概要
同じ長さ、異なる断面積の電線の、材質毎の抵抗率から算出される抵抗値を比較する問題です。
簡単な計算で求められるので、確実に解答したい問題です。
電線の断面積が大きければ大きいほど、その抵抗値は小さくなります。
断面積の大きな電線は、抵抗値が小さいことから、大電力を流しても電線で損失する電力が減って発熱量が減ります。そのため、電線に流すことができる電流量が大きくなります。
しかし、断面積を大きくすると、電線の価格が跳ね上がります。また、電線が非常に重くなり、曲げづらくもなるため、施工が難しくなります。
そのため、電線の断面積は適切な太さの物を選ぶ必要があります。
キーワード
抵抗率、断面積、抵抗
問題
次に示す、A、B、C、Dの四種類の電線がある。
いずれの電線もその長さは \(1km\) である。
この四つの電線の直流抵抗値をそれぞれ \(R_A[Ω]\)、\(R_B[Ω]\)、\(R_C[Ω]\)、\(R_D[Ω]\) とする。
\(R_A[Ω]\)~\(R_D[Ω]\) の大きさを比較したとき、その大きさの大きい順として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、\(ρ\) は各導体の抵抗率とし、また、各電線は等断面、等質であるとする。
A:断面積が \(9×10^{-5}m^2\) の鉄(\(ρ=8.90×10^{-8}Ω・m\))でできた電線
B:断面積が \(5×10^{-5}m^2\) のアルミニウム(\(ρ=2.50×10^{-8}Ω・m\))でできた電線
C:断面積が \(1×10^{-5}m^2\) の銀(\(ρ=1.47×10^{-8}Ω・m\))でできた電線
D:断面積が \(2×10^{-5}m^2\) の銅(\(ρ=1.55×10^{-8}Ω・m\))でできた電線
(1)\(R_A>R_C>R_D>R_B\)
(2)\(R_A>R_D>R_C>R_B\)
(3)\(R_B>R_D>R_C>R_A\)
(4)\(R_C>R_A>R_D>R_B\)
(5)\(R_D>R_C>R_A>R_B\)
答え
(4)
解説テキスト リンク
関連箇所直リンク
・抵抗率
回答解説
解答の流れ
① 各電線の抵抗値を算出して比較する
① 各電線の抵抗値を算出する
抵抗\(R[Ω]\)と、抵抗率\(ρ[Ωm]\)の関係式は、電線の長さ\(l[m]\)、電線の断面積\(S[m^2]\)としたとき、\(R=ρ\frac{l}{S}\)の式で表されます。
この式を使って、各電線の抵抗値を求めます。
電線の長さは\(l=1km=1000=10^3[m]\)で計算します。
\(\displaystyle R_A=8.90×10^{-8}・\frac{10^3}{9×10^{-5}}=0.989Ω\)
\(\displaystyle R_B=2.5×10^{-8}・\frac{10^3}{5×10^{-5}}=0.5Ω\)
\(\displaystyle R_C=1.47×10^{-8}・\frac{10^3}{1×10^{-5}}=1.47Ω\)
\(\displaystyle R_D=1.55×10^{-8}・\frac{10^3}{2×10^{-5}}=0.775Ω\)
以上より、(4)\(R_C>R_A>R_D>R_B\)が正しいです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和2年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問5
参考書
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