概要
コレクタ接地増幅回路の特徴について問う論説問題です。
信号増幅回路は、エミッタ接地、ベース接地、コレクタ接地と3種類の接地回路があります。
コレクタ接地は、電圧信号を増幅する能力を持ちませんが、オペアンプの出力段に適した特徴を持つため、よく使われる回路です。
キーワード
コレクタ接地増幅回路
問題
図のコレクタ接地増幅回路に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 電圧増幅度は約1である。
(2) 入力インピーダンスが大きい。
(3) 出力インピーダンスが小さい。
(4) 緩衝増幅器として使用されることがある。
(5) 増幅回路内部で発生するひずみが大きい。
答え
(5)
解説テキスト リンク
回答解説
コレクタ接地増幅回路は、次のような特徴があります。
長所
・入力インピーダンスが高い
・出力インピーダンスが低い
・電流増幅率が高い
・高周波特性が良い
その他の特徴
・電圧増幅度が約1
・入出力位相が同相
このことから、(1)~(3)が正しいことがわかります。
(1) 電圧増幅度は約1である。 ➡ (1)は正しいです。
(2) 入力インピーダンスが大きい。 ➡ (2)は正しいです。
(3) 出力インピーダンスが小さい。 ➡ (3)は正しいです。
(4) 緩衝増幅器として使用されることがある。
エミッタ接地増幅回路の出力をコレクタ接地増幅回路に入力し、コレクタ接地増幅回路の出力を負荷に接続するような使い方がよく行われます。
このようなコレクタ接地増幅回路の使い方を緩衝増幅器(バッファ)と呼びます。
緩衝増幅器を使用する理由は、エミッタ接地増幅回路の出力インピーダンスが高いためです。
出力インピーダンスが高いと、スピーカーのような低インピーダンス負荷に接続されると、上手く音を鳴らすことができません。
そのため、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低い特徴を持つコレクタ接地増幅回路を緩衝増幅器として挟むことで、スピーカーを上手く鳴らすことが出来るようになります。
したがって、(4)は正しいです。
(5) 増幅回路内部で発生するひずみが大きい。
コレクタ接地増幅回路は、ベース端子に入力、エミッタ端子から出力されます。
ベース電圧を\(v_B\)、エミッタ電圧を\(v_E\)、ベースエミッタ間電圧を\(V_{BE}\)とすると、入出力の関係式は、
\(v_E\)=\(v_B\)-\(V_{BE}\)
と表されます。\(V_{BE}\)は固定値であるため、\(v_E\)と、\(v_B\)は同じ波形となります。
このことから、ひずみは小さい回路です。
したがって、(5)が誤りです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問13
参考書
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