スコット結線とは

スコット結線変圧器は、三相交流を二相交流(位相が90°異なる2つの単相)に変換するための特殊な変圧器です。逆に二相から三相への変換も可能です。
スコット結線変圧器は、2台の単相変圧器で構成されます。
・主座変圧器(M座変圧器:Main transformer)
・T座変圧器(T座変圧器:Teaser transformer)
M座変圧器
一次巻線の中央(50%タップ)に中間タップを持つ変圧器です。
三相電源の2相間(A相とB相)に接続されます。
T座変圧器
一次巻線の一端をM座の中間タップに接続します。
その一端から、\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)の位置から三相電源の残り1相(C相)に接続します。
何故、この様に変な接続をするかは、一次側電圧のベクトル図を見るとわかります。

三相電圧のベクトルは、正三角形を描きます。
90°の位相差を得るためには、正三角形一点から垂線を下ろしたような直角三角形となるようなベクトルを作り出せれば、90°の位相差がある二次電圧を取り出す事が出来ます。

\(\dot{V}_{AB}・\dot{V}_{CA}・\dot{E}_{T1}\)のベクトルに着目すると、\(\frac{\dot{V}_{AB}}{2}・\dot{V}_{CA}・\dot{E}_{T1}=1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形であることが分かります。
したがって、
M座変圧器の\(\frac{1}{2}\)の位置で中間タップに接続し、
T座変圧器の\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)の位置から電源を取り出す結線となります。
スコット結線の特徴
長所
- 三相側を平衡に保てる
二次側の2つの単相負荷容量が等しい場合、一次側(三相電源側)の電流が平衡します。
これにより、電圧不平衡を最小限に抑えられます。 - 単相負荷をバランスよく取り出せる
三相電源から単純に1相だけ単相負荷を取ると大きく不平衡になりますが、スコット結線なら2系統に分けて供給することで平衡を維持できます。 - 二相変換が可能
三相 ⇔ 二相(位相が90°異なる2つの単相)の双方向変換ができます。
短所
- 負荷不平衡に弱い
二相側の負荷が不均等になると、三相側にも不平衡電流が発生します。 - 結線が複雑
一般的なΔ結線やY結線より設計・施工がやや複雑です。 - 変圧器が2台必要
一体構造の場合もありますが、基本的にはM座変圧器とT座変圧器が必要です。 - 一般産業用途ではあまり使用されない
一般産業用途では使用機会が減少していますが、鉄道変電設備や特殊負荷向けでは現在も広く利用されます。
用途
- 鉄道変電設備
現在の交流型電車では、VVVFインバータによって三相誘導電動機(または永久磁石同期電動機)を駆動する方式が主流です。変電所から電車へ電力を供給する架線には、単相交流(もしくは直流)を使用します。そして、三相受電した電力から単相交流を取り出すためにスコット結線が使用されます。
何故架線に単相交流を使用するかというと、相間短絡を防ぐための絶縁処置が難しいことや、配線が増える事によって経済的にも不利であるためです。
鉄道車両に搭載されているVVVFインバータで、受電した単相交流から、任意の電圧・周波数の三相交流に変換することで、滑らかな運転を実現しています。
- 防災用非常用電源等(三相系統から複数の単相負荷をバランスよく供給する設備)
ビルや工場の非常用発電機は、防災用に使用されることがあります。
防災用負荷は、消火栓用ポンプのような三相負荷だけでなく、非常照明・火災報知設備・排煙口等々の多くの単相負荷があります。
三相と単相同時に電力を供給するために、スコットトランスが使用されます。

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