難易度
増幅器の利得に関する計算問題です。
利得の計算は、常用対数の計算が必要となります。
対数の計算は高校数学レベルですが、ある程度の慣れが要ります。
問題
図に示すように二つの増幅器を縦続接続した回路があり、増幅器1の電圧増幅度は10である。
今、入力電圧v_iの値として0.4mVの信号を加えたとき、出力電圧v_oの値は0.4Vであった。
増幅器2の電圧利得の値[dB]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 10 (2) 20 (3) 40 (4) 50 (5) 60
答え
(3)
要点整理
増幅器の増幅率[倍]について
増幅回路に小さな電圧信号を入力すると、増幅率倍された電圧信号にして出力されます。

まずは増幅器が1つの場合について考えます。
左図のように、入力電圧をV_i[V]、出力電圧をV_{o1}[V]、増幅器の増幅率をA_v[倍]とします。
このとき、増幅率は、
\displaystyle A_v=\frac{V_{o1}}{V_i}[倍]
です。
式変形すると、出力電圧は
V_{o1}=A_v・V_i[V]
と表されます。

増幅器が2つ直列に接続されている場合
V_{o1}=A_{v1}・V_i ………①
V_{o2}=A_{v2}・V_{o1} ………②
②式に①式を代入すると、
V_{o2}=A_{v2}・A_{v1}・V_i ………③
となります。
【例】入力電圧V_i=0.4[mV]、増幅率A_{v1}=10[倍]、増幅率A_{v2}=100[倍]としたときの出力電圧V_{o2}[mV]を求める。
V_{o2}=A_{v2}・A_{v1}・V_i=100・10・0.4[mV]=400[mV]=0.4[V]
このように計算されます。
増幅器の利得[dB]について
増幅率があまりにも大きくなると、A_v[倍]の単位で表現しづらくなります。そのため、利得G_v[dB]を使用し、表現しやすくします。
なお、利得は、ゲインと呼ぶこともあります。
利得G_v[dB]は、常用対数log_{10}を20倍して表します。
\displaystyle G_v = 20log_{10}A_v = 20log_{10}\frac{V_o}{V_i}
【例1】A_{v1}=1,000,000[倍]=10^6[倍]としたとき、
利得G_vは、G_v=20log_{10}10^6=120log_{10}10=120[dB]となります。
【例2】A_{v2}=0.000001[倍]=10^{-6}[倍]としたとき、
利得G_vは、G_v=20log_{10}10^{-6}=-120log_{10}10=-120[dB]となります。
電圧利得が20logになる理由
電圧利得について解説するに当たり、まずは単位のデシベル[dB]の成り立ちを解説します。
まず、デシベルの中のベル[Bel]の単位について説明します。
ベル[Bel]は、電話回線で送話器から受話器に到達するまでの電力損失の程度を表すための単位です。送信電力をP_i、受信電力をP_oとするとき、この電力比の対数を取ったものです。これを式に表すと、
\displaystyle Bel=log_{10}\frac{P_o}{P_i}
となります。
次に、デシ[deci]は、\displaystyle \frac{1}{10}倍を意味します。
ベルの単位は、数字が小さく扱いづらいため、扱いやすい大きさに変えるためにデシ[deci]を付けます。
以上から、デシベルは、電力比の対数を10倍するので、電力利得をG_p[dB]とすると、
\displaystyle G_p=10log_{10}\frac{P_o}{P_i}[dB]
で表されます。
次に、電圧利得が20logで表される理由は、電力が電圧の2乗に比例するので、
\displaystyle G_v=10log_{10}\left( \frac{V_o}{V_i} \right)^2
⇔\displaystyle G_v=20log_{10}\frac{V_o}{V_i}[dB]
したがって、電圧利得が20logで表されます。
要点整理の適用
問題文の図に、補足を書き込むと、下図の通りになります。

入力電圧v_i=0.4mV、増幅器1の電圧増幅度10[倍]から、増幅器1の出力電圧V_1は、
V_1=A_v・v_i=10・0.4mV=4mV
となります。
出力電圧v_o=400mVなので、電圧増幅度A_vは、
\displaystyle A_v=\frac{v_o}{V_1}=\frac{400}{4}=100[倍]
となります。
電圧利得G_v[dB]は、
G_v=20log_{10}A_v=20log_{10}100=20log_{10}10^2=2・20log_{10}10=40[dB]
となります。
以上より、(3)40が答えです。
出典元
令和5年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題下期問13
参考書
イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。
問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
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