概要
磁界に関する問題です。
アンペールの法則に関する基礎的な内容なので、確実に回答したい問題です。
キーワード
アンペールの法則、磁界
問題
図のように、A、B2本の平行な直線導体があり、導体Aには\(1.2A\)の、導体Bにはそれと反対方向に\(3A\)の電流が流れている。
導体AとBの間隔が\(l[m]\)のとき、導体Aより\(0.3m\)離れた点Pにおける合成磁界が零になった。
\(l\)の値\([m]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、導体A、Bは無限長とし、点Pは導体A、Bを含む平面上にあるものとする。

(1) 0.24 (2) 0.45 (3) 0.54 (4) 0.75 (5) 1.05
答え
(2)
解説テキスト リンク
回答の解説
(1)導体Aに流れる電流が作る磁界\(H_A\)を求める
(2)導体Bに流れる電流が作る磁界\(H_B\)を求める
(3)合成磁界が零から\(H_A=H_B\)として間隔\(l[m]\)を求める
(1)導体Aに流れる電流が作る磁界\(H_A\)を求める

アンペールの法則
\( \displaystyle I=\oint_C Hdl=Hl=H×2πr \)
⇔ \(\displaystyle H=\frac{I}{2πr}\)
アンペールの法則を適用していきます。
導体Aから点Pまでの距離\(r_A=0.3m\)、導体Aに流れる電流\(I_A=1.2A\)から、磁界強度\(H_A\)は次のように求められます。
\(\displaystyle H_A=\frac{I_A}{2πr_A}=\frac{1.2}{2π・0.3}=\frac{2}{π}\) …①
(2)導体Bに流れる電流が作る磁界\(H_B\)を求める

導体Bから点Pまでの距離\(r_B=0.3+l[m]\)、導体Bに流れる電流\(I_B=3A\)から、磁界強度\(H_B\)は次のように求められます。
\(\displaystyle H_B=\frac{I_B}{2πr_B}=\frac{3}{2π・(0.3+l)}=\frac{1.5}{π(0.3+l)}\) …②
(3)合成磁界が零から\(H_A=H_B\)として間隔\(l[m]\)を求める
\(H_A\)と\(H_B\)は逆方向の磁界なので、その合成磁界は打ち消し合います。その結果、問題文のように0となるとき、\(H_A=H_B\)なので、①=②です。
\(\displaystyle \frac{2}{π}=\frac{1.5}{π(0.3+l)}\)
⇔ \(l=0.45\)
以上より、(2)0.45 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問4
参考書
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