概要
直流電動機の一般的な難度の計算問題です。
回転数とトルクから出力を求める計算は、直流機に限らず交流機でも必要になるため、確実に理解したいところです。
界磁磁束が一定の条件から、他励式か、分巻式の電動機の回路図を描いて解答すると分かりやすいでしょう。
キーワード
直流電動機、出力、トルク、回転数、電機子巻線抵抗
問題
界磁磁束を一定に保った直流電動機が、電機子電圧\(24V\)、電機子電流\(3.0A\)で一定速で駆動されている。
このときの直流電動機の回転数は\(1500min^{-1}\)、出力トルクは\(0.4N・m\)であった。
この直流電動機の電機子巻線の抵抗値\([Ω]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、ブラシによる電圧降下、及び電機子反作用は無視できるものとし、考慮すべき損失は電機子巻線の銅損のみとする。
(1)1.0 (2)2.3 (3)3.1 (4)4.5 (5)6.9
答え
(1)
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回答の解説
回答の流れ
(1)出力・トルク・角速度の関係式から、出力を求める
(2)電機子巻線の回路方程式を立てる
(3)電機子巻線抵抗\(R_a\)を求める
(1)出力・トルク・角速度の関係式から、出力を求める
出力\(P[W]\)、トルク\(T[Nm]\)と、角速度\(ω[rad/s]\)の関係式は、
\(P=Tω\) …①
回転数\(N[min^{-1}]\)は、1分当たりに回転する回数です。1秒当たりに回転する回数\(n[s^{-1}]\)になおすと、
\(n=\frac{N}{60}\) …②
角速度\(ω[rad/s]\)は、1秒当たりの角速度なので、
\(ω=2πn\) …③
③式に②式を代入すると、
\(ω=2π\frac{N}{60}=2π \frac{1500}{60}=157[rad/s]\) …④
①式に、問題文のトルク\(T=0.4[Nm]\)、④式で求めた角速度\(ω=157[rad/s]\)を代入すると、
\(P=T・ω=0.4・157=62.8[W]\) …⑤
(2)電機子巻線の回路方程式を立てる

・端子電圧 \(V[V]\)
・電機子電流 \(I_a=3.0A\)
・電機子電圧 \(E=24V\)
・電機子巻線抵抗 \(R_a[Ω]\)
としたとき、
電機子巻線の回路方程式は次の通りです。
\(V=E−I_aR_a\) …⑥
(3)電機子巻線抵抗\(R_a\)を求める
⑤式の電動機の出力\(P\)から、
\(P=VI_a=62.8[W]\) …⑦
⑥式の両辺に\(I_a\)を掛け、⑦式を代入すると、
\(VI_a=EI_a-I_a^2R_a=24・3-3^2R_a=72-9R_a=62.8\)
⇔\(9R_a=9.2\)
⇔\(R_a=1.0\)
以上より、答えは(1)です。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問2
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