検相とは
三相三線式の電源は、位相が120°ずつずれたR・S・Tの3相を、交流モーターに繋げることで、交流モーターを効率的に回すことができます。
しかし、交流モーターを三相電源に接続する際には、相順を気にしなければなりません。
モーターに、R → S → T → R → S → … の順番で三相電源が送られてくる時を正相と呼びます。
モーターに、T → S → R → T → S → … の順番で三相電源が送られてくる時を逆相と呼びます。
モーターが逆相で接続されると、本来回ってほしい方向とは逆方向に回転してしまいます。
逆相接続して、逆方向にモータが回ってしまったときに起こる問題は重大です。
エレベータであれば、上昇するはずのエレベータが下降してしまいます。
排気ファンであれば、屋外に送り出すはずの空気が逆流してしまいます。人体に有害なガスを送る排気ファンの場合は特に重大です。
このようなことから、相順を調べる検相は、非常に重要な確認作業です。
逆相が生まれる理由
正相(R→S→T)で接続したときに、回ってほしい方向に交流モータが回るように、配線を接続していきます。
しかし、R相・S相・T相の電源の接続のうち、2つの相の接続が入れ替わってしまうと、それだけで、容易に逆相になってしまいます。
検相器の選定基準
①接触式と、非接触式
非接触式は安全に測定できるため、現在の主流は非接触式です。
接触式が活躍する場面もあります。(奥まった端子や、コンセントの測定等)
②検相器に磁石がついていること
磁石で盤面に張り付けて測定すると楽です。
③値段
安物は2000円程度~高級品は20000円程度。懐具合と相談しましょう。
④プローブの種類
接触式の場合は、針タイプのプローブの検相器の購入をお勧めします。
現在、非接触式の検相器が主流であるため、接触式のワニ口タイプを選ぶメリットがないためです。
・針タイプのプローブ
→針で刺すように測定できるので、奥まった端子も測定可能(接触式の利点)
・ワニ口タイプのプローブで、端子を挟んで測定
→簡単にアクセスできる端子はワニ口で挟むと楽(非接触式を推奨)
⑤測定できるケーブルの太さ
ワニ口タイプの場合、ワニ口の大きさで測定できるケーブルの太さが異なります。
工場では、200mm2以上の主幹ケーブルも時々あります。
測定対象がわかっている場合は、その最大値に合わせればいいです。
電工として、様々な客先に出向いて働く人の場合は、大は小を兼ねるで大きい物を買っても良いかもしれないです。
⑥その他
海外製だと配線色が違うものもあるので要注意です。(知っていて使う分には問題ない)
検相器(非接触式)
非接触式のメリット
・接続が簡単
・安全に測定可能
非接触式のデメリット
・高い
・コンセントには接続しづらい
日置のPD3129がお勧めです。
この検相器を選ぶ際は、太いケーブルを測定する機会があるか?を考えてから選びましょう。
スリムタイプ:2~100mm2のケーブルに対応 (それ以上の太さは不可能)
ワイドタイプ:14~500mm2のケーブルに対応
検相器(接触式)
接触式のメリット
・安い
・コンセントに繋げるときは便利
接触式のデメリット
・プローブの接触短絡に注意が必要
・3本接続させるのがやりづらい
共立のKEW8033がお勧めでしたが、販売終了品となってしまいました。
そのため、現在は接触式で、お勧めする程の検相器は無いです。
下記の紹介は、あえて紹介するならというレベルの検相器です。
配線色が海外仕様なので注意です。
ビニールテープを巻いて、色を合わせるなどの工夫をすると良いです。





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