概要
大型の変圧器の温度上昇試験として用いられる返還負荷法の回路に関する論説問題です。
かなりマニアックな問題であるため、当時の受験者にとっては捨て問に近い問題だったかと思われます。
しかしながら、定格負荷電流を流しながらも、外部電源からは損失分(主として鉄損・銅損)のみを供給すればよいため、非常に合理的な試験回路です。
温度上昇試験としては、実負荷法というものもあります。
これは変圧器の定格容量と同じ負荷を接続して実負荷運転をする方法です。
そのため、単位がMVA規模の大型変圧器だと、設備が大規模になってしまうため実施が難しいです。
(1MVAの変圧器であれば、1000Wのケトルを同時に1000台動かし、発生した熱を外に逃がし続けながら数時間にかけて試験するような物)
大型変圧器の試験を現実的にした、非常によく考えられた試験回路という意味で、回路の考え方について、学んでおいても損は無いかと思われます。
キーワード
変圧器、温度上昇試験、返還負荷法
問題
変圧器の試験方法の一つに温度上昇試験がある。小形変圧器の場合には実負荷法を用いるが、電力用等の大型変圧器では返還負荷法を用いる。
返還負荷法では、外部電源から鉄損と銅損に相当する電力のみを供給すればよいので試験電源が比較的小規模なものですむ。
単相変圧器におけるこの試験の結線方法及び図中に示す鉄損、銅損の供給方法として、次の(1)~(5)のうちから正しいものを一つ選べ。
ただし、\(T_1\)、\(T_2\) は試験対象となる同じ仕様の変圧器、\(T_3\) は補助変圧器である。

答え
(2)
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解答

変圧器の結線
\(T_1\)と、\(T_2\)の一次側(左側)は、両変圧器に同じ電圧が加わるように並列接続し、鉄損供給用電源に接続します。
\(T_1\)と、\(T_2\)の二次側(右側)は、誘起電圧が互いに打ち消し合うように逆極性で直列接続します。
鉄損の供給
二次側には負荷電流が流れず銅損が発生しないため、供給電力は鉄損のみとなります。
銅損の供給
\(T_3\) から供給された電力は、\(T_1\) では二次から一次側に、\(T_2\) では一次から二次側に伝達されます。

鉄損の供給原理

銅損の供給原理
以上より、(2)が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和元年度 第三種電気主任技術者試験 機械科目問9


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