真性半導体
半導体とは
銅やアルミ等の電気を通しやすい導体と、ゴム等の電気を通しづらい絶縁体の中間の抵抗率を持つ物が半導体です。
半導体の代表的な材料に、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などがあります。
真性半導体とは

Ⅳ族元素であるシリコン・ゲルマニウムの半導体結晶の中に不純物を含まない半導体を真性半導体と呼びます。
Ⅳ族元素の最外殻電子数は4つあります。
Ⅳ族元素を集めて結晶化すると、最外殻電子は全て共有結合をします。
共有結合をすることで、最外殻電子数は8となり、安定した状態となります。
共有結合した真性半導体中の価電子は、電界を与えてもほとんど移動できません。
また、自由電子が存在しないことから電流が流れ難いため、伝導率が低いです。(=抵抗率が高い)
熱励起
外部から熱を加えると、価電子帯にある電子が伝導帯に移動します。
この現象を熱励起と呼びます。
熱励起されて伝導帯に移動した電子を熱電子と呼びます。
伝導帯に移動した電子は小さな電界でも自由に移動することができるため、導電率が増加します。
光電効果
励起は熱エネルギーだけでなく、光エネルギーを外部から加えられることでも起こります。
光エネルギーを受けて励起する現象を光電効果と呼びます。
光電効果で伝導帯に移動した電子を光電子と呼びます。
P型半導体

Ⅳ族元素であるシリコン(Si)等に、Ⅲ族元素であるホウ素(B)・ガリウム(Ga)・インジウム(In)等を不純物として微量添加したものを、P型半導体と呼びます。
Ⅳ族元素の最外殻電子数が4個に対し、Ⅲ族元素の最外殻電子数は3個です。
そのため、共有結合をすると、最外殻電子数は7個となります。
最外殻電子数が8個のときに安定するので、1個不足しています。
この電子が不足することで出来る穴のことを正孔(ホール)と呼びます。
キャリアが正孔となり、正孔は正電荷(Positive)であるため、P型半導体と呼びます。
P型半導体の正孔の伝導


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電界が加えられると、正孔の隣の価電子が穴を埋めるように動きます。
動いた価電子の位置には新たな正孔が生まれます。
新たな正孔の隣の価電子が、穴を埋めるように動き、更に新しい正孔が生まれます。
このように正孔を電子が埋める動作が繰り返されることで、正孔の位置が電界と同じ方向に移動していきます。その結果、正孔は+の電荷を持つキャリアとして振る舞います。
N型半導体

Ⅳ族の元素であるシリコン(Si)等に、Ⅴ族元素であるリン(P)・ヒ素(As)・アンチモン(Sb)等を不純物として微量添加したものを、N型半導体と呼びます。
Ⅳ族元素の最外殻電子数が4に対し、Ⅴ族元素の最外殻電子数は5です。
最外殻電子数が4+5=9個に対し、最外殻電子数は8個までです。
したがって、共有結合できない電子が1個余ります。
余った電子が自由電子として振舞うので、キャリアが電子となります。
キャリアの電子は負電荷(Negative)であるため、N型半導体と呼びます。
N型半導体の伝導

電界が加えられると、負電荷である自由電子が、電界の向きと逆向きに静電気力が働くため、電界の向きと逆方向に移動します。
P型・N型半導体まとめ
電験三種の論説問題でⅢ族・Ⅴ族の元素を添加(ドーピング)したときに、P型・N型半導体のどちらになるかを問う問題がよく出題されるので、まとめます。
最外殻電子数が8個のとき、電気が流れづらい安定な状態となります。
- 真性半導体
最外殻電子数が4個であるシリコン等のⅣ族元素のみが共有結合していると、
4+4=8個となり、電流が流れづらい状態となります。
- P型半導体
最外殻電子数が4個であるシリコン等のⅣ族元素に、3個であるホウ素等のⅢ族元素を添加(ドーピング)すると、4+3=7個となり、電子が1個不足します。
不足した電子の穴が、正孔(ホール)と呼ばれるキャリアとなります。
正孔は正電荷(Positive)として振舞うため、P型半導体と呼ばれます。
- N型半導体
最外殻電子数が4個であるシリコン等のⅣ族元素に、5個であるリン等のⅤ族元素を添加(ドーピング)すると、4+5=9個となり、電子が1個余ります。
余った電子がキャリアとなります。
電子は負電荷(Negative)であるため、N型半導体と呼ばれます。
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参考書
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