概要
電圧計、電流計を使用して抵抗を測定して電力を測定する場合の誤差に関する問題です。
問題は、直流回路について解答できるような知識があれば、簡単に回答ができることでしょう。
キーワード
計器の内部抵抗、誤差、真値、測定値、誤差率
問題
図のように、電源\(E[V]\)、負荷抵抗\(R[Ω]\)、内部抵抗\(R_v[kΩ]\)の電圧計及び内部抵抗\(R_a[Ω]\)の電流計を接続した回路がある。
この回路において、電圧計及び電流計の指示値がそれぞれ\(V_1[V]\)、\(I_1[A]\)であるとき、
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電圧計と電流計の指示値の積を負荷抵抗\(R[Ω]\)の消費電力の測定値とする。

(a)電流計の電力損失の値[W]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)\(\frac{V_1^2}{R_a}\)
(2)\(\frac{V_1^2}{R_a}-I_1^2R_a\)
(3)\(\frac{V_1^2}{R_v}+I_1^2R_a\)
(4)\(I_1^2R_a\)
(5)\(I_1^2R_a-I_1^2R_v\)
(b)今、負荷抵抗\(R=320Ω\)、電流計の内部抵抗\(R_a=4Ω\)が分かっている。
この回路で得られた負荷抵抗\(R[Ω]\)の消費電力の測定値\(V_1I_1[W]\)に対して、
\(R[Ω]\)の消費電力を真値とするとき、誤差率の値\([%]\)として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.3 (2)0.8 (3)0.9 (4)1.0 (5)1.2
答え
(a)(4)
(b)(5)
解説テキスト リンク
回答解説
(a)の解答の流れ
①電流計の消費電力を求める
①電流計の消費電力を求める
電流計に流れる電流は\(I_1[A]\)、電流計の内部抵抗は\(R_a[Ω]\)なので、電流計の消費電力\(P_l[W]\)は、
\(P_l=I_1^2R_a\)
以上より、(a)問題の答えは(4)\(I_1^2R_a\) が答えです。
(b)の解答の流れ
①消費電力の測定値\(P_M\)を求める
②消費電力の真値\(P_T\)を求める
③誤差率\(ε\)を求める
①消費電力の測定値\(P_M\)を求める
電圧計の測定値\(V_1\)は、負荷抵抗\(R[Ω]\)、電流計の内部抵抗\(R_a[Ω]\)の直列接続の電圧降下なので、電流計の測定値\(I_1\)から、次のように表すことが出来ます。
\(V_1=I_1(R+R_a)\)
消費電力の測定値を\(P_M\)としたとき、電圧計の測定値\(V_1\)、電流計の測定値\(I_1\)から、次のように展開できます。
\(P_M=V_1I_1=I_1^2(R+R_a)\)
②消費電力の真値\(P_T\)を求める
負荷抵抗\(R[Ω]\)で実際に消費される電力\(P_T\)は、
\(P_T=I_1^2R\)
③誤差率\(ε\)を求める
測定値\(P_M\)と、真値\(P_T\)である測定誤差\(ΔP\)は、
\(ΔP=P_M-P_T=I_1^2(R+R_a)-I_1^2R=I_1^2R_a\)
です。
誤差率\(ε\)の式は、\(ε=\frac{ΔP}{P_T}×100\)[%]で表されますので、これを展開します。
\(\begin{eqnarray}
ε &=&\frac{ΔP}{P_T}×100 =\frac{I_1^2R_a}{I_1^2R}×100 =\frac{4}{320}×100=1.25
\end{eqnarray}\)
以上より、(b)問題の答えは(5)1.2 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目B問題問16
参考書
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