電磁遮蔽(静電遮蔽・磁気遮蔽)

電磁遮蔽 理論

静電遮蔽

静電遮へいは、電界\(E\)の中に置いた導体の内部を中空とすることで、電界\(E\)の影響を受けないようにすることができます。


帯電している導体では、電荷はたとえば左図のように導体表面分布しており、導体内部には存在しません。



電界中の導体を中空にすると静電遮へいをすることができます。
中空部表面の導体内部に電荷が発生するとします。



中空部表面に集まった電荷は、+と-がそれぞれつながって消滅します。



その結果、導体内部には電荷が発生しません\( (0[C]) \)。

 

 

 

磁気遮蔽

強磁性体

強磁性体は、磁界を加えると、磁界と同じ方向に磁気を強く帯びる物質です。
永久磁石が強磁性体の最たる例です。他にも鉄釘や砂鉄のように磁石に引き付けられるような性質を持ちます。
強磁性体には種類があり、外部磁界によっていったん磁化されると、永久磁石となって磁化を保ち続ける硬磁性体と、外部磁界を断つと磁化を保たずに元の状態に戻る軟磁性体とがあります。
強磁性体の材質は、鉄、コバルト、ニッケルなどがよく使われます。

強磁性体は、透磁率が非常に高いです。
磁気回路における透磁率は、電気回路でいうと導電率に相当します。
そのため、透磁率が高いということは、磁気が通りやすいことを意味します。

 

 

 

磁気遮蔽

磁気遮蔽は、磁界\(H\)の中に置いた強磁性体の内部を中空とすることで、磁界\(E\)の影響を受けづらいようにすることができます。


強磁性体が無い時は、磁束がN極から出て、まっすぐにS極に入ります。



N極とS極の間に強磁性体を置くと、磁束は、真空中よりも、強磁性体内を通りやすいので、強磁性体内を通ります。



強磁性体内を中空にすると、磁束は中空にした内部よりも、強磁性体内の方が通りやすいため、中空部を避けます。
その結果、中空とした部分にはほとんど磁気が通りません。これが磁気遮へいです。

 

  

  

過去問

難易度 ★☆☆☆☆

  電験三種 令和3年度 問3
  (出題2回目:令和5年度下期 問3
磁気遮蔽の論説

 

 

 

関連記事(磁界に関する解説)

 

 

 

参考書

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