概要
キルヒホッフの電流則の問題です。
文章の意味を理解して立式できれば、簡単に解ける問題です。
キーワード
キルヒホッフの電流則
問題
内部抵抗が\(15kΩ\)の\(150V\)測定端子と内部抵抗が\(10kΩ\)の\(100V\)測定端子をもつ永久磁石可動コイル形直流電圧計がある。
この直流電圧計を使用して、図のように、電流\(I[A]\)の定電流源で電流を流して抵抗\(R\)の両端の電圧を測定した。
測定Ⅰ:\(150V\)の測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は\(101.0V\)であった。
測定Ⅱ:\(100V\)の測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は\(99.00V\)であった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、測定に用いた機器の指示値に誤差はないものとする。

(a) 抵抗\(R\)の抵抗値\([Ω]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 241 (2) 303 (3) 362 (4) 486 (5) 632
(b) 電流\(I\)の値\([A]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.08 (2) 0.17 (3) 0.25 (4) 0.36 (5) 0.49
答え
(a)(5)
(b)(2)
解説テキスト リンク
回答解説
(a)問題の解答の流れ
(1) \(15kΩ\)の\(150V\)測定端子のときのキルヒホッフの電流則の式を立てる
(2) \(10kΩ\)の\(100V\)測定端子のときのキルヒホッフの電流則の式を立てる
(3) ①式=②式から、抵抗値を求める
(1) \(15kΩ\)の\(150V\)測定端子のときのキルヒホッフの電流則の式を立てる

電圧計の内部抵抗が\(15kΩ\)の\(150V\)測定端子に接続したとき
・抵抗\(R\)に流れる電流を\(I_{R1}\)
・電圧計に流れる電流を\(I_{V1}\)
とします。
電圧計の指示値が\(101V\)なので、
\(I_{R1}=\frac{101}{R}\)
\(I_{V1}=\frac{101}{15×10^3}\)
\(I=I_{R1}+I_{V1}=\frac{101}{R}+\frac{101}{15×10^3}\) …①
(2) \(10kΩ\)の\(100V\)測定端子のときのキルヒホッフの電流則の式を立てる

電圧計の内部抵抗が\(10kΩ\)の\(100V\)測定端子に接続したとき
・抵抗\(R\)に流れる電流を\(I_{R2}\)
・電圧計に流れる電流を\(I_{V2}\)
とします。
電圧計の指示値が\(99V\)なので、
\(I_{R2}=\frac{99}{R}\)
\(I_{V2}=\frac{99}{10×10^3}\)
\(I=I_{R2}+I_{V2}=\frac{99}{R}+\frac{99}{10×10^3}\) …②
(3)①式=②式から、抵抗値を求める
\(\displaystyle \frac{101}{R}+\frac{101}{15×10^3}=\frac{99}{R}+\frac{99}{10×10^3}\)
⇔ \(\displaystyle \frac{2}{R}=\frac{99}{10×10^3}-\frac{101}{15×10^3}\)
⇔ \(\displaystyle R=631.6≒632Ω\)
したがって、(a)問題は(5)632 が答えです。
(b)問題の解答の流れ
(1) (a)問題の①式に(a)で求めた抵抗\(R=632\)を代入する
① (a)問題の①式に(a)で求めた抵抗\(R=632\)を代入する
①式に代入すると、
\(\displaystyle I=\frac{101}{R}+\frac{101}{15×10^3}=\frac{101}{632}+\frac{101}{15×10^3}=0.17\)
したがって、(b)問題は(2)0.17 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問16
参考書
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問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
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ある程度学んで基礎がある人に向いています。
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