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hパラメータ

hパラメータ 理論

hパラメータとは

hパラメータは、入力と出力の電流電圧の関係さえわかれば、その回路特性が分かることを使って回路を簡単なモデル化した二端子対回路の表現方法の一つです。

hパラメータのhは、hパラメータの係数にインピーダンス\(Z\)とアドミタンス\(Y\)が混ざっていることから、ハイブリッド(Hybrid)という言葉が使われています。

hパラメータは、小信号増幅回路を考えるときに適した表現方法であることから、電子回路の解析でよく使われます。

hパラメータの回路は、次のように行列で表されます。
\(\begin{bmatrix}v_{in} \\ i_{out} \end{bmatrix}=\begin{bmatrix}h_i && h_r \\h_f && h_o \end{bmatrix}\begin{bmatrix}i_{in} \\ v_{out} \end{bmatrix}\)

 

hパラメータの各パラメータの意味

hパラメータ添え字
の意味
hパラメータの意味
\(h_i\)入力
i=input
入力インピーダンス\(\displaystyle h_i=\frac{v_{in}}{i_{in}}\)
(\(v_{out}=0\)のとき)
\(h_r\)逆方向
r=reverse
電圧帰還率\(\displaystyle h_r=\frac{v_{in}}{v_{out}}\)
(\(i_{in}=0\)のとき)
\(h_f\)順方向
f=forward
電流増幅率\(\displaystyle h_f=\frac{i_{out}}{i_{in}}\)
(\(v_{out}=0\)のとき)
\(h_o\)出力
o=output
出力アドミタンス\(\displaystyle h_o=\frac{i_{out}}{v_{out}}\)
(\(i_{in}=0\)のとき)

 

簡易小信号等価回路

トランジスタのエミッタ接地回路は、hパラメータを使って簡易小信号等価回路に変換することで計算しやすくなります。

変換した後の入力電圧\(v_{in}\)と出力電流\(i_{out}\)の式は、次の通りです。
\(\begin{eqnarray} \left\{
\begin{array}{l}
v_{in}=h_i i_{in}+h_r v_{out} \\
i_{out}=h_f i_{in}+h_o v_{out}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)

この式を、簡易小信号等価回路として図示します。
まずは、負荷抵抗やコレクタ抵抗等があると煩雑になるので、トランジスタ単体で図示します。

 


回路の簡素化

トランジスタの動作は、微小な入力電流・入力電圧を増幅して、大きな出力電流・出力電圧とすることです。このことから、hパラメータは大きいパラメータと、小さいパラメータにわかれます。

大きいパラメータ
・\(h_i\):入力インピーダンス
・\(h_f\):電流増幅率

小さいパラメータ
・\(h_r\):電圧帰還率
・\(h_o\):出力アドミタンス

小さいパラメータは計算上ほとんど寄与しないため、無視できる場合が多いです。
無視できると、簡易小信号等価回路も、計算も簡素化することができます。

\(\begin{eqnarray} \left\{
\begin{array}{l}
v_{in}=h_i i_{in} \\
i_{out}=h_f i_{in}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)

 


コレクタ抵抗\(R_c\)、負荷抵抗\(R_L\)も考慮した回路

コレクタ抵抗\(R_c\)、負荷抵抗\(R_L\)も合わせると、次のようになります。

トランジスタの入出力の式
\(\begin{eqnarray} \left\{
\begin{array}{l}
v_{in}=h_i i_{in}  …①\\
i_{out}=h_f i_{in} …②
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)

入力電流\(i_{in}\)は①式から、
\(\displaystyle i_{in}=\frac{v_{in}}{h_i}\) …③

出力インピーダンス\(R_o\)は、\(R_c\)と\(R_L\)の並列接続なので、
\(\displaystyle R_o=\frac{R_cR_L}{R_c+R_L}\) …④

出力電圧\(v_{out}\)は、出力端子のオームの法則の式から求められます。
\(\displaystyle v_{out}=R_o i_{out}=\frac{R_cR_L}{R_c+R_L}h_f i_{in}\) (②・④式を代入)

⇔\(\displaystyle v_{out}=\frac{R_cR_L}{R_c+R_L} \frac{h_f}{h_i}v_{in}\) (③式を代入)

以上の計算結果から、電圧増幅率\(A_v\)は、次のように求まります。
\(\displaystyle A_v=|\frac{v_{out}}{v_{in}}|=\frac{R_cR_L}{R_c+R_L} \frac{h_f}{h_i}\)

 

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