難易度
JFETの特性に関する問題です。
トランジスタ回路は、概念を理解するまで難しいため、着手し辛い単元だと思われます。
しかし、その中では基礎レベルであるため、トランジスタに関する勉強をしていれば回答は導き出しやすい問題です。
問題
図1にソース接地のFET増幅器の静特性に注目した回路を示す。この回路のFETのドレーン-ソース間電圧\(V_{DS}\)とドレーン電流\(I_D\)の特性は、図2に示す。
図1の回路において、ゲート-ソース間電圧\(V_{GS}=-0.1[V]\)のとき、ドレーン-ソース間電圧\(V_{DS}[V]\)、ドレーン電流\(I_D[mA]\)の値として、最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。
ただし、直流電源電圧\(E_2=12[V]\)、負荷抵抗\(R=1.2[kΩ]\)とする。
\(V_{DS}\) | \(I_D\) | |
(1) | 0.8 | 5.0 |
(2) | 3.0 | 5.8 |
(3) | 4.2 | 6.5 |
(4) | 4.8 | 6.0 |
(5) | 12 | 8.4 |
回答
答え
(4)
回答方針
①\(V_{GS}\)の値から、図2の\(V_{DS}-I_D\)特性のグラフがわかる。
②\(E_2\)の電圧を、\(R\)と\(V_{DS}\)で分圧するので、そこから\(I_D\)の式を立式する。
③\(I_D\)の式を図2のグラフに当てはめると、特性グラフとの交点が答えとなる。
要点整理
JFETについて説明します。
出題のシンボルは、Nチャネル接合型FET(N型JFET)と呼ばれます。 JFETには、NチャネルとPチャネルの二種類があり、NチャネルFETと、PチャネルFETは、矢印の向きで分けられます。 各端子と、各端子間電圧を下記のように表した時、 \(V_G\):ゲート電圧 \(V_S\):ソース電圧 \(V_D\):ドレイン電圧 \(V_{GS}\):ゲート-ソース間電圧\(V_{GS}=V_G-V_S\) \(V_{DS}\):ドレイン-ソース間電圧\(V_{DS}=V_D-V_S\) JFETは、ゲート-ソース間に\(V_{GS}\)の逆バイアスをすることで、ドレインーソース間の電流を流れづらくさせることが出来ます。 その様な特性を上手く活用することで、\(V_G\)に加えた小さな電圧信号を増幅させることができます。 |
ドレイン電流\(I_D\)とドレイン-ソース間電圧\(V_{DS}[V]\)について
FETには、ドレイン-ソース間に電流が流れます。 流れる電流は、ドレイン電流と呼び、\(I_D[A]\)流れます。 抵抗にも同じドレイン電流\(I_D\)が流れるので、電源\(E\)につながる回路は、 \(E=V_R+V_{DS}=I_DR+V_{DS}\) の関係が成り立ちます。 |
要点整理の適用
ゲート-ソース間電圧\(V_{GS}=-0.1[V]\)から、JFETの\(V_{DS}-I_D\)特性のグラフは、赤線で引いた通りの特性となります。
電源\(E_2\)、抵抗\(R\)、JFETの3つの回路から、
\(E_2=I_DR+V_{DS}\) …①
がとなります。
変形すると、
\(\displaystyle I_D=\frac{E_2-V_{DS}}{R}[A]=\frac{12-V_{DS}}{1200}[A]=10-\frac{V_{DS}}{1.2}[mA]\) …②
と、ドレイン電流\(I_D[mA]\)が導き出せます。これをグラフ化して、JFETの\(V_{DS}-I_D\)特性のグラフに当てはめると下図のようになります。
したがって、\(V_{DS}=4.8[V]\)のとき、\(I_D=6.0[mA]\)が答えとなります。
出典元
平成21年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問13
参考書
イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。
問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。
コメント