V結線(ブイ結線)とは

V結線は、三相変圧器の結線方式の一つです。
Δ(デルタ)結線から1相分の変圧器を取り除いた形の結線で、2台の単相変圧器だけで三相電力を供給できる点が最大の特徴です。
変圧器2台を接続した形が「V字」に見えるため、「V結線」と呼ばれます。
また、前述の通り、Δ結線から1相分を取り除いた形なので、「オープンデルタ」と呼ぶこともあります。
V結線の特徴
ベクトル図
V結線は、三相平衡電圧が与えられると、2台の変圧器の誘導起電力から、もう1相の電圧がベクトル的に生成されることで、三相の線間電圧を得ることができます。

結線図

電圧のベクトル図

電流のベクトル図
V結線の電圧・電流
V結線は、「線間電圧=相電圧」、「線電流=相電流」となります。
結線毎に電圧・電流の関係をまとめると、
| V結線 | Y結線 | Δ結線 | |
|---|---|---|---|
| 電圧 | 線間電圧=相電圧 | 線間電圧=\(\sqrt{3}\)相電圧 | 線間電圧=相電圧 |
| 電流 | 線電流=相電流 | 線電流=相電流 | 線電流=\(\sqrt{3}\)相電流 |
長所
- 変圧器2台で済むため、初期コストや設置スペースを抑えられる。
- Δ結線の1台が故障した場合の応急運転として使える。
- 異容量V結線によって単相負荷と、三相負荷を同時に供給することができる。
短所
- 利用率が低い(86.6%)。
変圧器容量\(S[V・A]\)を2台使用して、\(0.866・2S\)しか出力できない。そのため、設備効率が悪い。 - Δ結線に対して57.7%の容量しか出力できない。(\(S_V=0.577S_Δ\))
- 電圧・電流のバランスが崩れやすく、電圧不平衡が生じやすい。
用途
- 小規模な三相負荷の供給
- 故障時の応急運転
- 柱上変圧器(異容量V結線)
単相負荷(電灯)は、容量が大きい側の変圧器(共用変圧器)から単相を取り出して使用します。
三相負荷(動力)は、2つの変圧器から三相を取り出して使用します。
利用率の導出
利用率とは、変圧器設備の定格容量に対して、実際にどれだけ有効に出力を取り出せるかを表す割合です。
単相変圧器1台の定格容量\(S[V・A]\)は、V:定格電圧、I:定格電流としたとき、
\(S=VI\)
となります。V結線では、この変圧器を2台使用します。
2台の合計設備容量は、
\(2S=2VI\)
です。
V結線で実際に供給できる三相容量は、
\(S_V=\sqrt{3}VI\)
です。
以上より、
利用率\(=\frac{S_V}{2S}=\frac{\sqrt{3}VI}{2VI}=0.866\)
したがって、V結線では、使用した単相変圧器の86.6%の容量を利用することができます。
V結線の利用率の例
\(S=50[kV・A]\)の単相変圧器を2台使用した場合、
\(S_V=0.866・2S=86.6[kV・A]\)
の容量だけ、利用することができます。
出力比の導出
Δ結線の出力
Δ結線では単相変圧器を3台使用します。
各変圧器の電圧は、相電圧\(V_p\)=線間電圧 \(V_L\) です。
各変圧器の電流は、相電流\(I_p\) です。
Δ結線における線電流\(I_L\)は、\(I_L=\sqrt{3}I_P\) です。
変圧器からの出力は、線間電圧、線電流なので、これらを三相電力の公式に当てはめて行きます。
三相電力の公式から、
\(S_Δ=\sqrt{3}・V_L・I_L=\sqrt{3}・V_p(\sqrt{3}I_p)=3V_pI_p\)
と求められます。
V結線の出力
V結線では単相変圧器を2台使用します。
各変圧器の電圧は、相電圧\(V_p\)=線間電圧 \(V_L\) です。
各変圧器の電流は、相電流\(I_p\)=線電流\(I_L\)です。
変圧器からの出力は、線間電圧、線電流なので、これらを三相電力の公式に当てはめて行きます。
三相電力の公式から、
\(S_V=\sqrt{3}・V_L・I_L=\sqrt{3}・V_p・I_p\)
と求められます。
Δ結線とV結線の出力の比較
\(\frac{S_V}{S_Δ}=\frac{\sqrt{3}・V_p・I_p}{3・V_p・I_p}=\frac{1}{\sqrt{3}}=0.577\)
Δ結線とV結線の出力比の例
\(S=VI=100[kV・A]\)の単相変圧器を使用したΔ結線が、1台故障してV結線になったとき、出力の変化を求めます。
Δ結線のときの出力は、
\(S_Δ=3VI=300[kV・A]\)
1台故障してV結線になったときの出力は、
\(S_V=\sqrt{3}VI=173[kV・A]\)
出力の比は、
出力比\(= \frac{S_V}{S_Δ}=\frac{173}{300}=0.577\)
となります。
このことから、Δ結線で300kVA供給できていた設備が、1台故障してV結線になった場合、その57.7%である、173kVAまでしか供給できなくなります。

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