概要
並列接続された交流回路の等価変換の計算問題です。
並列回路はインピーダンスの逆数であるアドミタンスを使用して計算すると簡単です。
しかし、アドミタンスはあまり使用する機会が少ないため、少々扱いづらいかもしれません。
問題文中の条件を反映させることも考えなければならないので、少々難しい問題です。
キーワード
アドミタンス、並列接続回路
問題
図1は、静電容量C [F]のコンデンサとコイルからなる共振回路の等価回路である。
このようにコイルに内部抵抗r [Ω]が存在する場合は、インダクタンスL [H]と抵抗r [Ω]の直列回路として表すことができる。
この直列回路は、コイルの抵抗r [Ω]が、誘導性リアクタンスωL [Ω]に比べて十分小さいものとすると、図2のように、等価抵抗R_p[Ω]とインダクタンスL [H]の並列回路に変換することができる。
このときの等価抵抗R_p [Ω]の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、I_c [A]は電流源の電流を表す。

(1)\displaystyle \frac{ωL}{r} (2)\displaystyle \frac{r}{(ωL)^2} (3)\displaystyle \frac{(ωL)^2}{r}
(4)\displaystyle \frac{r^2}{ωL} (5)\displaystyle r(ωL)^2
答え
(3)
解説テキスト リンク
回答の解説
(1)図1の回路のアドミタンス\dot{Y_1}を求める
(2)図2の回路のアドミタンス\dot{Y_2}を求める
(3)\dot{Y_1}=\dot{Y_2}から、R_pを求める
(1)図1の回路のアドミタンス\dot{Y_1}を求める
アドミタンスYは、インピーダンスZの逆数です。( Y=\frac{1}{Z})
そのため、並列回路を計算するときは、アドミタンスで計算すると楽に計算できます。

図1の回路のアドミタンスを\dot{Y_1}とします。
\displaystyle \begin{eqnarray} \dot{Y_1}&=&jωC+\frac{1}{r+jωL}\\ \\ &=&jωC+\frac{1}{r+jωL}・\frac{r-jωL}{r-jωL}\\ \\ &=&jωC+\frac{r-jωL}{r^2+(ωL)^2}\\ \\ &=&\frac{r}{r^2+(ωL)^2}+j \left( ωC-\frac{ωL}{r^2+(ωL)^2} \right) \\ \\ \end{eqnarray}
問題文のコイルの抵抗r [Ω]が、誘導性リアクタンスωL [Ω]に比べて十分小さいものとするという条件(r << ωL)から、次のように変形できます。
\displaystyle \dot{Y_1}=\frac{r}{(ωL)^2}+j \left( ωC-\frac{1}{ωL} \right) …①
(2)図2の回路のアドミタンス\dot{Y_2}を求める

図2の回路のアドミタンスを\dot{Y_2}とします。
\displaystyle \begin{eqnarray} \dot{Y_2}&=&jωC+\frac{1}{R_p}+\frac{1}{jωL}\\ \\ &=&\frac{1}{R_p}+j \left( ωC-\frac{1}{ωL} \right) …② \end{eqnarray}
(3)\dot{Y_1}=\dot{Y_2}から、R_pを求める
\displaystyle \frac{r}{(ωL)^2}=\frac{1}{R_p}
⇔ \displaystyle R_p=\frac{(ωL)^2}{r}
以上より、(3)\displaystyle \frac{(ωL)^2}{r}が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問13
参考書
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