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【電験三種:理論】令和6年度下期 問17

電験三種令和6年度下期理論問17 令和6年度下期

概要

コンデンサの計算問題です。
難しくはない問題ですが、コンデンサに関する公式を一通り理解しておく必要があります。

キーワード
コンデンサ、コンデンサの並列接続、静電容量

 

問題

図のように、十分大きい平らな金属板で覆われた床と平板電極とで作られる空気コンデンサが二つ並列接続されている。

二つの電極は床と平行であり、それらの面積は左側がA_1=10^{-3}m^2、右側がA_2=10^{-2}m^2である。
床と各電極の間隔は左側がd=10^{-3}mで固定、右側がx[m]で可変、直流電源電圧はV_0=1000Vである。

次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、空気の誘電率をε=8.85×10^{-12}F/mとし、静電容量を考える際にコンデンサの端効果は無視できるものとする。

 

(a) まず、右側のx[m]d[m]と設定し、スイッチSを一旦閉じてから開いた。
このとき、二枚の電極に蓄えられる合計電荷Qの値[C]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)8.0×10^{-9}   (2)1.6×10^{-8}   (3)9.7×10^{-8}   
(4)1.9×10^{-7}   (5)1.6×10^{-6}   

 


(b) 上記(a)の操作の後、徐々にxを増していったところx=3.0×10^{-3}mのときに左側の電極と床との間に火花放電が生じた。左側のコンデンサの空隙の絶縁破壊電圧Vの値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)3.3×10^2   (2)2.5×10^3   (3)3.0×10^3   
(4)5.1×10^3   (5)3.0×10^4  

 

答え

(a)(3)
(b)(2)

解説テキスト リンク

コンデンサ

 

回答解説

(a)問題の解答の流れ
①両方の電極の静電容量C_1C_2を求める
②両方の電極の電荷量Q_1Q_2を求める

③合計電荷Qを求める

①両方の電極の静電容量C_1C_2を求める
問題文から、
ε=8.85×10^{-12}F/m
A_1=10^{-3}m^2
A_2=10^{-2}m^2
d=10^{-3}m
です。

左側電極の静電容量をC_1として、各パラメータを代入していくと、
\displaystyle C_1=ε\frac{A_1}{d}=8.85×10^{-12}\frac{10^{-3}}{10^{-3}}=8.85×10^{-12}[F]

右側電極の静電容量をC_2として、各パラメータを代入していくと、
\displaystyle C_2=ε\frac{A_2}{d}=8.85×10^{-12}\frac{10^{-2}}{10^{-3}}=8.85×10^{-11}[F]

 


②両方の電極の電荷量Q_1Q_2を求める
電圧はV_0=1000Vなので、
左側電極の電荷量Q_1は、
\displaystyle Q_1=C_1V_0=8.85×10^{-12}×10^3=8.85×10^{-9}

右側電極の電荷量Q_2は、
\displaystyle Q_2=C_2V_0=8.85×10^{-11}×10^3=88.5×10^{-9}

 


③合計電荷Qを求める
二つの電極は並列接続されているので、合計電荷Q[C]は次のようにもとめられます。
Q=Q_1+Q_2=8.85×10^{-9}+88.5×10^{-9}=9.7×10^{-8}

以上より、(a)問題は(3)9.7×10^{-8} が答えです。

 

(b)問題の解答の流れ
①右側極板の距離をx=3×10^{-3}[m]にしたときの静電容量C’_2を求める
②直列・並列の合成容量を求めていく


①右側極板の距離をx=3×10^{-3}[m]にしたときの静電容量C’_2を求める
右側極板の距離をx=3×10^{-3}[m]にしたときの静電容量C’_2は、
\displaystyle C’_2=ε\frac{A_2}{x}=8.85×10^{-12}\frac{10^{-2}}{3×10^{-3}}=29.5×10^{-12}

 


②電圧がV’に変化したときの各極板の電荷の式を求める
右側極板の距離をx=3×10^{-3}[m]にしたときの極板に印加される電圧はV’に変化します。
左側極板の電荷量Q’_1は、Q’_1=C_1V’
右側極板の電荷量Q’_2は、Q’_2=C’_2V’

 


③合計電荷Q[C]が変化しないことから電圧V’を求める
合計電荷Q[C]は、スイッチSを開いていることから増えも減りもしません。
そのため、(a)問題のときから変わらずQ=9.7×10^{-8}[C]です。
Q=Q’_1+Q’_2=C_1V’+C’_2V’=9.7×10^{-8}

⇔ \displaystyle V’=\frac{9.7×10^{-8}}{C_1+C’_2}=\frac{9.7×10^{-8}}{38.35×10^{-12}}=2.5×10^3

以上より、(b)問題は(2)2.5×10^3 が答えです。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目B問題問17

参考書

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