概要
コンデンサの静電容量に関する計算問題です。
基礎レベルであるため、確実に回答していきたい問題です。
キーワード
コンデンサ、静電容量、比誘電率、コンデンサの直列接続
問題
図のように直列に接続された二つの平行平板コンデンサに 120 V の電圧が加わっている。
コンデンサ C_1 の金属板間は真空であり、コンデンサ C_2 の金属板間には比誘電率 ε_r の誘電体が挿入されている。
コンデンサ C_1 , C_2 の金属板間の距離は等しく, C_1 の金属板の面積は C_2 の2 倍である。
このとき,コンデンサ C_1 の両端の電圧が 80 V であった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,コンデンサの端効果は無視できるものとする。

(a) コンデンサ C_2 の誘電体の比誘電率 ε_r の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1 (2) 2 (3) 3 (4) 4 (5) 5
(b) C_1 の静電容量が 30μF のとき, C_1 と C_1 の合成容量の値[ μF ]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 10 (2) 20 (3) 30 (4) 40 (5) 50
答え
(a)(4)
(b)(2)
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回答解説
(a)の解答の流れ
(1)C_2の静電容量をC_1で表す
(2)電荷Q=CVの式から比誘電率ε_rを求める
(1)C_2の静電容量をC_1で表す
コンデンサの真空の誘電率をε_0[F/m]とします。
コンデンサC_2の金属板の面積をS[m^2]とします。
コンデンサC_1、C_2の金属板間の距離をd[m]とします。
この時のコンデンサC_1の静電容量は、次式で表されます。
\displaystyle C_1=ε_0\frac{2S}{d}
⇔\displaystyle ε_0\frac{S}{d}=\frac{1}{2}C_1
次に、コンデンサC_2の静電容量は、次式で表されます。
\displaystyle C_2=ε_rε_0\frac{S}{d}=\frac{1}{2}ε_rC_1 …①
(2)電荷Q=CVの式から比誘電率ε_rを求める
直列接続されたコンデンサC_1、C_2に蓄えられる電荷量Q[C]は同じです。したがって、2つのコンデンサは次式で表されます。
Q=C_1V_1=C_2V_2 …②
電圧源120Vに接続されていて、コンデンサ C_1 の両端の電圧V_1=80 V なので、コンデンサ C_2 の両端の電圧はV_2=120-80=40 Vです。
②式に①式と各電圧を代入します。
C_1V_1=C_2V_2
⇔ \displaystyle 80C_1=40・\frac{1}{2}ε_rC_1
⇔ ε_r=4
以上より、(a)問題の答えは(4)4 が答えです。
(b)の解答の流れ
①コンデンサC_2の静電容量を求める
②直列接続されたコンデンサの式から合成容量の値を求める
①コンデンサC_2の静電容量を求める
(a)問題で求めた①式に、問題文のコンデンサC_1の静電容量C_1=30μFを代入します。
\displaystyle C_2=\frac{1}{2}ε_rC_1=\frac{1}{2}・4・30=60μF
②直列接続されたコンデンサの式から合成容量の値を求める
直列接続された2つのコンデンサC_1、C_2の静電容量の合成容量Cは、
\displaystyle \frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}=\frac{1}{30}+\frac{1}{60}=\frac{1}{20}
⇔ C=20μF
以上より、(b)問題の答えは(2)20 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目B問題問17
参考書
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