水晶振動子とは
水晶振動子とは、水晶の圧電効果を利用して、非常に安定した周波数で機械的に振動する電子部品です。水晶振動子は受動部品なので、単体では振動し続けません。
発振回路と組合わせることで、水晶発振器として安定した周波数の発振信号を出力することができます。
CPU、メモリ、通信回路等々の様々な電子回路の処理のタイミングをそろえるための基準となる周期的な信号であるクロックを作ります。
データの読込み、書込み、計算処理は、タイミングが揃わないと正確な動作をすることができないため、水晶振動子が供給するクロックは重要な役割を持ちます。
水晶振動子の構造
人工水晶を精密に切り出した薄い板(水晶片)を、二つの電極に導電性接着剤等で接続した構造をしています。
水晶振動子の動作原理
水晶振動子の動作原理は、圧電効果という現象を使っています。圧電効果には、
正圧電効果:水晶に機械的な圧力(ひずみ)を加えると、表面に電気が発生する。
逆圧電効果:水晶に電圧を加えると、機械的に変形(ひずみ)する。
の2種類があります。水晶振動子は、この両方使って振動します。
①電圧を加えることで水晶が変形します。(圧電効果)
②水晶が伸び縮みして振動します。
③振動(ひずみ)によって電圧が発生します。(逆圧電効果)
④発生した電気信号がまた入力されるので①に戻ります。
水晶振動子の電気的な等価回路

水晶振動子の電気的な等価回路は、RLCの直列接続回路に、並列容量\(C_0\)が接続された回路です。
この等価回路には、2つの共振周波数
・直列共振周波数 \(f_{ser}\)
・並列共振周波数 \(f_{para}\) があります。
\(R_1\)、\(L_1\)、\(C_1\)の直列回路が持つ共振周波数が、直列共振周波数 \(f_{ser}\) です。
直列回路と並列容量\(C_0\)の並列回路が持つ左図の回路全体の共振周波数が並列共振周波数 \(f_{para}\) です。
直列共振周波数 \(f_{ser}\) の導出
直列共振周波数 \(f_{ser}\) を求めます。
直列接続された回路のリアクタンス \(X_1\) が0のとき、直列共振するので、まずはリアクタンス \(X_1\) を求めます。
\(\begin{eqnarray}
jX_1&=&jωL_1+\frac{1}{jωC_1}\\ \\
&=&j\frac{ω^2L_1C_1-1}{ωC_1}
\end{eqnarray}\)
0となる条件を求めます。
\(ω^2L_1C_1-1=0\)
⇔ \(ω^2=\frac{1}{L_1C_1}\)
⇔ \(f_{ser}=\frac{1}{2π \sqrt{L_1C_1}}\)
並列共振周波数 \(f_{para}\) の導出
並列共振周波数 \(f_{para}\) を求めます。
並列接続された回路のサセプタンス\(B\)が0となるとき並列共振しているので、サセプタンス\(B\)を求めます。
RLC直列接続回路のサセプタンスを\(B_1\)とします。
\(\displaystyle B_1=\frac{1}{jωL_1+\frac{1}{jωC_1}}\)
並列容量のサセプタンスを\(B_2\)とします。
\(B_2=jωC_0\)
回路全体のサセプタンスを\(B\)としたとき、
\(\begin{eqnarray}
B&=&B_1+B2=\frac{1}{jωL_1+\frac{1}{jωC_1}}+jωC_0 \\ \\
&=&\frac{jωC_0 (jωL_1+\frac{1}{jωC_1})+1}{jωL_1+\frac{1}{jωC_1}} \\ \\
&=&\frac{-ω^2L_1C_0 +\frac{C_0}{C_1}+1}{jωL_1+\frac{1}{jωC_1}} \\ \\
\end{eqnarray}\)
分子が0のとき、サセプタンス\(B=0\)となるので、
\(-ω^2L_1C_0 +\frac{C_0}{C_1}+1=0\)
⇔ \(\displaystyle ω^2L_1C_0 =\frac{C_0}{C_1}+1=\frac{C_0+C_1}{C_1}=\frac{1}{\frac{C_1}{C_0+C_1}}\)
⇔ \(\displaystyle ω^2=\frac{1}{L_1C_0 \frac{C_1}{C_0+C_1}}\)
⇔ \(\displaystyle f_{para}=\frac{1}{2π \sqrt{L_1 \frac{C_0・C_1}{C_0+C_1}}}\)
2つの共振周波数の比較
二つの共振周波数が、次のように導出できました。
直列共振周波数
\(f_{ser}=\frac{1}{2π \sqrt{L_1C_1}}\)
並列共振周波数
\(f_{para}=\frac{1}{2π \sqrt{L_1 \frac{C_0・C_1}{C_0+C_1}}}\)
ここで、直列容量\(C_1\)と並列容量\(C_0\)の大小関係は、
並列容量\(C_0\) \(>>\) 直列容量\(C_1\) です。その比は200~600倍程度あります。
仮に、\(C_1=200C_0\)とおいて計算してみます。
\(\begin{eqnarray}
f_{para}&=&\frac{1}{2π \sqrt{L_1 \frac{C_0・200C_0}{C_0+200C_0}}}\\ \\
&=&\frac{1}{2π \sqrt{L_1 \frac{200C^2_0}{201C_0}}} \\ \\
&=&\frac{1}{2π \sqrt{L_1 \frac{200}{201}C_0}} \\ \\
&=&\frac{1}{2π \sqrt{0.995L_1 C_0}}
\end{eqnarray}\)
以上より、直列共振周波数と並列共振周波数は、非常に近い周波数であり、並列容量の影響により直列共振よりわずかに高くなっていることがわかりました。
共振周波数が近いことによるメリット
直列共振周波数と、並列共振周波数が近いことによって、共振のピークが非常に鋭くなります。
そのことにより、発振周波数がずれにくくなります。
この特性は、時計等の絶対に周波数が動いてはいけないような用途に向いています。
水晶発振器とは
単体では振動し続けることができない水晶振動子には、発振回路を組合わせる必要があります。
発振回路には、ピアス発振回路や、コルピッツ発振回路等があります。
そして、水晶振動子+発振回路を一体化してパッケージ化したものを水晶発振器と呼びます。
Q値
Q値は共振の鋭さを表す指標です。図のようにQ値が高いと、次のようなことが言えます。

- 共振周波数付近での電圧・電流の大きさのピークが鋭くなります。
- 共振周波数から周波数が外れると、電圧・電流が急激に弱くなります。
水晶発振器は、LC発振回路よりもQ値が圧倒的に大きいです。
そのため、水晶発振器は、LC発振回路等と比較して周波数変動が非常に小さいです。
➡ 安定した周波数を得ることができます。
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