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【電験三種:理論】平成21年度 問13

電験三種平成21年度理論問13 半導体

難易度

JFETの特性に関する問題です。

トランジスタ回路は、概念を理解するまで難しいため、着手し辛い単元だと思われます。
しかし、その中では基礎レベルであるため、トランジスタに関する勉強をしていれば回答は導き出しやすい問題です。

問題

図1にソース接地のFET増幅器の静特性に注目した回路を示す。この回路のFETのドレーン-ソース間電圧V_{DS}とドレーン電流I_Dの特性は、図2に示す。
図1の回路において、ゲート-ソース間電圧V_{GS}=-0.1[V]のとき、ドレーン-ソース間電圧V_{DS}[V]、ドレーン電流I_D[mA]の値として、最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。
ただし、直流電源電圧E_2=12[V]、負荷抵抗R=1.2[kΩ]とする。

V_{DS}I_D
(1)0.85.0
(2)3.05.8
(3)4.26.5
(4)4.86.0
(5)128.4

回答

答え

(4)

回答方針

V_{GS}の値から、図2のV_{DS}-I_D特性のグラフがわかる。
E_2の電圧を、RV_{DS}で分圧するので、そこからI_Dの式を立式する。
I_Dの式を図2のグラフに当てはめると、特性グラフとの交点が答えとなる。

要点整理

JFETについて説明します。

出題のシンボルは、Nチャネル接合型FET(N型JFET)と呼ばれます。
JFETには、NチャネルとPチャネルの二種類があり、NチャネルFETと、PチャネルFETは、矢印の向きで分けられます。

各端子と、各端子間電圧を下記のように表した時、
V_G:ゲート電圧
V_S:ソース電圧
V_D:ドレイン電圧
V_{GS}:ゲート-ソース間電圧V_{GS}=V_G-V_S
V_{DS}:ドレイン-ソース間電圧V_{DS}=V_D-V_S

JFETは、ゲート-ソース間にV_{GS}の逆バイアスをすることで、ドレインーソース間の電流を流れづらくさせることが出来ます。
その様な特性を上手く活用することで、V_Gに加えた小さな電圧信号を増幅させることができます。


ドレイン電流I_Dとドレイン-ソース間電圧V_{DS}[V]について

FETには、ドレイン-ソース間に電流が流れます。
流れる電流は、ドレイン電流と呼び、I_D[A]流れます。
抵抗にも同じドレイン電流I_Dが流れるので、電源Eにつながる回路は、
E=V_R+V_{DS}=I_DR+V_{DS}
の関係が成り立ちます。

要点整理の適用

ゲート-ソース間電圧V_{GS}=-0.1[V]から、JFETのV_{DS}-I_D特性のグラフは、赤線で引いた通りの特性となります。

電源E_2、抵抗R、JFETの3つの回路から、
E_2=I_DR+V_{DS} …①
がとなります。

変形すると、
\displaystyle I_D=\frac{E_2-V_{DS}}{R}[A]=\frac{12-V_{DS}}{1200}[A]=10-\frac{V_{DS}}{1.2}[mA] …②
と、ドレイン電流I_D[mA]が導き出せます。これをグラフ化して、JFETのV_{DS}-I_D特性のグラフに当てはめると下図のようになります。

したがって、V_{DS}=4.8[V]のとき、I_D=6.0[mA]が答えとなります。

出典元

平成21年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問13

参考書

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