【電験三種:理論】令和2年度 問7

電験三種令和2年度理論問7 令和2年度

概要

テブナンの定理を使う計算問題です。
テブナンの定理を理解していれば、簡単に解答できます。
この定理は、初見では何故その操作をするのかが理解しづらい定理ですが、理解できれば応用の幅が広く便利です。そのため、覚えるのではなく、理解するまで学習することをお勧めします。

キーワード
テブナンの定理

 

問題

図のように、直流電源にスイッチS、抵抗5個を接続したブリッジ回路がある。
この回路において、スイッチSを開いたとき、Sの両端間の電圧は\(1V\)であった。
スイッチSを閉じたときに\(8Ω\)の抵抗に流れる電流\(I\)の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.10
(2)0.75
(3)1.0
(4)1.4
(5)2.0

 

 

 

答え

(1)

解説テキスト リンク

テブナンの定理

関連箇所直リンク
テブナンの使い方
テブナンの証明

関連箇所直リンク
直列抵抗の分圧

 

回答解説

解答の流れ
① テブナンの定理を使うための端子a,bを決める
② 複雑な回路を計算しやすいように書き換える
③ 端子a,bの電位差\(V_{ab}\)を求める
④ 回路の合成抵抗\(R_{ab}\)を求める
⑤ テブナン等価回路に書き換える
⑥ \(8Ω\)の抵抗に流れる電流\(I[A]\)を求める

 

① テブナンの定理を使うための端子a,bを決める

電流\(I\)が流れる\(8Ω\)の抵抗以外をまとめたいので、左図のように端子a,bを決めます。

端子a,bより左側の薄く赤塗りした回路を、テブナンの定理でまとめて簡単化していきます。


② 複雑な回路を計算しやすいように書き換える

問題文中の回路は複雑に入り組んでいて、どのように繋がっているか分かりづらいので、分かり易いように回路図を書き換えます。
また、テブナンの定理では、\(8Ω\)の抵抗を接続していない時の端子a,bについて着目していくので、\(8Ω\)の抵抗を切り離します。


③ 端子a,bの電位差\(V_{ab}\)を求める

端子aの電位\(V_a\)は、
\(V_a=\frac{R_3}{R_1+R_3}・V=\frac{4}{1+4}・5=4V\)

端子bの電位\(V_b\)は、
\(V_b=\frac{R_4}{R_2+R_4}・V=\frac{3}{2+3}・5=3V\)

よって、端子a,bの電位差\(V_{ab}\)は、
\(V_{ab}=V_a-V_b=4-3=1V\)
整理すると ⇒ \(V_{ab}=1V\)

 


④ 回路の合成抵抗\(R_{ab}\)を求める

テブナンの定理は、重ねの理から成り立つ定理なので、問題文中の5Vの電源は、短絡除去したあと、回路の合成抵抗値\(R_{ab}\)を求めます。

\(R_1\)と\(R_3\)の合成抵抗\(R_{13}\)は、
\(\frac{1}{R_{13}}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_3}=\frac{1}{1}+\frac{1}{4}\)
⇔\(R_{13}=\frac{4}{5}=0.8Ω\)

\(R_2\)と\(R_4\)の合成抵抗\(R_{24}\)は、
\(\frac{1}{R_{24}}=\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_4}=\frac{1}{2}+\frac{1}{3}\)
⇔\(R_{13}=\frac{6}{5}=1.2Ω\)

\(R_{ab}\)は、\(R_{13}\)と\(R_{24}\)の直列接続なので、
\(R_{ab}=0.8+1.2=2Ω\)

整理すると ⇒ \(R_{ab}=2Ω\)


⑤ テブナン等価回路に書き換える
テブナン等価回路は、左図のように\(R_{ab}=2Ω\)を、切り離していた\(8Ω\)の抵抗と直列接続し、\(V_{ab}=1V\)につなげた回路に書き換えた回路です。


⑥ \(8Ω\)の抵抗に流れる電流\(I[A]\)を求める
左図の回路から、
\(I=\frac{1}{2+8}=0.1A\)
となります。

以上より、(1)0.1が正解です。

 

 

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和2年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問7

参考書

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