概要
三相交流回路の計算問題です。
Δ-Y変換をしっかりと学習していれば完答可能な問題です。
(a)問題は、合成抵抗を求めてと電力の計算式から求める問題です。
(b)問題は、三相平衡のΔ-Y変換の問題です。三相交流問題としては基本的なレベルです。
キーワード
三相交流回路、合成抵抗、Δ-Y変換
問題
図の平衡三相回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 端子a、c に\(100V\) の単相交流電源を接続したところ、回路の消費電力は\(200W\)であった。
抵抗\(R\)の値\([Ω]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.30 (2) 30 (3) 33 (4) 50 (5) 83
(b) 端子a、b、c に線間電圧\(200V\) の対称三相交流電源を接続したときの全消費電力の値\([kW]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.48 (2) 0.80 (3) 1.2 (4) 1.6 (5) 4.0
答え
(a)(2)
(b)(4)
解説テキスト リンク
回答解説
(a)問題の解答の流れ
①端子a、c間の合成抵抗を求める
②単相電力の式から抵抗値を求める
①端子a、c間の合成抵抗を求める
端子a、c間の合成抵抗は次の図のように求められます。

➡

➡

②単相電力の式から抵抗値を求める
\(\displaystyle W=\frac{E^2}{R_{ac}}=\frac{100^2}{\frac{5}{3}R}=200[W]\)
⇔ \(\displaystyle R=\frac{3・100^2}{5・200}=30[Ω]\)
したがって、(a)問題は(2)30 が答えです。
(b)問題の解答の流れ
①Δ結線された抵抗をΔ-Y変換する
②相電圧\(E\)の一相分等価回路を描く
③一相分等価回路から一相分の電力を求める
④三相分の電力を求める
①Δ結線された抵抗をΔ-Y変換する

Δ-Y変換すると、
Δ結線の抵抗\(R\)は、Y結線の抵抗\(\frac{1}{3}R\)に変換されます。
Δ-Y変換した後の三相交流回路は、下図のようになります。

②相電圧\(E\)の一相分等価回路を描く

線間電圧\(V=200[V]\)なので、
相電圧は、
\(E=\frac{V}{\sqrt{3}}=\frac{200}{\sqrt{3}}\)
となります。
問(a)から、抵抗は\(R=30Ω\)です。
2つの抵抗の合成抵抗\(R’\)は、
\(R’=\frac{R}{2}+\frac{R}{3}=25Ω\)
③一相分等価回路から一相分の電力を求める
一相分の電力\(P_1[W]\)は、
\(P_1=\frac{E^2}{R’}=\frac{ \left( \frac{200}{\sqrt{3}} \right)^2 }{25}=533.33Ω\)
④三相分の電力を求める
三相分の電力\(P_3\)は、
\(P_3=3P_1=1600[W]=1.6[kW]\)
したがって、(b)問題は(4)1.6 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問15
参考書
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