\sqrt{3}) \)のとき
→ \(|A|=\sqrt{1^2+\sqrt{3}^2}=\sqrt{1+3}=2\)

 

ベクトルの向き(偏角)の計算

x軸の向きを0°とし、 x軸から角度が何度ずれているかを∠θで表したものをベクトルの向きと呼びます。

ベクトルの向き(偏角)である∠θは、
x軸成分aと、y軸成分bの比から、その傾き\(\frac{b}{a}\)が求められるので、傾きから偏角∠θを求める逆三角関数である\(tan^{-1}\)を使って求めます。

\(∠θ=tan^{-1}\frac{b}{a}\)

例: \(\dot{A} =(1, \sqrt{3})\)
\(tan60°=\sqrt{3}\)なので、
\(∠θ=tan^{-1} \frac{\sqrt{3}}{1}=tan^{-1} \sqrt{3}=60°\) と求められます。

 

直交形式 → 極形式 への変換 まとめ

求めたベクトルの大きさ\(|A|\)  と、向き(偏角)\(∠θ\)を使って、
極形式のベクトルは、\(\dot{A}=|A|∠θ\) でまとめて表すことができます。

複素数の計算にそのまま対応することができるので、交流回路の計算の基礎として使われています。

例: \(\dot{A}=(1,\sqrt{3})\)
・大きさ \(|A|=\sqrt{1^2+\sqrt{3}^2}=2\)
・偏 角 \(∠θ=tan^{-1} \frac{\sqrt{3}}{1}=tan^{-1} \sqrt{3}=60°\)

したがって、\(\dot{A}=2∠60°\)

 

極形式 → 直交形式 への変換

極形式から直行形式への変換は、ベクトルの大きさ\(|A|\)と、偏角\(∠θ\)を、水平成分と垂直成分の2つの成分に分けることで求められます。
角度θがわかれば三角関数で求められます。

水平成分
\(A_x=|A|cosθ\)
 
垂直成分
\(A_y=|A|sinθ\)
 
直交形式にすることで、ベクトルの足し算・引き算が簡単になります。

 

 

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