概要
滑りが1のときのΔ結線、Y結線の計算問題です。
拘束試験という言葉から、何をすれば良いか戸惑ってしまう人が多い問題かと思います。
また、Δ結線の線電流と相電流の関係、Y結線の線間電圧と相電圧の関係について理解していないと回答できないため、計算量は多くないものの、アプローチが難しい問題です。
キーワード
拘束試験、滑り1、Δ結線、Y結線、線電流、相電流、線間電圧、相電圧
問題
Δ結線された三相誘導電動機がある。
この電動機に対し、Δ結線の状態で拘束試験を実施したところ、下表の結果が得られた。
この電動機をY 結線に切り替え、220 V の三相交流電源に接続して始動するときの始動電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、磁気飽和による漏れリアクタンスの低下は無視できるものとする。
| 一次電圧(線間電圧) | 43.0 V |
| 一次電流(線電流) | 9.00 A |
(1) 15.3 (2) 26.6 (3) 46.0 (4) 79.8 (5) 138
答え
(1)
解説テキスト リンク
回答解説
拘束試験は、回転子を機械的に固定(拘束)して回転できない状態(滑り s = 1)で、定格電流程度になるように低い電圧をかけて行う試験です。
流れた電流値から、滑り1のときのインピーダンスを求めることができるので、始動時(起動時)の特性を評価するための試験と言えます。
問題の回答の流れ
1.拘束試験結果から、滑りが1のときのインピーダンスを求める
2.始動時の滑りが1であることを利用してY結線の始動電流値を求める
1.拘束試験結果から、滑りが1のときのインピーダンスを求める
Δ結線の線電流が\(I_{ΔL}=9.00A\)です。
Δ結線の相電流\(I_{ΔP}\)は、線電流の\(\frac{1}{\sqrt{3}}\)倍になるので、
\(I_{ΔP}=\frac{9.00}{\sqrt{3}}=5.196A\)
このときの一次電圧(線間電圧)は\(I_{ΔL}=43V\)であることから、
始動時の回路のインピーダンス\(Z_s\)は、
\(Z_s=\frac{V}{I_{ΔP}}=\frac{43}{5.196}=8.276Ω\)
2.始動時の滑りが1であることを利用してY結線の始動電流値を求める
問題文から、Y 結線に切り替え、線間電圧\(V_{YL}=220 V\) の三相交流電源に接続して始動するので、相電圧\(V_{YP}\)は、
\(V_{YP}=\frac{220}{\sqrt{3}}=127.02V\)
です。
Y結線の始動電流\(I_{YP}\)は、
\(I_{YP}=\frac{V_{YP}}{Z_s}=\frac{127.02}{8.276}=15.3A\)
と、求まります。
以上より、(1)15.3 が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問2
参考書
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