無負荷試験とは
誘導電動機の無負荷試験は、軸に何も負荷をかけない状態(無負荷運転)で定格電圧・定格周波数の電源を加えます。
無負荷状態とすることで、ほぼ同期速度で回転するため、滑り\(s≒0\)を作り出す試験です。
出力≒0、負荷電流≒0であることから、銅損が非常に小さい状態で試験ができます。
そのため、誘導電動機の鉄損と、機械損の測定をすることができます。
無負荷試験の結果から、励磁回路の回路定数を求めることが出来ます。
励磁アドミタンス\(Y[S]\)、励磁コンダクタンス\(g_0[S]\)、励磁サセプタンス\(b_0[S]\)
無負荷試験でわかること
回路定数
・励磁コンダクタンス\(g_0[S]\)
・励磁サセプタンス\(b_0[S]\)
・励磁アドミタンス\(Y=g_0+jb_0[S]\)
鉄損+機械損
鉄損は、ヒステリシス損+渦電流損です。
機械損は、摩擦損+風損です。
※鉄損と機械損を分離することは出来ますが、
電験三種の問題では、鉄損としてまとめてしまうことが多いです。
無負荷試験の方法
- 定格周波数の電源を準備し、定格線間電圧を一次側(固定子)に印加して電動機を起動。
このとき、軸に何も負荷をかけない状態とする。 - 入力が安定したら、線間電圧\(V[V]\)、線電流\(I_L[A]\)、三相入力電力\(P[W]\)を測定、記録する。
- 励磁アドミタンス\(Y_0\)、励磁コンダクタンス\(g_0\)、励磁サセプタンス\(b_0\)を計算で求める。
励磁回路の回路定数の計算式
線間電圧 \(V[V]\)、相電圧 \(E=\frac{V}{\sqrt{3}}[V]\)、線電流 \(I_L[A]\)、三相入力電力 \(P[W]\)の測定結果と、次式から、励磁回路の回路定数を求められます。
・励磁アドミタンス\(Y_0\)
\(\displaystyle Y_0=\frac{I_0}{E}\)
\(Y_0=g_0+jb_0\)
・励磁コンダクタンス\(g_0\)
\(\displaystyle g_0=\frac{P}{3E^2}\)
・励磁サセプタンス\(b_0\)
\(\displaystyle b_0=\sqrt{Y^2_0-g^2_0}\)
無負荷試験中の回路
①無負荷試験中は、同期速度近くの回転数で安定するため、滑り\(s≒0\)となります。
ただし、機械損が存在するため、滑り\(s\)は、完全に0にはなりません。
機械損とは、軸が機械的に動くことによって発生する損失であり、摩擦損と風損を合わせた損失です。
・摩擦損:軸の摩擦による損失
・風損:軸の回転による空気抵抗の損失

②滑り\(s≒0\)となることで、電動機出力を表す負荷抵抗が非常に大きくなり、負荷電流\(I≒0[A]\)となります。
そのため、無負荷損を考えるときに、負荷電流が流れる主回路を省略して考えることができます。

③誘導電動機に流れ込む線電流\(I_L[A]\)は、ほぼ全て励磁回路に流れ込み、励磁電流\(I_0[A]\)となります。
励磁電流は、\(I_0=I_i+jI_m[A]\) です。
励磁アドミタンスは、回路図から、
\(Y_0=\frac{I_0}{E}[S]\) であることがわかります。
④励磁回路に流れる三相入力電力\(P[W]\)は、鉄損として消費されます。
そして、三相入力電力\(P[W]\)から、励磁コンダクタンス\(g_0[S]\)がわかります。
\(P=3E^2 g_0\)
⇔ \(g_0=\frac{P}{3E^2}\)
ここで、3倍をしている理由は、三相誘導電動機の回路は三相分を考えなければならないためです。
⑤励磁アドミタンス\(Y_0\)、励磁コンダクタンス\(g_0\)と、励磁サセプタンス\(b_0[S]\)の関係式は、
\(Y_0=g_0+jb_0[S]\)
です。この式から、励磁サセプタンス\(b_0[S]\)は、
\(b_0=\sqrt{Y^2_0-g^2_0}[S]\)
と求められます。



















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