概要
直流回路に直列・並列接続されたコンデンサの容量、エネルギー、電荷量の問題です。
基本問題なので、確実な回答が求められます。
キーワード
コンデンサ、直列接続、並列接続、静電容量、静電エネルギー
問題
電圧\(E [V]\)の直流電源と静電容量\(C [F]\)の二つのコンデンサを接続した図1、図2 のような二つの回路に関して、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 図1の回路のコンデンサの合成静電容量は、図2の回路の4倍である。
(2) コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは、図1の回路の方が図2の回路より大きい。
(3) 図2の回路に、さらに静電容量C [F]のコンデンサを直列に二つ追加して、四つのコンデンサが直列になるようにすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1と等しくなる。
(4) 図2の回路の電源電圧を2倍にすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1の回路と等しくなる。
(5) 図1のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍である。
答え
(3)
解説テキスト リンク
回答解説
問題文に出てくる各回路の合成静電容量と、静電エネルギーを求めます
①図1のコンデンサの合成静電容量\(C_p\)
\(C_p=C+C=2C[F]\)
②図1のコンデンサの静電エネルギー\(U_p\)
\(\displaystyle U_p=\frac{1}{2}C_pE^2=CE^2[J]\)
③図2のコンデンサの合成静電容量\(C_s\)
\(\displaystyle \frac{1}{C_s}=\frac{1}{C}+\frac{1}{C}=\frac{2}{C}[F]\) ⇔ \(\displaystyle C_s=\frac{1}{2}C[F]\)
④図2のコンデンサの静電エネルギー\(U_s\)
\(\displaystyle U_s=\frac{1}{2}C_sE^2=\frac{1}{4}CE^2[J]\)
⑤4つのコンデンサを直列接続したときの合成静電容量\(C_{s4}\)
\(\displaystyle \frac{1}{C_s}=\frac{1}{C}+\frac{1}{C}+\frac{1}{C}+\frac{1}{C}=\frac{4}{C}[F]\)
⇔ \(\displaystyle C_s=\frac{1}{4}C[F]\)
⑥4つのコンデンサを直列接続したときの静電エネルギー\(U_{s4}\)
\(\displaystyle U_{s4}=\frac{1}{2}C_{s4}E^2=\frac{1}{8}CE^2[J]\)
(1) 図1の回路のコンデンサの合成静電容量は、図2の回路の4倍である。
①の\(C_p=2C\)と、③の\(\displaystyle C_s=\frac{1}{2}C\)の比較です。
\(\displaystyle \frac{C_p}{C_s}=\frac{2C}{\frac{1}{2}C}=4\)
以上より、図1の回路のコンデンサの合成静電容量は、図2の回路の4倍で正しいです。
(2) コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは、図1の回路の方が図2の回路より大きい。
②の\(U_p=CE^2\)と、④の\(\displaystyle U_s=\frac{1}{4}CE^2\)の比較です。
\(\displaystyle \frac{U_p}{U_s}=\frac{CE^2}{\frac{1}{4}CE^2}=4\)
以上より、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは、図1の回路の方が図2の回路より大きいため正しいです。
(3) 図2の回路に、さらに静電容量C [F]のコンデンサを直列に二つ追加して、四つのコンデンサが直列になるようにすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1と等しくなる。
②の\(U_p=CE^2\)と、⑥の\(\displaystyle U_{s4}=\frac{1}{8}CE^2\)の比較です。
\(\displaystyle \frac{U_{s4}}{U_p}=\frac{\frac{1}{8}CE^2}{CE^2}=\frac{1}{8}\)
以上より、四つのコンデンサが直列になるようにしたときのエネルギーは、図1の\(\frac{1}{8}\)倍となるので間違いです。
(4) 図2の回路の電源電圧を2倍にすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1の回路と等しくなる。
電源電圧を2倍にした時の静電エネルギーを\(U’_s\)とすると、
\(\displaystyle U’_s=\frac{1}{2}C_s(2E)^2=CE^2\)
②の\(\displaystyle U_p=CE^2\)と比較をします。
\(\displaystyle \frac{U’_s}{U_p}=\frac{CE^2}{CE^2}=1\)
以上より、\(U’_s=U_p\)となって等しいので正しいです。
(5) 図1のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍である。
図1のコンデンサ一つの静電容量は\(C\)、コンデンサにかかる電圧は\(E\)なので、
コンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷\(Q_{p1}\)は、\(Q_{p1}=CE\)
図2のコンデンサ一つの静電容量は\(C\)、コンデンサにかかる電圧は\(\frac{1}{2}E\)なので、
コンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷\(Q_{s1}\)は、\(Q_{s1}=\frac{1}{2}CE\)
比較をすると、
\(\displaystyle \frac{Q_{p1}}{Q_{s1}}=\frac{CE}{\frac{1}{2}CE}=2\)
以上より、図1のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍で正しいです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問6
参考書
イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。
問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。
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