太陽電池とは
太陽電池とは、光電効果を利用することで、光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換できるようにしたダイオードです。
太陽電池セルの構造
太陽電池は、n型半導体、p型半導体を合わせた構造をしています。
この太陽電池に太陽光が当たると、電子(-電荷)と正孔(+電荷)が発生します。
この電子が発生する現象を、光電効果と呼びます。
発生した電子はn型半導体へ、正孔はp型半導体へ引き寄せられます。
表面と裏面に付けられた電極から引き寄せられた電子を取り出して電球等の負荷をつなぐことで、電流が流れます。
太陽光セルの原理
価電子帯にある電子を価電子と呼びます。価電子は原子と結びつきが強いため、原子から離れて動くことができません。
太陽光がPN接合半導体に入ると、価電子が光エネルギーを受けて伝導帯に移動します。
伝導帯に励起した価電子は、原子から離れて動ける自由電子となって自由に電気回路中を流れることができるようになります。この現象を励起と呼びます。
価電子帯から、価電子が飛び出したことによって、その抜けた穴である正孔が発生します。
正孔は、-電荷である電子が抜けて減ることによって発生するため、+電荷となります。
励起された電子は、電子の密度差による拡散と、電界による電子の移動(ドリフト)によって、電子はN型半導体へ、正孔はP型半導体へ流れ込みます。
太陽電池の構成
セル
太陽電池セルとは、太陽電池を構成する最小の単位です。
セルの大きさは約10センチ四方と小さく、単体の出力は0.5W程度にしかなりません。
モジュール
セルを必要枚配列し、屋外で利用できるように強力ガラスで覆い、パッケージ化したものをモジュールといいます
●大きさ
1.5m×1m程度の大きさですが、サイズに決まった規格がないため、メーカーや製品によってまちまちです。
●出力電圧
・公称最大出力動作電圧
使用時の動作電圧です。
・公称開放電圧
何も接続していないときに光を当てると発生する電圧です。
●変換効率
当たった光のエネルギーに対して、出力されるエネルギーに変換される割合を変換効率と呼びます。
1000Wの太陽光を受けて200Wの電気出力をしたときは、変換効率20%です。
ストリング
ストリングは、複数のモジュールを直列に接続したものです。
直列接続されることにより、出力電圧が増加するため、送電効率が良くなります。
太陽光発電システムにおいては、一つのストリングに数十枚のモジュールが含まれることが一般的です。
直列接続されているという構成上、モジュールが一つでも故障してしまうと、ストリング全体の発電に影響を与えてしまう問題があります。
アレイ
アレイは、複数のストリングを並列接続したもので、大規模な太陽光発電システムで使用されることがあります。
電源を並列接続することとなるので、取り出せる電流が大きくなります。
直列接続と、並列接続を最適に組み合わせることで、取り出せる電圧・電流が最適となり、発電効率が良くなります。
太陽電池モジュールの種類
単結晶
単結晶は、高純度のシリコンインゴットから切り出すことで作られます。
結晶が規則正しく並んでいるため発電ロスが少なく、効率の高い発電が可能です。
限られたスペースでの使用に適しているため、屋根上に設置するモジュールとしてよく使われます。
長所:エネルギー変換損失が少ないため、発電効率が高い
耐久性が高く、長時間使える
短所:製造工程が複雑で、高純度シリコンが必要なので高価
温度が高くなると効率が低下しやすい
発電効率:15~23%程度
多結晶
多結晶は、複数の結晶構造を持つシリコンから作られています。
広いスペースが使用できる大規模太陽光発電所や、商業施設や工場等の屋根上発電等によく使われます。
長所:製造工程は比較的シンプルで、純度は必要ないため安価
短所:発電効率は単結晶に比べると落ちます
発電効率:13~18%程度
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