【電験三種:理論】令和4年度上期 問8

電験三種令和4年度上期理論問8 交流回路

概要

RL直列回路の問題です。
Lの接続の有無によって流れる電流の大きさが変わることによる消費電力の差について問われています。
計算も簡単な基礎レベルの問題です。

キーワード
交流回路、オームの法則、RL直列回路、消費電力

 

問題

図のように、周波数\(f [Hz]\)の正弦波交流電圧\(E [V]\)の電源に、\(R [Ω]\)の抵抗、
インダクタンス\(L [H]\)のコイルとスイッチS を接続した回路がある。

スイッチSが開いているときに回路が消費する電力\([W]\)は、スイッチS が閉じているときに回路が消費する電力\([W]\)の\(\displaystyle \frac{1}{2}\)になった。

このとき、\(L [H]\)の値を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)\(2πfR\)

(2)\(\displaystyle \frac{R}{2πf}\)

(3)\(\displaystyle \frac{2πf}{R}\)

(4)\(\displaystyle \frac{(2πf)^2}{R}\)

(5)\(\displaystyle \frac{R}{πf}\)

 

 

 

答え

(2)

解説テキスト リンク

関連箇所直リンク
RL直列回路

関連箇所直リンク
消費電力

 

回答解説

解答の流れ
(a) スイッチSが開いているときの計算
 (1) インピーダンスの大きさ\(Z_o\)を計算する
 (2) 回路に流れる電流の大きさ\(I_o\)を計算する
 (3) 消費電力\(P_o\)を計算する

(b) スイッチSが閉じているときの計算
 (4) インピーダンスの大きさ\(Z_c\)を計算する
 (5) 回路に流れる電流の大きさ\(I_c\)を計算する
 (6) 消費電力\(P_c\)を計算する

(c) \(P_o\)・\(P_c\)を比較する
 (7) \(P_o=\frac{1}{2}P_c\)を計算する

 

(a) スイッチSが開いているときの計算
(1) インピーダンスの大きさ\(Z_o\)を計算する

スイッチSが開いているときは、コイルにも電流が流れるので、RL直列回路となります。

RL直列回路のインピーダンス\(\dot{Z_o}\)は、
\(\dot{Z_o}=R+j2πfL\)

インピーダンスの大きさ\(Z\)は、
\(Z_o=\sqrt{R^2+(2πfL)^2}\)

 


(2) 回路に流れる電流の大きさ\(I_o\)を計算する

\(\displaystyle I_o=\frac{E}{Z_o}=\frac{E}{\sqrt{R^2+(2πfL)^2}}\)


(3) 消費電力\(P_o\)を計算する

消費電力は、抵抗Rでのみ消費され、コイルでは消費されません。
したがって、抵抗Rに電流\(I_o\)が流れた時の電力を求めればよいので、次の通り求まります。
\(\displaystyle P_o=I_o^2R=\frac{E^2}{R^2+(2πfL)^2}R\)

  

(b) スイッチSが閉じているときの計算
(4) インピーダンスの大きさ\(Z_c\)を計算する

スイッチSが閉じているときは、全ての電流がスイッチSを通るためコイルには電流が流れません。
したがって、Rのみの回路となります。

R回路のインピーダンス\(\dot{Z_c}\)は、
\(\dot{Z_c}=R\)

インピーダンスの大きさ\(Z_c\)は、
\(Z_c=R\)

 


(5) 回路に流れる電流の大きさ\(I_c\)を計算する

\(\displaystyle I_c=\frac{E}{Z_c}=\frac{E}{R}\)


(6) 消費電力\(P_c\)を計算する

消費電力は、抵抗Rに電流\(I_c\)が流れた時の電力を求めればよいので、次の通り求まります。
\(\displaystyle P_c=I_c^2R=\frac{E^2}{R^2}R\)

  

(c) \(P_o\)・\(P_c\)を比較する

(3)から、\(\displaystyle P_o=I_o^2R=\frac{E^2}{R^2+(2πfL)^2}R\)

(6)から、\(\displaystyle P_c=I_c^2R=\frac{E^2}{R^2}R\)

問題文の条件から、\(\displaystyle P_o=\frac{1}{2}P_c\)

\(\displaystyle \frac{E^2}{R^2+(2πfL)^2}R=\frac{1}{2}\frac{E^2}{R^2}R\)

⇔\(\displaystyle \frac{1}{R^2+(2πfL)^2}=\frac{1}{2R^2}\)

⇔\(\displaystyle 2R^2=R^2+(2πfL)^2\)

⇔\(\displaystyle R=2πfL\)

⇔\(\displaystyle L=\frac{R}{2πf}\)

以上より、(2)\(\displaystyle \frac{R}{2πf}\) が正しいです。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問8

参考書

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