概要
三次巻線まである変圧器の計算問題です。
三次巻線は、電験三種ではあまり出題されることが無いので、その取り扱いに迷う問題だと思います。
一次側から見れば二次負荷と三次負荷の複素電力を合成して扱うことができるので、難易度は基本的な問題です。
計算自体は皮相電力から有効・無効電力を算出。遅れ・進み無効電力を計算。負荷を合成した電力から一次電流を計算。の三段階で解ける問題です。
誘導性負荷(巻線)は遅れ無効電力、容量性負荷(コンデンサ)進み無効電力の負荷です。
遅れ無効電力と、進み無効電力の合成は、相殺しあうので、引き算をすれば良いです。
基本的には、遅れ無効電力を正として計算することが多いです。(この問題の計算においては、どちらでも良いですが)
キーワード
三相三巻線変圧器、有効電力、無効電力
問題
一次線間電圧が66 kV、二次線間電圧が6.6 kV、三次線間電圧が3.3 kVの三相三巻線変圧器がある。
一次巻線には線間電圧66 kVの三相交流電源が接続されている。
二次巻線に力率0.8、8000 kV・Aの三相誘導性負荷を接続し、三次巻線に4800 kV・Aの三相コンデンサを接続した。一次電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、変圧器の漏れインピーダンス、励磁電流及び損失は無視できるほど小さいものとする。
(1) 42.0 (2) 56.0 (3) 70.0 (4) 700.0 (5) 840.0
答え
(2)
解説テキスト リンク
ポイント
三次巻線について
三次側にコンデンサがつながっているが、一次側から見たらどう扱うのか?ということで迷うかもしれません。
三次巻線には4800 kVAの三相コンデンサが接続されています。
コンデンサは進相無効電力を供給するため、三次側では \(Q_3=-4800[kVar]\) として扱います。
三次側のコンデンサは進み無効電力を系統へ供給するため、二次側負荷が必要とする遅れ無効電力を補償します。
したがって、一次側から見た総複素電力は、
・二次側の誘導性負荷の有効電力 \(P_2[kW]\)
・二次側の誘導性負荷の無効電力 \(Q_2[kVar]\)
・三次側のコンデンサの無効電力 \(Q_3[kVar]\)
三巻線変圧器であっても、一次側から見れば各巻線に接続された負荷の複素電力を合成して考えればよいです。
解答

二次側には、\(S_2=8000[kV・A]\) 、力率 \(0.8\) の三相誘導性負荷が接続されているので、有効電力 \(P_2[kW]\) と、無効電力 \(Q_2[kVar]\)をそれぞれ求めます。(遅れ無効電力を正とします)
\(P_2=S_2 cosθ=8000・0.8=6400[kW]\)
\(Q_2=S_2 sinθ=S_2 \sqrt{1-cos^2θ}=8000 \sqrt{1-0.8^2}=8000・0.6=4800[kVar]\)
次に、三次側は、4800 kV・Aのコンデンサが接続されています。
コンデンサは有効電力をほとんど消費せず、進み無効電力のみを供給するので、三次側負荷は無効電力 \(Q_3[kVar]\) のみで表せます。
したがって、\(Q_3=-4800[kVar]\)
一次側から見た総複素電力は、
・二次側の誘導性負荷の有効電力 \(P_2[kW]\)
・二次側の誘導性負荷の無効電力 \(Q_2[kVar]\)
・三次側のコンデンサの無効電力 \(Q_3[kVar]\)
なので、これらの電力のベクトルを合成すると、下図のようなベクトル図となり、
\(Q_2\) と \(Q_3\) が相殺され、\(P_2\) のみが残ります。

したがって、一次側から供給する有効電力 \(P_1[kW]\) は、
\(P_1=P_2=6400[kW]\) となります。
無効電力が無いので、一次側から見た力率 \(cosθ_1\) は、\(cosθ_1=1.0\) となります。
次に、問題の目的である一次電流の値 \(I_1[A]\) を求めます。
三相変圧器の電力の式は、
\(P_1=\sqrt{3}V_1I_1 cosθ\)
⇔\(I_1=\frac{P_1}{\sqrt{3}V_1cosθ}=\frac{6400×10^3}{\sqrt{3}・66×10^3・1}≒56.0[A]\)
以上より、(2)56.0 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和2年度 第三種電気主任技術者試験 機械科目問9



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