【電験三種:機械】令和3年度 問2

電験三種令和3年度機械問2 令和3年度

概要

直流分巻電動機のトルクを求める計算問題です。
良く出題される基本形の問題なので、確実に回答したいところです。
回路図を描けること、出力の式と、トルクの式を理解していることが重要です。

キーワード
直流分巻電動機

 

問題

ある直流分巻電動機を端子電圧\(220V\)、電機子電流\(100A\)で運転したときの出力が\(18.5kW\)であった。

この電動機の端子電圧と界磁抵抗とを調節して、端子電圧\(200V\)、電機子電流\(110A\)、回転速度\(720min^{-1}\)で運転する。

このときの電動機の発生トルクの値\([N・m]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視でき、電機子抵抗の値は上記の二つの運転において等しく、一定であるものとする。

(1)212   (2)236   (3)245   (4)260   (5)270

 

答え

(2)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

回答の流れ
(1) 調整前の電動機の逆起電力\(E[V]\)を求める
(2) 電機子抵抗\(R_a[Ω]\)を求める
(3) 端子電圧と界磁抵抗を調整後の逆起電力\(E'[V]\)を求める
(4) 調整後の電動機出力\(P'[W]\)を求める
(5) 調整後の角速度\(ω'[rad/s]\)を求める
(6) 調整後のトルク\(T'[N・m]\)を求める

 

(1) 調整前の電動機の逆起電力\(E[V]\)を求める

電動機出力\(P=18.5[kW]\)
電機子電流\(I_a=100[A]\)
より、電動機の逆起電力\(E[V]\)は、
\(E=\frac{P}{I_a}=\frac{18500}{100}=185[V]\)

 


(2) 電機子抵抗\(R_a[Ω]\)を求める

回路図から、
\(V=E+I_aR_a\)
⇔\(R_a=\frac{V-E}{I_a}\)

\(V=220V\)
\(E=185V\)
\(I_a=100A\)
を代入すると、
\(R_a=\frac{220-185}{100}=0.35[Ω]\)

 


(3) 端子電圧と界磁抵抗を調整後の逆起電力\(E'[V]\)を求める

調整後の回路図から、
\(V’=E’+I’_aR_a\)

\(\begin{eqnarray}
E’&=&V’-I’_aR_a\\
&=&200-110・0.35\\
&=&161.5[V]
\end{eqnarray}\)

 


(4) 調整後の電動機出力\(P'[W]\)を求める

調整後の電動機出力\(P'[W]\)は、
\(\begin{eqnarray}
P’&=&E’I_a\\
&=&161.5・110\\
&=&17765[W]
\end{eqnarray}\)

 


(5) 調整後の角速度\(ω'[rad/s]\)を求める

問題文で与えられている回転速度は\(N’=720[min^{-1}]\)であり、1分当たりの回転数です。
角速度\(ω'[rad/s]\)は、単位からわかる通り1秒当たりの角速度です。
そのため、回転速度\(N'[min^{-1}]\)を60秒で割る必要があります。

\(\displaystyle ω’=2π \frac{N’}{60}=2π \frac{720}{60}=24π=75.36[rad/s]\)

 


(6) 調整後のトルク\(T'[N・m]\)を求める

\(\begin{eqnarray}
T’&=&\frac{P’}{ω’}\\ \\
&=&\frac{17765}{75.36}\\ \\
&≒&236[N・m]
\end{eqnarray}\)

 

したがって、(2)\(236\)が答えです。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問2

参考書

イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。

問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。

本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。

電験三種の領域をずっと超えた先の話を9割方しているので、電験三種の勉強の参考書としての購入はおすすめしません。

直流電動機について、ありとあらゆる事を書き記していった一冊です。
この本より詳しい本は少ないと思いますので、直流電動機の設計を学ぶ人に取っては良い本かと思われます。

感覚的には、研究論文化する内容ではないけど、後世には残しておきたいと思ったことをまとめたというような感じでしょうか。
文章の癖は強いので、もし買う場合はサンプルを読んでから購入することを推奨します。

 

 

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