概要
可変抵抗の抵抗値を変化させ、最大電力が消費されるときの電流値を求める問題です。
①複数個の電圧源・抵抗の数式的な取り扱い
②最大電力となるときの抵抗値の求め方
③分数の微分の扱い方
この3点について理解をしていることが求められるので、難易度は少々高い問題です。
キーワード
電圧源の直列接続、抵抗の直列接続、最大電力の求め方、分数の微分
問題
図のように、起電力\(E[V]\)、内部抵抗\(r[Ω]\)の電池\(n\)個と可変抵抗\(R[Ω]\)を直列に接続した回路がある。
この回路において、可変抵抗\(R[Ω]\)で消費される電力が最大になるようにその値\([Ω]\)を調整した。
このとき、回路に流れる電流\(I\)の値\([A]\)を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)\(\displaystyle \frac{E}{r}\) (2)\(\displaystyle \frac{nE}{(\frac{1}{n}+n)r}\) (3)\(\displaystyle \frac{nE}{(1+n)r}\) (4)\(\displaystyle \frac{E}{2r}\) (5)\(\displaystyle \frac{nE}{r}\)
答え
(4)
解説テキスト リンク
回答解説
解答の流れ
① 直列接続された電圧\(E[V]\)・内部抵抗\(r[Ω]\)の\(n\)個の電池をまとめる
② 回路に流れる電流\(I[A]\)の式を求める
③ 可変抵抗\(R[Ω]\)で消費する電力の式を求める
④ 消費電力が最大となる抵抗値\(R[Ω]\)の値を求める
⑤ ②で計算した電流\(I[A]\)の式に、④で求めた抵抗値\(R[Ω]\)を代入する
① 直列接続された電圧\(E[V]\)・内部抵抗\(r[Ω]\)の\(n\)個の電池をまとめる
直列接続された\(n\)個の電圧源\(E[V]\)をまとめると、\(nE[V]\)となります。
直列接続された\(n\)個の内部抵抗\(r[Ω]\)をまとめると、\(nr[Ω]\)となります。
② 回路に流れる電流\(I[A]\)の式を求める
\(nr[Ω]\)の内部抵抗と、\(R[Ω]\)の可変抵抗が直列接続された回路に流れる電流\(I[A]\)は、
\(\displaystyle I=\frac{nE}{nr+R}\)
③ 可変抵抗\(R[Ω]\)で消費する電力の式を求める
抵抗\(R[Ω]\)の可変抵抗で消費される消費電力を\(P[W]\)とすると、
\(\displaystyle P=I^2R=\left( \frac{nE}{nr+R}\right) ^2R\)
整理すると、
\(\displaystyle P=\frac{n^2E^2R}{(nr+R)^2}\)
④ 消費電力が最大となる抵抗値\(R[Ω]\)の値を求める
消費電力\(P[W]\)が最大となる時の抵抗値\(R[Ω]\)を求めるには、消費電力\(P[W]\)を抵抗値\(R[Ω]\)で微分した時の値が0になるときの\(R[Ω]\)の値となります。これを式で表すと、次式となります。
\(\displaystyle \frac{dP}{dR}=0\)
計算していきます。
\(\displaystyle \frac{dP}{dR}=\frac{d}{dR}\left( \frac{n^2E^2R}{(nr+R)^2}\right)\)
⇔ \(\displaystyle =\frac{n^2E^2(nr+R)^2-n^2E^2R(2(R+nr))}{(nr+R)^2}\)
⇔ \(\displaystyle =\frac{(nr-R)n^2E^2}{(nr+R)^3}\)
よって、\(R=nr\)のとき、\(\displaystyle \frac{dP}{dR}=0\)となります。
したがって、\(R=nr\)のときに消費電力は最大となります。
⑤ ②で計算した電流\(I[A]\)の式に、④で求めた抵抗値\(R[Ω]\)を代入する
②で求めた式、\(\displaystyle I=\frac{nE}{nr+R}\)に、
④で求めた\(R=nr\)を代入すると、
\(\displaystyle I=\frac{nE}{nr+nr}=\frac{E}{2r}\)となります。
以上より、(4)\(\displaystyle I=\frac{E}{2r}\) が答えとなります。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問7
参考書
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問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
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