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【電験三種:理論】令和5年度下期 問5

電験三種令和5年度理論問5 令和5年度下期

難易度

直流回路に関する問題です。
基本的なレベルの問題なので、確実に回答したいです。

問題

図に示す直流回路は、100Vの直流電圧源に直流電流計を介して10Ωの抵抗が接続され、50Ωの抵抗と抵抗R[Ω]が接続されている。
電流計は5Aを示している。
抵抗R[Ω]で消費される電力の値[W]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
なお、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。

(1)2   (2)10   (3)20   (4)100   (5)200


答え

(5)

要点整理

分圧の法則について
分圧の法則

図のように、抵抗R_1[Ω]と、抵抗R_2[Ω]が直列接続されていて、電圧V[V]が印加されているとき、回路全体にI[A]の電流が流れ、抵抗R_1[Ω]にはV_1[V]、抵抗R_2[Ω]にはV_2[V]の電圧が印加されているとします。この時の分圧の法則は次のように示されます。

分圧の法則

\displaystyle V_1=\frac{R_1}{R_1+R_2}V

\displaystyle V_2=\frac{R_2}{R_1+R_2}V

分圧の法則の証明

この式を一々覚えるのは脳の容量の無駄なので、この分流の法則を証明します。

抵抗R_1[Ω]R_2[Ω]の合成抵抗R[Ω]は、
\displaystyle R=R_1+R_2   ………①

回路全体のオームの法則から、①を代入すると
\displaystyle I=\frac{V}{R}=\frac{V}{R_1+R_2}I   ………②

抵抗R_1[Ω]に印加される電圧V_1[A]は、オームの法則から、②を代入すると
\displaystyle V_1=IR_1=\frac{R_1}{R_1+R_2}V

抵抗R_2[Ω]に印加される電圧V_2[A]は、オームの法則から、②を代入すると
\displaystyle V_2=IR_2=\frac{R_2}{R_1+R_2}V

以上で、分圧則の式が証明できました。

分流の法則について
分流の法則

図のように、抵抗R_1[Ω]と、抵抗R_2[Ω]が並列接続されていて、電圧V[V]が印加されているとき、回路全体にI[A]の電流が流れ、抵抗R_1[Ω]にはI_1[A]、抵抗R_2[Ω]にはI_2[A]の電流が流れているとします。この時の分流の法則は次のように示されます。

分流の法則

\displaystyle I_1=\frac{R_2}{R_1+R_2}I

\displaystyle I_2=\frac{R_1}{R_1+R_2}I

分流の法則の証明

この式を一々覚えるのは脳の容量の無駄なので、この分流の法則を証明します。

抵抗R_1[Ω]R_2[Ω]の合成抵抗R[Ω]は、
\displaystyle R=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}   ………①

回路全体のオームの法則から、
\displaystyle V=IR=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}I   ………②

抵抗R_1[Ω]に流れる電流I_1[A]は、オームの法則から、②を代入すると
\displaystyle I_1=\frac{V}{R_1}=\frac{R_2}{R_1+R_2}I

抵抗R_2[Ω]に流れる電流I_2[A]は、オームの法則から、②を代入すると
\displaystyle I_2=\frac{V}{R_2}=\frac{R_1}{R_1+R_2}I

以上で、分流則の式が証明できました。

要点整理の適用

電流計が5Aを示していることから、全抵抗の合成抵抗R’は、
\displaystyle R’=\frac{V}{I}=\frac{100}{5}=20Ω

回路図から、合成抵抗R’を導くと、
\displaystyle R’=10+\frac{50R}{R+50}
と、立式できるので、R’=20Ωを代入して式を整理することでRを求めます。

\displaystyle 10=\frac{50R}{R+50}
\displaystyle 10(R+50)=50R
\displaystyle 500=40R
\displaystyle R=12.5Ω
したがって、\displaystyle R=12.5Ωと求まりました。

抵抗R[Ω]で消費される電力を求めるには、抵抗R[Ω]にかかる電圧か、流れる電流のどちらかを求めれば良いです。

①解法1 抵抗R[Ω]にかかる電圧を求めてから消費電力を求める
回路図の10Ωの電圧降下は、V_10Ω=5[A]・10[Ω]=50[V]なので、
抵抗R[Ω]にかかる電圧をV_Rとすると、V_R=100-50=50[V]と求まります。
消費電力の式は、\displaystyle W=\frac{V^2}{R}=\frac{50^2}{12.5}=200[W]と求まります。

②解法2 抵抗R[Ω]に流れる電流を求めてから消費電力を求める
回路全体に流れる5[A]は、抵抗R[Ω]と、抵抗50[Ω]に分流されます。
分流の式から
\displaystyle I_R=\frac{50}{R+50}・5=\frac{50}{62.5}・5=4[A]と求まります。
消費電力の式は、\displaystyle W=I^2R=4^2・12.5=200[W]と求まります。

以上より、(5)200 が答えとなります。

出典元

令和5年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題下期問5

参考書

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