配線チェッカー

配線チェッカー 電気設備

配線チェッカーとは

設備保全、電気工事屋にとっては必須アイテムと言ってもいいほど超便利グッズです。
配線チェッカーを使うことで、次のようなことが出来ます。
・ブレーカー探査
・配線経路探査

ブレーカー探査

数十年前に設置した機械を更新したいと思ったとしても、どこの盤の、どのブレーカーから電源を取っているかわからない事が多々あります。
そんなときに、配電元のブレーカーまで配線を辿って調べあげることは、難しく時間がかかります。

配線調査は、上図のように、配電盤から機械まで繋がるケーブルが、床下や天井裏等に隠ぺいしながら配線されます。
そのため、人が入り込めない場所をケーブルが通っていたり、数十本もある配線網の中でたどっている配線がどれかわからなくなったりします。
調査に時間が掛かる上に、手に持っているこの配線は本当に正しいのか確信が持てなくなり、振り出しに戻ることもあります。

テスターで電圧を測りながら、それらしいブレーカーをON/OFFすることで、接続先確認をすることは出来ますが、関係ない稼働中の機械の電源が落ちてしまって問題になる危険性もあるので、気軽にはできません。

そこで、電源を落としたい機械の電源端子に発信機を接続して、受信機をブレーカーや配線経路にあてるだけで、ブレーカーを探査することができます。

 

配線チェッカーの使い方

①発信機の使い方
発信機は、調査したい機械の電源端子をワニ口クリップで挟むだけです。
コンセントを調査する場合は、発信機に接続したプラグを差し込むだけです。

②受信機の使い方
機械がつながっていると思われる盤のMCCBの二次配線に受信機のセンサーを当てていきます。
該当のMCCBにセンサーが当たると強く反応します。
該当のMCCBの近くのMCCBでもちょっと反応するので、反応の強さから判断する必要があります。

該当MCCBは強く反応する

該当MCCB付近のMCCBは
ちょっと反応する

該当MCCBから遠いMCCBは
反応しない

 

③クランプセンサーの使い方
クランプセンサーは、調査対象以外では一切反応しません。そのため、調査対象であるか否かを、ほぼ100%正確に切り分けることができます。
使い方の流れとしては、配線チェッカーの受信機でMCCBのあたりをつけます。反応が見られたMCCBの二次配線をクランプすることで、正確な調査ができます。

補足説明

受信機のセンサーの誤検知

調査対象のMCCBが収められている盤の中には、MCCBが超密集している物もあります。

調査対象付近のMCCBの一次配線と、その付近の二次配線が超近接している場合、調査対象の配線を流れる信号を受信機が拾ってしまい、反応してしまうことがあります。
しかも、場合によっては結構な強度で反応します。

クランプセンサを使った場合

このように、判断が難しいときは、クランプセンサを使うことで解消します。
クランプセンサは、クランプ内を電流信号が流れないと一切反応しません。そのため、調査対象の配線から飛んでくる信号の影響を遮断して調べることができるわけです。

 

配線経路探査

機械につながる配線の引き替えをする際は、その機械の電源ブレーカーを確認したあとに、配線経路を調べる必要もあります。そんな時は、天井裏に上って調査することもあります。

しかし、天井裏の配線は基本的にごちゃごちゃしていて、配線の取違をするおそれがあります。
そんな時に、配線チェッカーを使えば、受信機を配線の被覆の上からあてるだけで発信機の信号を拾って反応してくれるため、かなり簡単に配線経路の調査ができます。

 

ラインチェッカーの選び方

ラインチェッカーの選定基準は、次の5点です。
道具類は、特に信用できるメーカーか否かが大きいので、評判等をしっかり調べてから購入することをお勧めします。
・活線で使えるか
・死線で使えるか
・コンセント以外にも使えるか
・停電で使えるか
・欲しい機能があるか(付属品やオプション品で補えるか)
  発信器をコンセント以外に接続するためのワニ口クリップ等があるか
  クランプセンサーがあるか

お勧めラインチェッカー

①戸上電機 スーパーラインチェッカ(TLC-C)

工場でも、家庭用配線チェックでも全般的に使用可能。
愛用しています。高額ですがお勧め。

お勧めポイント
クランプセンサ(オプション品)で周囲の影響を遮断して調査できるので、ラインに確信が持てる。
・ワニ口クリップが付属しているので、コンセント以外にも接続できる。
・送信機に活線のラインの電圧が表示されるので、調査ラインの電圧と合っているかという面からも照合できる。


②ジェフコム ブレーカー配線チェッカー(SEC-970S)

私は使ったことないですが、取扱説明書等を読む限りは色々と便利使いできそうなので、どんなものか気になる一品です。

お勧めポイント
・同等機能を持つ他社製品と比較して安いです。
・必要な機能範囲に応じて選択できるラインナップが揃っています。
 必要な機能をしっかり確認して選定しておけば、機能面で困ることはないことでしょう。
SEC-970  活線のみ配線探査可能
SEC-970S  SEC-970の機能+死線も配線探査可能
SEC-970PS SEC-970Sの機能+死線時の活線確認機能あり

①戸上電機の(TLC-C)との違いは、死線の配線探査が可能なところでしょうか。
死線探査の場面に遭遇することが多い人は、こちらの方がよいかもしれません。
クランプセンサが無いので、クランプが欲しい人は①戸上電機の(TLC-C)を選ぶとよいでしょう。


③共立電気計器 (KYORITSU) 配線チェッカ(KEW 8510)

家庭用配線チェック向き(コンセントの回路探査のみ)

機能面を相当絞った配線チェッカで、戸上のスーパーラインチェッカーと比較すると、半額程度で買えます。
活線で使用でき、100V/200Vの電源系統どちらにも使用できます。
ただし、送信機はコンセントに差し込んで使用することしかできません。
工場等の盤を扱う人には不十分ですが、家庭用の電気工事のような、多くの機能を求めない場合は十分使えます。


 

参考書

電気設備の技術基準とその解釈について分かり易く解説されている一冊。


電気管理技術者必携は、電気管理の実務に役立つ本です。
実務を通してある程度知見を得ている人が、更に深く電気管理を学んで行くのに役立ちます。
端的に言うと、中級者向きです。


内線規程です。
電気設備に関する技術基準を定める省令や電気設備技術基準の解釈で不足する部分を具体的に補完する民間規格です。法的拘束力がある規格ではありませんが、設備設計、電気工事において、まず初めに参照するルールです。

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