【電験三種:理論】令和3年度 問3

電験三種令和3年度理論問3 令和3年度

概要

磁気遮へいに関する問題です。
磁束は通りやすい道を通りますので、強磁性体があるときに、どこを通るかが想像できれば簡単に回答できることでしょう。
なお、この問題は、令和5年度下期の問3でも出題されています。

キーワード
磁束、強磁性体、磁気遮へい

問題

磁界中に強磁性体を置くと、周囲の磁束は、磁束が強磁性体のを通るようになる。
このとき、強磁性体を中空にしておくと、中空の部分には外部の磁界の影響がほとんど及ばない。
このように、強磁性体で周りを囲んで、磁界の影響が及ばないようにすることをという。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1) 通りにくい内部 磁気遮へい
(2)通りにくい外部磁気遮へい
(3)通りにくい外部静電遮へい
(4)通りやすい内部磁気遮へい
(5)通りやすい内部静電遮へい


答え

(4)

要点整理

強磁性体について

強磁性体は、磁界を加えると、磁界と同じ方向に磁気を強く帯びる物質です。
永久磁石が強磁性体の最たる例です。他にも鉄釘や砂鉄のように磁石に引き付けられるような性質を持ちます。
強磁性体には種類があり、外部磁界によっていったん磁化されると、永久磁石となって磁化を保ち続ける硬磁性体と、外部磁界を断つと磁化を保たずに元の状態に戻る軟磁性体とがあります。
強磁性体の材質は、鉄、コバルト、ニッケルなどがよく使われます。

強磁性体は、透磁率が非常に高いです。
磁気回路における透磁率は、電気回路でいうと導電率に相当します。
そのため、透磁率が高いということは、磁気が通りやすいことを意味します。

磁気遮へいについて

強磁性体が無い時は、磁束がN極から出て、まっすぐにS極に入ります。

N極とS極の間に強磁性体を置くと、磁束は、真空中よりも、強磁性体内を通りやすいので、強磁性体内を通ります。

強磁性体内を中空にすると、磁束は中空にした内部よりも、強磁性体内の方が通りやすいため、中空部を避けます。
その結果、中空とした部分にはほとんど磁気が通りません。これが磁気遮へいです。

ただし、あくまでも中空部よりも強磁性体内の方が通りやすいだけであるので、わずかに中空部にも磁束はとおります。
電気回路で、高抵抗と低抵抗を並列接続したときに、高抵抗にもわずかに電流が流れるようなイメージです。

静電遮へいについて

静電遮へいは、電界\(E\)の中に置いた導体の内部を中空とすることで、電界\(E\)の影響を受けないようにすることができることです。


帯電している導体では、電荷はたとえば左図のように導体表面分布しており、導体内部には存在しません。


電界中の導体を中空にすると静電遮へいをすることができます。
中空部表面の導体内部に電荷が発生するとします。


中空部表面に集まった電荷は、+と-がそれぞれつながって消滅します。


その結果、導体内部には電荷が発生しません\( (0[C]) \)。

回答解説

強磁性体の中は、磁束がとても通りやすいです。
そのため、は通りやすいが答えです。

強磁性体の中は、磁束がとても通りやすいです。
そのため、は内部が答えです。


強磁性体で周りを囲んで磁界の影響を受けないようにすることを、磁気遮へいと呼びます。
磁気遮へいが答えです。

以上より、答えは(4)です。

出典元

一般財団法人 電気技術者試験センター
 令和3年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問3

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