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【電験三種:理論】令和6年度下期 問8

電験三種令和6年度下期理論問8 交流回路

概要

大きさと位相が異なる交流電源の直列接続時の合成電圧を求める計算問題です。
複素数で表現することに気づければ回答できますが、中々敷居の高い問題かと思われます。

キーワード
交流電圧、複素数表示

 

問題

図のように、二つの正弦波交流電圧源\(e_1[V]\)、\(e_2[V]\)が直列に接続されている回路において、合成電圧\(v[V]\)の最大値は\(e_1\)の最大値の \(\fbox{ (ア) }\) 倍となり、その位相は\(e_1\)を基準として \(\fbox{ (イ) }\) [rad]の \(\fbox{ (ウ) }\) となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

 (ア)(イ)(ウ)
(1)\(\displaystyle \frac{1}{2}\)\(\displaystyle \frac{π}{3}\)進み
(2)\(1+\sqrt{3}\)\(\displaystyle \frac{π}{6}\)遅れ
(3)\(2\)\(\displaystyle \frac{π}{3}\)進み
(4)\(\sqrt{3}\)\(\displaystyle \frac{π}{6}\)遅れ
(5)\(2\)\(\displaystyle \frac{2π}{3}\)進み

 

答え

(3)

 

解説テキスト リンク

 

回答の解説

(1)\(e_1\)、\(e_2\)を整理する
(2)合成電圧の大きさを求める
(3)合成電圧の位相を求める


(1)\(e_1\)、\(e_2\)を整理する

\(θ=0\)として整理すると、
\(e_1=Esinωt\) ➡ \(e_1=E\)
\(e_2=\sqrt{3}Esin(ωt+\frac{π}{2})\) ➡ \(e_2=j\sqrt{3}E\)

問題の図から、求めたい合成電圧\(v\)は、
\(v=e_1+e_2\)
なので、
\(v=E+j\sqrt{3}E\)

この式を、ベクトル図にすると左図のようになります。

実軸:\(e_1=E\)
虚軸:\(e_2=j\sqrt{3}E\)
として考えることが出来ます。

 


(2)合成電圧の大きさを求める

合成電圧の大きさ\(|v|\)は、三平方の定理から次のように求められます。
\(|v|=\sqrt{E^2+3E^2}=2E\)

したがって、合成電圧\(v[V]\)の最大値は\(e_1\)の最大値の(ア) \(2\) 倍となります。

 


(3)合成電圧の位相を求める

位相角は、
\(tan^{-1}θ=\frac{Im}{Re}\) ⇔ \(θ=tan\frac{Im}{Re}\)
で求められます。

\(\displaystyle θ=tan\frac{Im}{Re}=tan\frac{\sqrt{3}E}{E}=tan\sqrt{3}=\frac{π}{3}\)

\(Re\)の軸よりも上側は進み位相、下側は遅れ位相です。

したがって、位相は\(e_1\)を基準として(イ) \(\frac{π}{3}\) [rad]の (ウ)進みとなります。

以上より、合成電圧\(v[V]\)の最大値は\(e_1\)の最大値の2倍となり、その位相は\(e_1\)を基準として\(\frac{π}{3}[rad]\)の進みとなりますので、答えは(3)です。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問8

参考書

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