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【電験三種:理論】令和3年度 問7

電験三種令和3年度理論問7 令和3年度

概要

可変抵抗の抵抗値を変化させ、最大電力が消費されるときの電流値を求める問題です。

①複数個の電圧源・抵抗の数式的な取り扱い
②最大電力となるときの抵抗値の求め方
③分数の微分の扱い方
この3点について理解をしていることが求められるので、難易度は少々高い問題です。

キーワード
電圧源の直列接続、抵抗の直列接続、最大電力の求め方、分数の微分

 

問題

図のように、起電力E[V]、内部抵抗r[Ω]の電池n個と可変抵抗R[Ω]を直列に接続した回路がある。
この回路において、可変抵抗R[Ω]で消費される電力が最大になるようにその値[Ω]を調整した。
このとき、回路に流れる電流Iの値[A]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

(1)\displaystyle \frac{E}{r}  (2)\displaystyle \frac{nE}{(\frac{1}{n}+n)r}  (3)\displaystyle \frac{nE}{(1+n)r}  (4)\displaystyle \frac{E}{2r}  (5)\displaystyle \frac{nE}{r}

 

 

 

答え

(4)

解説テキスト リンク

関連箇所直リンク
オームの法則

関連箇所直リンク
直列接続

 

回答解説

解答の流れ
① 直列接続された電圧E[V]・内部抵抗r[Ω]n個の電池をまとめる
② 回路に流れる電流I[A]の式を求める
③ 可変抵抗R[Ω]で消費する電力の式を求める
④ 消費電力が最大となる抵抗値R[Ω]の値を求める
⑤ ②で計算した電流I[A]の式に、④で求めた抵抗値R[Ω]を代入する

 

① 直列接続された電圧E[V]・内部抵抗r[Ω]n個の電池をまとめる

直列接続されたn個の電圧源E[V]をまとめると、nE[V]となります。
直列接続されたn個の内部抵抗r[Ω]をまとめると、nr[Ω]となります。


② 回路に流れる電流I[A]の式を求める

nr[Ω]の内部抵抗と、R[Ω]の可変抵抗が直列接続された回路に流れる電流I[A]は、

\displaystyle I=\frac{nE}{nr+R}


③ 可変抵抗R[Ω]で消費する電力の式を求める

抵抗R[Ω]の可変抵抗で消費される消費電力をP[W]とすると、

\displaystyle P=I^2R=\left( \frac{nE}{nr+R}\right) ^2R

整理すると、
\displaystyle P=\frac{n^2E^2R}{(nr+R)^2}


④ 消費電力が最大となる抵抗値R[Ω]の値を求める

消費電力P[W]が最大となる時の抵抗値R[Ω]を求めるには、消費電力P[W]を抵抗値R[Ω]で微分した時の値が0になるときのR[Ω]の値となります。これを式で表すと、次式となります。
\displaystyle \frac{dP}{dR}=0

計算していきます。
\displaystyle \frac{dP}{dR}=\frac{d}{dR}\left( \frac{n^2E^2R}{(nr+R)^2}\right)

⇔ \displaystyle =\frac{n^2E^2(nr+R)^2-n^2E^2R(2(R+nr))}{(nr+R)^2}

⇔ \displaystyle =\frac{(nr-R)n^2E^2}{(nr+R)^3}

よって、R=nrのとき、\displaystyle \frac{dP}{dR}=0となります。

したがって、R=nrのときに消費電力は最大となります。


⑤ ②で計算した電流I[A]の式に、④で求めた抵抗値R[Ω]を代入する
②で求めた式、\displaystyle I=\frac{nE}{nr+R}に、

④で求めたR=nrを代入すると、
\displaystyle I=\frac{nE}{nr+nr}=\frac{E}{2r}となります。

以上より、(4)\displaystyle I=\frac{E}{2r} が答えとなります。

 

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問7

参考書

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