概要
直流機の構造に関する論説問題です。
選択肢としてはヒントが多めで回答しやすい部類だと思われます。
直流機の構造について、イメージできるまで理解できていると回答もしやすいので、しっくりくる構造のイラストを探して学習することをお勧めします。
キーワード
直流機、固定子、回転子、界磁、電機子、重ね巻、波巻
問題
直流機の構造は、固定子と回転子とからなる。
固定子は、\(\fbox{(ア)}\) 、継鉄などによって、また、回転子は、\(\fbox{(イ)}\)、整流子などによって構成されている。
電機子鉄心は、\(\fbox{(ウ)}\)磁束が通るため、\(\fbox{(エ)}\)が用いられている。
また、電機子巻線を収めるための多数のスロットが設けられている。
六角形(亀甲きっこう形)の形状の電機子巻線は、そのコイル辺を電機子鉄心のスロットに挿入する。
各コイル相互のつなぎ方には、\(\fbox{(オ)}\)と波巻とがある。
直流機では、同じスロットにコイル辺を上下に重ねて2個ずつ入れた二層巻としている。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 界磁 | 電機子 | 交番 | 積層鉄心 | 重ね巻 |
| (2) | 界磁 | 電機子 | 交番 | 鋳鉄 | 直列巻 |
| (3) | 界磁 | 電機子 | 一定の | 積層鉄心 | 直列巻 |
| (4) | 電機子 | 界磁 | 交番 | 鋳鉄 | 重ね巻 |
| (5) | 電機子 | 界磁 | 一定の | 積層鉄心 | 直列巻 |
答え
(1)
解説テキスト リンク
回答の解説
\(\fbox{(ア)}\) ・\(\fbox{(イ)}\)
固定子は、\(\fbox{(ア)}=\)界磁 、継鉄などによって、また、回転子は、\(\fbox{(イ)}=\)電機子、整流子などによって構成されている。

固定子と界磁の構造は左図の通りです。
界磁巻線で巻かれた磁極のN極からS極に界磁磁束が通り、継鉄を通って磁束が戻ります。

回転子の構造は左図の通りです。
電機子巻線は回転子に巻かれています。
回転子が半回転すると、電機子巻線に働く電磁力の向きが逆になってしまうので、整流子で電機子巻線に流れる電流の向きを切り替えることで、一定の電磁力を得られるようにします。
\(\fbox{(ウ)}\)・\(\fbox{(エ)}\)
電機子鉄心は、\(\fbox{(ウ)}=\)交番の磁束が通るため、\(\fbox{(エ)}=\)積層鉄心が用いられている。
電機子は、180°回転するたびに整流子によって流れる電流の向きが変わります。
そのため、交番磁界が通ります。
界磁磁束内に設置される回転子は、絶縁被膜でコーティングされた薄い電磁鋼板を何枚も重ね合わせることで作られた鉄心です。
電磁鋼板の厚さが薄いと渦電流損を低減することができるため、積層鉄心が使われます。
\(\fbox{(オ)}\)
各コイル相互のつなぎ方には、\(\fbox{(オ)}=\)重ね巻と波巻とがある。
重ね巻は、磁極数に応じて並列回路が増えるため、並列巻と呼ばれることもあります。
並列回路が多く、直列回路が少ないことから、低電圧・大電流の直流機として使用されます。
波巻は、並列回路数は2で固定であり、直列回路が多いため、直列巻と呼ばれることもあります。
高電圧・低電流の直流機に使用されます。
重ね巻の巻き方

①

②

③

④
波巻の巻き方

①

②

③
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問1
参考書
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