【電験三種:機械】令和6年度上期 問2

電験三種令和6年度上期機械問2 令和6年度上期

概要

直流他励電動機の計算問題です。
直流機における基礎的な内容なので、確実に回答したいところです。 

キーワード
直流他励電動機、電機子電流一定、励磁電流一定

 

問題

電機子回路の抵抗が\(0.20Ω\) の直流他励電動機がある。

励磁電流、電機子電流とも一定になるように制御されており、電機子電流は\(50 A\) である。
回転速度が\(1200 min^{-1}\) のとき、電機子回路への入力電圧は\(110 V\) であった。
励磁電流、電機子電流を一定に保ったまま電動機の負荷を変化させたところ、入力電圧が\(80 V\) となった。

このときの回転速度\([min^{-1}]\)の値として、最も近いものを次の(1)~(5)の
うちから一つ選べ。
ただし、電機子反作用はなく、ブラシの抵抗は無視できるものとする。

(1)764   (2)840   (3)873   (4)900   (5)960

 

答え

(2)

 

解説テキスト リンク

 

回答の解説

回答の流れ
(1)入力電圧\(V=110V\)のときの逆起電力\(E[V]\)を求める
(2)逆起電力\(E[V]\)と回転数\(N[min^{-1}]\)の関係式の定数を求める
(3)入力電圧\(V’=80V\)のときの逆起電力\(E'[V]\)を求める

(4)逆起電力\(E'[V]\)と回転数\(N'[min^{-1}]\)の関係式から回転数を求める

(1)入力電圧\(V=110V\)のときの逆起電力\(E[V]\)を求める

直流他励電動機の回路図を描くと、左図の通りです。
問題文から、
・入力電圧\(V=110[V]\)
・電機子電流\(I_a=50[A]\)
・電機子回路の抵抗\(R_a=0.20[Ω]\)

回路図から、電機子に発生する逆起電力\(E[V]\)の関係は、次式で表されます。
\(V=E+I_aR_a\)
⇔ \(110=E+50・0.2=E+10\)
⇔ \(E=100[V]\)

 


(2)逆起電力\(E[V]\)と回転数\(N[min^{-1}]\)の関係式の定数を求める
\(E=100V\)、回転数\(N=1200[min^{-1}]\)、定数\(K\)とします。
界磁磁束\(\Phi[Wb]\)は、問題文で励磁電流を一定としているため、\(\Phi[Wb]\)も一定なので、定数として取り扱えます。

\(E=K \Phi N\)
⇔ \(K \Phi=\frac{E}{N}=\frac{1}{12}\)

 


(3)入力電圧\(V’=80V\)のときの逆起電力\(E'[V]\)を求める

入力電圧を変えた後の条件は、次の通りです。
・入力電圧\(V’=80[V]\)
・電機子電流\(I_a=50[A]\)
・電機子回路の抵抗\(R_a=0.20[Ω]\)
・界磁磁束\(\Phi [Wb]\)は一定

電機子に発生する逆起電力\(E'[V]\)を当てはめます。
\(V’=E’+I_aR_a\)
⇔ \(80=E’+50・0.2=E’+10\)
⇔ \(E’=70[V]\)

 


(4)逆起電力\(E'[V]\)と回転数\(N'[min^{-1}]\)の関係式から回転数を求める

\(E’=70V\)、回転数\(N'[min^{-1}]\)とします。
(2)から、定数は\(K \Phi=\frac{1}{12}\)です。
これらを逆起電力\(E'[V]\)と回転数\(N'[min^{-1}]\)の関係式に代入すると、

\(E’=K \Phi N’\)
⇔ \(N’=\frac{E’}{K \Phi}=70・12=840\)

以上より、答えは(2)840です。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問2

参考書

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