【電験三種:機械】令和2年度 問2

電験三種令和2年度機械問2 令和2年度

概要

永久磁石を使用した直流機の効率を求める計算問題です。
問題の難易度は普通程度ですが、4点程押さえておく必要があります。

  1. 永久磁石を使用した直流機は、他励型の直流機です。
  2. 直流機が電動機として運転する場合と、発電機として運転する場合で、電機子電流の向きが逆になることを理解しておく必要があります。そして、その影響が回路上どのように影響を与えるかを把握しておきましょう。
    そのためには、直流機の問題は回路図を描いてから解答することを推奨します。
  3. 各種運転条件が、数値上どのような影響を与えるかを理解している必要があります。
    (回転軸が回らないように固定する、定格回転数で駆動する等)
  4. 効率という単語を見たときには、入力電力、出力電力を求めるアプローチが出来るようになっておく必要があります。

キーワード
直流電動機、直流発電機、他励型直流機

 

問題

界磁に永久磁石を用いた小型直流発電機がある。
回転軸が回らないよう固定し、電機子に\(3V\)の電圧を加えると、定格電流と同じ\(1A\)の電機子電流が流れた。次に、電機子回路を開放した状態で、回転子を定格回転数で駆動すると、電機子に\(15V\)の電圧が発生した。

この小型直流発電機の定格運転時の効率の値\([%]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとし、損失は電機子巻線の銅損しか存在しないものとする。

(1)70   (2)75   (3)80   (4)85   (5)90

 

答え

(3)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

回答の流れ
(1) 回転軸がまわらない状態の動作条件から、電機子抵抗を求める
(2) 定格電流\(I_a=1A\)が流れているときの、端子電圧を求める
(3) 入力電力\(P_{in}\)を求める
(4) 出力電力\(P_{out}\)を求める
(5) 効率\(η\)を求める

 

(1) 回転軸がまわらない状態の動作条件から、電機子抵抗を求める

直流機の端子電圧に電源を入力すると、電動機として動きます。
この時、回転軸が回らないように固定しているため回転数は0です。
回転数が0ということは、逆起電力\(E\)が発生しないので、\(E=0[V]\) です。

回路図から、電機子回路の式は、
\(V=E+I_aR_a\)

問題文から、端子電圧 \(V=3[V]\)、電機子電流は定格電流 \(I_a=1[A]\) です。
これらを代入すると、
\(3=0+R_a\)
となり、電機子抵抗 \(R_a=3[Ω]\) です。

 


(2) 定格電流\(I_a=1A\)が流れているときの、端子電圧を求める

定格運転時の端子電圧\(V[V]\)は、電動機として動いている時とは逆に電流が流れるので、\(I_aR_a\)の符号が逆になります。
\(\begin{eqnarray}
V&=&E-I_aR_a\\
&=&15-1・3 \\
&=&12[V]
\end{eqnarray}\)

 


(3) 入力電力\(P_{in}\)を求める

回転子を定格回転数で駆動すると、電機子に発生する電圧\(E=15V\)であり、定格電流\(I_a=1[A]\)であることから、定格運転時の機械的な入力エネルギー\(P_{in}[W]\)は、
\(P_{in}=E・I_a=15・1=15[W]\)

 


(4) 出力電力\(P_{out}\)を求める

定格運転時の端子電圧\(V=12[V]\)であり、定格電流\(I_a=1[A]\)であることから、定格運転時の出力電力\(P_{out}[W]\)は、
\(P_{out}=V・I_a=12・1=12[W]\)

 


(5) 効率\(η\)を求める
効率\(η\)は、入力に対する出力の比なので、
\(\displaystyle η=\frac{P_{out}}{P_{in}}=\frac{12}{15}=0.8\)

0.8を百分率(%)表示になおすと、\(η=80\)[%]です。

したがって、(3)\(80\)が答えです。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問2

参考書

イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。

問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。

本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。

電験三種の領域をずっと超えた先の話を9割方しているので、電験三種の勉強の参考書としての購入はおすすめしません。

直流電動機について、ありとあらゆる事を書き記していった一冊です。
この本より詳しい本は少ないと思いますので、直流電動機の設計を学ぶ人に取っては良い本かと思われます。

感覚的には、研究論文化する内容ではないけど、後世には残しておきたいと思ったことをまとめたというような感じでしょうか。
文章の癖は強いので、もし買う場合はサンプルを読んでから購入することを推奨します。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました