概要
静電容量の計算問題です。
基礎レベルですが、静電容量の公式と、直列接続されたコンデンサの合成静電容量の2つの式を知っている必要があります。
キーワード
静電容量、直列接続されたコンデンサの合成静電容量
問題
図のように、電極面積\(0.1m^2\)、電極間隔\(6mm\)の平行平板コンデンサに、比誘電率\(ε_1=2\)、厚さ\(2mm\)及び比誘電率\(ε_2=4\)、厚さ\(4mm\)の2種類の誘電体が電極と平行に挿入されている。
このコンデンサに\(12V\)の直流電圧を印加したとき、蓄えられる電荷の値\([C]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,真空の誘電率\(ε_0=8.85×10^{-12}F/m\)とし、コンデンサの端効果は無視するものとする。

(1) \(5.3×10^{-9}\) (2) \(7.8×10^{-9}\) (3)\(9.4×10^{-9}\)
(4) \(2.1×10^{-8}\) (5) \(4.5×10^{-8}\)
答え
(1)
解説テキスト リンク
回答解説
回答の流れ
(1) 比誘電率\(ε_1=2\)のコンデンサの静電容量\(C_1\)を求める
(2) 比誘電率\(ε_2=4\)のコンデンサの静電容量\(C_2\)を求める
(3) \(C_1\)と\(C_2\)が直列接続されたコンデンサとして全体の静電容量\(C\)を求める
(4) \(Q=CV\)から電荷量を求める
問題文のコンデンサは、比誘電率\(ε_1=2\)の誘電体と、比誘電率\(ε_2=4\)の誘電体が電極と平行に挿入されているので、二つのコンデンサが直列接続されていると考えることができます。
本問で重要な式は2つあります。
コンデンサの静電容量の式
\(\displaystyle C=ε_rε_0\frac{S}{d}\)
直列接続されたコンデンサの合成静電容量の式
\(\displaystyle \frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}\)
(1) 比誘電率\(ε_1=2\)のコンデンサの静電容量\(C_1\)を求める
比誘電率\(ε_1=2\)、真空の誘電率\(ε_0=8.85×10^{-12}F/m\)、電極面積\(S=0.1m^2\)、厚さ\(d_1=2mm=2×10^{-3}m\)なので、
\(\displaystyle C_1=ε_rε_0\frac{S}{d}=2×8.85×10^{-12}\frac{0.1}{2×10^{-3}}=8.85×10^{-10}[F]\)
(2) 比誘電率\(ε_2=4\)のコンデンサの静電容量\(C_2\)を求める
比誘電率\(ε_2=4\)、真空の誘電率\(ε_0=8.85×10^{-12}F/m\)、電極面積\(S=0.1m^2\)、厚さ\(d_2=4mm=4×10^{-3}m\)なので、
\(\displaystyle C_2=ε_rε_0\frac{S}{d}=4×8.85×10^{-12}\frac{0.1}{4×10^{-3}}=8.85×10^{-10}[F]\)
(3) \(C_1\)と\(C_2\)が直列接続されたコンデンサとして全体の静電容量\(C\)を求める
直列接続されたコンデンサの合成静電容量の式
\(\displaystyle \frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}\)
この式に、数字を入れていくと、
\(\displaystyle \frac{1}{C}=\frac{1}{8.85×10^{-10}}+\frac{1}{8.85×10^{-10}}=\frac{1}{4.425×10^{-10}}\)
⇔ \(\displaystyle C=4.425×10^{-10}\)
(4) \(Q=CV\)から電荷量を求める
\(Q=CV=4.425×10^{-10}×12=5.31×10^{-9}\)
したがって、(1)\(5.3×10^{-9}\)が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問1
参考書
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