【電験三種:機械】令和4年度下期 問1

電験三種令和4年度下期 機械 問1 令和4年度下期

概要

直流機に関する論説問題です。
直流機の構造に関して幅広く知っている必要がありますが、正解の選択肢の内容は、直流機について一通り勉強していればわかるかと思います。
 

キーワード
直流機、構造、固定子、回転子、積層鉄心、自励式、他励式、電機子反作用

 

問題

直流機の構造に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)

直流機は固定子と回転子からなる。界磁は固定子にあり、電機子及び整流子は回転子にある。

(2)

電機子鉄心には、交番磁束による渦電流損を少なくするため、電磁鋼板を層状に重ねた積層鉄心が用いられる。

(3)

直流発電機には他励式と自励式がある。他励式には、分巻発電機、直巻発電機などがある。

(4)

電機子電流による起磁力がエアギャップの磁束分布に影響を与える作用を電機子反作用といい、この影響を防ぐために補償巻線や補極が用いられる。

(5)

直流電動機に生じる電機子反作用の向きは発電機の場合とは反対であるが、電機子電流の向きが反対であるので補償巻線や補極の接続方法は発電機の場合と同じでよい。

 

答え

(3)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

(1)

直流機は固定子と回転子からなる。界磁は固定子にあり、電機子及び整流子は回転子にある。
➡正しいです。

固定子の図です。
界磁は、直流機内に磁界を発生させる部分全体の事を指します。
英語では ”field system” と呼ばれます。この字面から、磁界を供給する仕組みを指すことが感覚的に掴めるでしょうか。(field:場・界、system:仕組み)

 


(2)

電機子鉄心には、交番磁束による渦電流損を少なくするため、電磁鋼板を層状に重ねた積層鉄心が用いられる。
➡正しいです。

渦電流損失は鉄心の厚さの二乗に比例して大きくなります。
そのため、渦電流が発生する電機子鉄心は0.3mm程度の薄い電磁鋼板を重ね、鋼板間を絶縁した物を積層します。
そうすることで、渦電流損が小さな鉄心を作ることが出来ます。

 


(3)

直流発電機には他励式と自励式がある。他励式には、分巻発電機、直巻発電機などがある。
➡間違いです。

直流電動機の軸に、外から機械的な力を加えて回転させると直流発電機になります。
直流電動機と同じく、他励式、自励式があります。

他励式に分類される発電機は、他励式直流発電機のみです。
自励式に分類される発電機は、分巻式発電機、直巻式発電機、複巻式発電機があります。

したがって、他励式には、分巻発電機、直巻発電機などがある。の記述が間違いです。

 


(4)

電機子電流による起磁力がエアギャップの磁束分布に影響を与える作用を電機子反作用といい、この影響を防ぐために補償巻線や補極が用いられる。
➡正しいです。

電機子電流が流れ、起磁力が発生すると、上図左のように、磁束分布に影響を与えます。
これを電機子反作用と呼びます。

補償巻線は、電機子反作用の原因である電機子電流の磁束に対して、打ち消す方向に磁束を発生させます。
補償巻線と、電機子巻線を直列に接続することで、補償巻線は電機子電流の大きさに比例した磁束を発生することが出来ます。その結果、負荷変動に対応することが可能になります。

補極は、電機子反作用の原因である電機子電流の磁束に対して、打ち消す方向に磁束を発生させます。補極の巻線と、電機子巻線を直列に接続することで、補極は電機子電流の大きさに比例した磁束を発生することが出来ます。
その結果、負荷変動に対応することが可能になります。

 


(5)

直流電動機に生じる電機子反作用の向きは発電機の場合とは反対であるが、電機子電流の向きが反対であるので補償巻線や補極の接続方法は発電機の場合と同じでよい。
➡正しいです。

電動機と発電機は、流れる電機子電流の向きが逆になることから電機子反作用の向きも逆になりますが、補償巻線や補極が作る磁束の向きも逆になるので、接続の向きは、電動機も発電機も同じで良いです。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問1

参考書

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