【電験三種:機械】令和4年度上期 問1

電験三種令和4年度上期 機械 問1 令和4年度上期

概要

直流電動機の制御方法に関する論説問題です。
制御方法に関する知識があれば二択まで絞ることは可能です。
しかし、そこから先は、電機子と界磁のどちらの応答が早いかについて知っていなければ選択肢を絞り切れません。捻くれた厄介な問題です。
 

キーワード
直流機、速度制御方法、回生制動

 

問題

分巻電動機では始動時の過電流を防止するために始動抵抗が \(\fbox{(ア)}\) 回路に直列に接続されている。

直流電動機の速度制御法には界磁制御法・抵抗制御法・電圧制御法がある。静止レオナード方式は \(\fbox{(イ)}\) 制御法の一種であり、主に他励電動機に用いられ、広範囲の速度制御ができるという利点がある。

直流電動機の回転の向きを変えることを逆転といい、一般的には、応答が速い\(\fbox{(ウ)}\) 電流の向きを変える方法が用いられている。

電車が勾配を下るような場合に、電動機を発電機として運転し、電車のもつ運動エネルギーを電源に送り返す方法を \(\fbox{(エ)}\) 制動という。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)界磁抵抗界磁発電
(2)界磁抵抗電機子発電
(3)界磁電圧界磁回生
(4)電機子電圧電機子回生
(5)電機子電圧界磁回生

 

答え

(4)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

\(\fbox{(ア)}\):電機子

始動抵抗法
分巻電動機の始動時の始動電流は、定格運転時よりも多くの電流が流れるため、過電流を防止するために始動抵抗を電機子回路に直列に接続する方法です。
始動後、徐々に始動抵抗値を小さくしていきます。

したがって、\(\fbox{(ア)}\) は、電機子が正しいです。

 


\(\fbox{(イ)}\):電圧

静止レオナード方式は、電圧制御法の一種です。
他励電動機の速度特性は次式で表されます。
\(\displaystyle N=\frac{V-I_aR_a}{K \Phi}\)

ここで、端子電圧\(V\)を変化させることをするのが電圧制御法です。

界磁制御法は速度制御できる範囲が狭いのに対し、
電圧制御法は広範囲の速度制御ができるという長所があります。

したがって、\(\fbox{(イ)}\) は、電圧が正しいです。

 


\(\fbox{(ウ)}\):電機子

直流電動機の回転の向きを変えるには、2通りの方法があります。
①電機子電流の向きを変える
②界磁電流の向きを変える(界磁磁束の向きが逆に変わる)

②の、界磁電流の向きを変える方法は応答速度が遅い問題があります。
その理由は、磁束を作るための大きな誘導性インダクタンスを持っているためです。
RL回路の過渡応答を解くとわかると思いますが、誘導性インダクタンスが大きいと、それに比例して時定数が大きくなります。
そのため、界磁電流による逆転の制御は応答が遅くなります。

したがって、\(\fbox{(ウ)}\) は、応答が速い電機子電流の向きを変える方法が正しいです。

 


\(\fbox{(エ)}\):回生

直流機の回転軸に外から力を加えて回転させると、直流機の端子から電気を発生させることが出来るので、発電機として運転することが出来ます。
直流機を発電機として運転させることで、車両の減速時に運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する仕組みを回生制動と呼びます。

したがって、\(\fbox{(エ)}\) は、回生制動が正しいです。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問1

参考書

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