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【電験三種:理論】令和4年度上期 問9

電験三種令和4年度上期理論問9 交流回路

概要

RLC直列回路の抵抗の両端電圧と、コイルの両端電圧の電圧の比を求める計算問題です。
流れる電流が最大という条件から、LとCの共振条件を使うことで解けます。

キーワード
交流回路、オームの法則、RLC直列回路、共振条件

 

問題

図のように、の抵抗、200 mHのインダクタンスをもつコイル、20μFの静電容量をもつコンデンサを直列に接続した回路に周波数f[Hz]の正弦波交流電圧E[V]を加えた。

周波数fを回路に流れる電流が最大となるように変化させたとき、コイルの両端の電圧の大きさは抵抗の両端の電圧の大きさの何倍か。
最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 5    (2) 10    (3) 15    (4) 20    (5) 25

 

 

答え

(4)

解説テキスト リンク

関連箇所直リンク
RLC直列回路

 

回答解説

解答の流れ
(1) 回路のインピーダンス\dot{Z}を計算する
(2) 共振条件から周波数f[Hz]を計算する
(3) 回路に流れる電流I[A]を計算する
(4) 抵抗の両端電圧V_R[V]を計算する
(5) コイルの両端電圧\dot{V_L}[V]を計算する
(6) 電圧の大きさV_R[V]V_L[V]を比較する

 

(1) 回路のインピーダンス\dot{Z}を計算する

RLC直列回路のインピーダンス\dot{Z}は、
\displaystyle \dot{Z}=R+j2πfL+\frac{1}{j2πfC}

\displaystyle \dot{Z}=5+j \left(2πf×0.2-\frac{1}{2πf×20×10^{-6}} \right)

\displaystyle \dot{Z}=5+j \left(0.4πf-\frac{2.5×10^4}{πf} \right)

 


(2) 共振条件から周波数f[Hz]を計算する
問題文中の周波数fを回路に流れる電流が最大となるように変化させたとき、回路は共振状態となっています。
共振状態とは、虚数項(j項)が0となるときが共振状態となります。
そのため、虚数項のみにフォーカスして計算します。

\displaystyle 0.4πf-\frac{2.5×10^4}{πf}=0

\displaystyle π^2f^2=6.25×10^4
\displaystyle f=\sqrt{\frac{6.25×10^4}{π^2}}≒79.62Hz


(3) 回路に流れる電流I[A]を計算する
共振中は、虚数項が0であることから、回路のインピーダンス\dot{Z}は、
\dot{Z}=R

したがって、このときの回路に流れる電流Iは、
\displaystyle I=\frac{E}{Z}=\frac{E}{R}


(4) 抵抗の両端電圧V_R[V]を計算する
抵抗の両端電圧V_Rは、オームの法則から
V_R=IR=\frac{E}{R}R=E[V]


(5) コイルの両端電圧\dot{V_L}[V]を計算する
コイルの両端電圧\dot{V_L}は、オームの法則から
\dot{V_L}=I・jX_L=j\frac{E}{R}・2πfL=j\frac{E}{5}・2π・79.62・0.2=j20E


(6) V_R[V]V_L[V]を比較する
抵抗の両端電圧V_Rの大きさは、V_R=E
コイルの両端電圧\dot{V_L}の大きさは、V_L=20E

比較すると、\frac{V_L}{V_R}=20
となるので、コイルの両端の電圧の大きさは抵抗の両端の電圧の大きさの(4)20倍となります。

  

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問9

参考書

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